水稲冷害研究チーム
2005年東北稲作動向
本情報は新聞記事等から得られる東北地域の稲作概況をお知らせするものです.
稲作の動向と冷害関連記事に注目して,概況を追跡します.
なお,記事の収集については東北農業研究センター情報資料課田中課長さんにご協力をいただいています.
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○4月1日(金) 穀物不足を警告/水制約、温暖化響く/農村部が優位に/地球政策研究所所長 レスター・ブラウン氏に聞く
地球環境や世界の食料問題に警告を発し続けているアースポリシー(地球政策)研究所のレスター・ブラウン所長はこのほど来日し、都内で日本農業新聞のインタビューに応じた。米をはじめとする穀物は今後、不足の時代を迎えると強調。国際交渉の場で食料や水、エネルギー資源を持つ国々や地域の発言力が高まるとの考えを示した。同所長は、世界の食料生産が過去5年間停滞、穀物の期末在庫が取り崩されている点に注目。穀物の中で「水の制約を受ける米の増産がいちばん難しい。今後予想される穀物価格の上昇では米が最初となるだろう」と指摘した。各国で食料増産の試みは続いているが、同所長は悲観的な見通しを明らかにした。「穀物の単位面積当たり生産量は、過去50年間で3倍近くに拡大した。しかし、遺伝子組み換え技術を含めても生産性を大きく伸ばすことは無理。地下水位の低下、地球の温暖化を考えると、食料生産をこれまでのように伸ばすことはできない」新たな世界の食料生産基地として期待されているブラジルに対しては、「大豆生産は拡大できたが、トウモロコシなどの穀物で輸出国になれるかどうかは疑問だ」という見方だ。同所長は、不足の時代になると、食料や農地、資源を持つ農村部の立場が強くなるとの考えを示した。産業革命以降、モノを買う都市が農村部よりも優位な立場であり続けたが、「これからは資源を抱える農村との力関係が逆転するだろう」と言い切った。
(日本農業新聞)
○4月1日(金) HPをリニューアル 宮城・JAいしのまき
JAいしのまきは1日、JAの事業や取り組みを紹介する公式ホームページ(HP)をリニューアルした。インターネットを活用し組合員・地域住民をはじめ、JAいしのまきの情報を全国に向けて発信し、地域の話題やイベント、JAが取り組んでいる事業などを広く紹介し、JA・農業をより身近に感じてもらうのが狙い。今年度は「JAいしのまき米」をテーマに掲げ、@2005年産いしのまき米ができるまでAおいしいお米の理由Bいしのまきを代表する米C安全・安心・環境への取り組み―などを紹介することにしている。また、各事業紹介も充実し、開発事業や直売所などは、地図や写真入りですぐ利用したくなるよう工夫されている。アドレスはhttp://www.ja-ishinomaki.or.jp
(日本農業新聞)
○4月1日(金) 環境保全米生産へ結束 福島・石川地方農業振興協が部会設立
稲作の環境保全型生産により、安全・安心な米づくりを普及するため、石川地方農業振興協議会は、石川町のホテルでこのほど、環境保全米生産部会の設立総会を開いた。総会では、特別栽培確認農家やエコファーマーら約50人が出席し、設立趣旨やエコファーマー認定農業生産者の拡大など2005年度の事業計画を承認した。部会長に選出された石川町の近内貞夫さんは「環境保全米の普及と一層の技術の向上を目指し、特別栽培米やエコファーマーの拡大を図って行きたい」と抱負を語り、部会員が一丸となって環境保全米の生産に取り組むことを確認した。記念講演では、県中農林事務所農業振興部の宍戸多加志部長が「売り切る米づくりをどうすすめるか」と題して講演。過去の米価推移とその要因を説明し、今後は市場原理に基づく競争が激化することを語った。出席者は、生産者や関係団体など地域が一体となって「売れる米づくり」に取り組むことが重要であることを学んだ。
(日本農業新聞)
○4月2日(土) 売れる米づくり加速 低たんぱく、独自品種増加 05年産産地品種銘柄
農水省は1日、農産物検査法に基づく2005年産米の産地品種銘柄を公表した。46都道府県の産地品種銘柄数は、うるち米で524と前年産より12銘柄増えた。低たんぱく米や県の独自品種を導入する県が増えており、同省は「米政策改革を反映し、売れる米づくりへの動きが加速している」(総合食料局)とみている。産地品種銘柄は、JAS法に沿って精米表示する条件になる。各都道府県が作付けに先立って国に報告する必要があり、報告しない銘柄は、販売時に産地品種銘柄を表示できない。うるち米の上位3銘柄は「コシヒカリ」(42府県)、「ひとめぼれ」(31府県)、「あきたこまち」(29県)だった。銘柄数が最も多い県は、山形と福島で23銘柄。次いで宮城(21銘柄)、新潟(17銘柄)の順だった。同年産で米産地が新たに取り入れた銘柄は46、作付けが縮小した理由で廃止した銘柄は34あった。このうち、「春陽」「LGCソフト」「エルジーシー1」の低たんぱく米の新規設定は12県に上った。消化しやすいたんぱく質(グルテリン)の含有量が他の銘柄より少ないこれら新形質米は、病院食として需要が高い。また、「岩手68号」や「滋賀65号」など、独自品種を新たに産地銘柄に設定する県もあった。同省は「有力銘柄を主力に据える一方で、確実に売り先が見込める独自品種で区別化を図る動きもあり、米産地によって戦略が2極分化している」と分析する。
(日本農業新聞)
○4月2日(土) みやぎ米情報ネットを開所 JA宮城中央会など
米の消費動向などの情報を、生産者などに迅速に提供するため、「みやぎ米(こめ)情報ネット」が1日、仙台市内に開所した。需要に対応した「売れるみやぎ米」づくりの推進が期待される。情報ネットは、社団法人みやぎ原種苗センター(宮城県岩沼市)、宮城県、JA宮城中央会、JA全農みやぎが共同で設置したもの。水稲の生育情報や消費者・実需者の需要動向、宮城米に関する流通・販売情報などを生産者・消費者に提供する。開所式で宮城中央会の阿邊英明常務は「親しみのある組織として、県民へのPRにも力を入れ、自ら価値のある情報を作り出してほしい」と期待を述べた。
(日本農業新聞)
○4月2日(土) 全国的に低温 3月の天候
気象庁は1日、3月の天候を発表した。日本付近を低気圧が頻繁に通過したため、日本海側を中心に雨や雪の日が多かった。低気圧の通過後に寒気が入り、全国的に低温となった。特に西日本で気温が下がり、佐賀県では平均気温の最低値を更新した。寒気は西日本と南西諸島に入ることが多く、西日本の日本海側でも雪が降った。西日本では11年ぶりに、3月の平均気温が平年値より0・5度以上も下回った。降水量は北日本と東日本で多く、富山県では平年の170%以上。西日本は少なめ。降雪は北日本から東日本にかけてと西日本海側で多く、北海道室蘭市や島根県松江市などで3月の最深積雪を更新した。
(日本農業新聞)
○4月3日(日) 政府米の取引低調
農水省は2日までに、政府米の一般入札結果を公表した。5万6000トンの提示に対し、落札したのは2460トンで低調だった。今回を含め2004年度の累計落札数量は5万8660トン。3月に行った5回の入札結果をまとめた。年産別の落札数量をみると、02年産米が856トンで最も多く、同年産米のうち3等米が9割を占めた。加重平均価格は60キロ当たり8875円。政府米入札は、今年から新たに01年と02年産米を提示し、取引を週1回にするなど方針を変更した。しかし、業者からの応札は低調な状態が続いている。このため、同省は4月から月1回の取引に戻す。
(日本農業新聞)
○4月3日(日) 中国の米在庫 5年で3分の1に 国際価格が上昇傾向
中国の国営通信社である新華社は、このほど、中国の2004年末の米在庫量が、3469万トンでピークの1999年末に比べて、3分の1まで低下したと報じた。04年の生産量は4年連続の減産から増産に転じ、1億2438万トンとなったものの、米の消費量を下回り、在庫を取り崩した。同社によると、昨年11月以降、米価格が再び上昇し、昨年12月の主要な市場の取引価格は前年に比べて2割以上値上がりしている。タイからの報道によると、収穫が終わったタイの二期作米生産量は552万トンで、前年を17%下回っている。広範な地域を襲った干ばつが原因だ。政府のコメ買い入れが来月まで続くため、輸出向けの米の出回り量はさらに減る見通し。世界最大の生産国の中国、世界最大の輸出国のタイの需要逼迫(ひっぱく)を受けて、米の国際価格は上昇傾向にある。指標となるタイの米輸出の中心価格(グレードB精米)は、1トン当たり300ドルを超している。米取引の専門家は数週間のうちに、「もう一段の値上がりがある」とみている。
(日本農業新聞)
○4月4日(月) 『安全・安心』をプラス 耐病「新潟コシ」に転換 新潟県
新潟県は2005年産米から、農家に供給する「コシヒカリ」の種子をすべて、いもち病に強い「コシヒカリ新潟BL」に切り替える。県を挙げて農薬を減らす米作りを進め、食味に定評のある「新潟産コシヒカリ」に安全・安心の付加価値をつける作戦だ。今後の課題は、流通業者や消費者に「新潟産コシヒカリ」としてどう定着させていくか。県は農業団体と協力して、啓発に努めていく。
「本当にこれまでのコシヒカリと同じ味なのか」―。導入に当たって最も問題になったのは食味だった。同県の「コシヒカリ」作付けは約9万3000ヘクタール。これを04年産から一斉に「コシヒカリ新潟BL」に切り替えようと、01年から耐病性を示すデータなど品種特性をまとめたちらしを農家全戸に配布。各地に展示圃(ほ)を設け、いもち病が抑えられる上に、生育過程や収量などが従来の「コシヒカリ」と変わらないことを確認してもらってきた。ただ、食味試験の回数が少なく展示圃が小規模だったことなどから、農家の不安が絶えなかった。そこで県は02年に、計画を1年延長することを決定。展示圃を拡大し食味試験を重ねた結果、農家も従来と変わらないと評価するようになった。農業団体の果たした役割も大きい。消費者の反応を心配する農家が多かったため、JA全農にいがたは県と協力して、東京や名古屋、大阪で1カ月のモニター調査を実施。8割の消費者が「従来のものと変わらない」と回答した。その結果を農家に報告し、導入への弾みとした。販売業者に食味や歩留まりなどを確認してもらうために、01年から精米と玄米を贈り理解を促してきた。今年3月には、開発経過や消費者の試食結果などをまとめたパンフレットを作り、取引のある全国約160社に配布。全面切り替え1年目の安定販売を目指す。店頭販売の包装表示は「新潟産コシヒカリ」を使う。種子を一斉に切り替えることで、従来品種との競合をなくし、「コシヒカリ新潟BL」の米こそが「新潟産コシヒカリ」であることを全面に打ち出していく方針だ。05年産から、新潟県産米のキャッチフレーズは「環境にやさしい米づくり」。県は、「コシヒカリ新潟BL」の作付面積を10万ヘクタールと見込む。米改革で各産地が売れる米づくりを競う中、全農にいがた米穀課の土田公人次長は「全面切り替えをきっかけとし、新潟県の農家がさらに多くの米を作れるようになってほしい」と期待する。
「コシヒカリ新潟BL」 BLはブラスト(いもち病)のこと。いもち病に強い遺伝子を持つ品種を父に、5、6回戻し交配して1〜6号の「コシヒカリ新潟BL」を育成した。農家には4、5系統を混ぜて供給し、混植栽培(マルチライン)してもらう。一つの系統がいもち病にかかっても、ほかの系統が発病する可能性が低いため、病害による減収を抑えて安定収量が期待できる。
(日本農業新聞)
○4月5日(火) 空前の低価格 米産地が悲鳴 大規模農家ほど打撃 福島・会津コシヒカリ
米の価格低迷に産地が悲鳴を上げている。全国有数の米産地の福島・JA会津みどり管内は新潟に次ぐ良質米地帯だが、2004年度のJA米販売高は前年度に比べ3割近い下落。安かった02年度に比べても1割低い水準だ。2月末。「会津コシヒカリ」の産地を守ってきた同地区に衝撃が走った。全国米穀取引・価格形成センターの入札で、会津コシの指標価格が前回入札比4・2%安の1万6110円(60キロ、加重平均)まで落ち込んだからだ。それまでは新潟一般コシに次ぐ水準を保ってきたが、大きな差が出た。北陸・富山コシにも逆転された。激しい価格変動。農家手取りとなる仮渡金水準は「全農が示した金額にJA独自の加算をして1万4000円。3割低くならざるを得なかった」とJA営農部は話す。空前の低価格のしわ寄せをすべて、産地が背負っている形だ。JAの大井豊記米穀課長は「大型農家は数百万円の所得減となっているはず。農機1台分の金額が減ったのと同じことだ」と農家の経営を懸念。「国はもっと米の需給安定に力を入れてほしい。政府米の売却時期を慎重にし、必要なら国の在庫を積み増すべきだ」と語気を強める。JA管内の会津板下町新開津で農作業の部分受託も含めて約100ヘクタールをこなす石田栄さんは、有限会社「しんかい農耕」の代表を務める地域の担い手だ。米価の変動に左右されないように部分受託の割合を増やし、JAの農機リースの活用やJAS有機米の拡大などで経営の維持に努めてきた。「総売上高は前年度の1割減、800万円下がった。国は、専業農家ほど痛手を負っている実態を直視してもらいたい。担い手対応をもっと充実すべきだ」。石田さんは声を大にして訴える。
(日本農業新聞)
○4月5日(火) 稲―麦―大豆の輸作技術 不耕起栽培 軸に 農水省開発へ
農水省は今年度から、稲―麦―大豆の輸作システムを確立するため、不耕起栽培を軸にした技術開発に着手する。種まき時に耕すと雨の影響を受けやすい大豆の湿害を避け、畝建ての省略で労働時間を減らして麦の収穫作業との競合を避ける。試験では凡用型の不耕起播種(はしゅ)機を利用。全国5カ所で実証し、労働時間で30%、生産費で15%の削減を目指す。播種機は大豆だけでなく、麦と水稲の直まきにも使う。水稲も同じ機械で直まきし、育苗などの春作業の手間を省く。また、新しい生産技術を試しながら、不耕起播種機を改良。大豆では株間を狭めた「狭畦(きょうけい)栽培」技術も確立し、株を倒れにくくし、雑草も抑える。
(日本農業新聞)
○4月5日(火) もち米で全農 契約栽培取引を拡大 3作分、安定生産支援へ
JA全農が、もち米販売で実需者との契約栽培取引を拡大する。新たな試みとして最大3作分の契約を今年から採用する。米改革で売れる米づくりの実績が迫られる中、切りもち・米菓メーカーなど、国産の固定客≠早期につくり、もち米産地の長期にわたる安定生産を支援する。全農は昨年春、2作分を1度に契約する複数年契約という取引方法を初採用し、2004年産で6万2000トン、05年産米で3万6000トンを成約させた。全農は「産地は早めの販路確保で安定生産を望み、買い手も安定調達を志向している」として、契約栽培取引の拡大は売り手・買い手双方にニーズがあると判断した。国産もち米生産量に対する全農のシェアは4割水準で年間10万トン程度の取扱量を持つ。全農県本部や経済連の契約希望量をとりまとめて7日に、全国の切りもち・米菓メーカーや米卸に提示し契約を進める。提示数量は05年産で3万トン程度の見込みで、06、07年産は未定。取引価格は従来、出来秋に決めていたが、実需者の要望に対応し、今年は数量提示と一緒に、目安となる取引基準価格(05年産)を提示する方法に改める。ただし、基準価格は、出来秋の時点で上下5%の範囲内で修正できるとしている。
(日本農業新聞)
○4月5日(火) 田畑 10年連続下落 東海、近畿で大きい 04年売買価格
全国農業会議所は4日までに、2004年田畑売買価格の調査結果を発表した。純農業地域の標準的な農地(中田、中畑)の価格は、全国平均で田が10アール当たり159万3000円(前年比3・1%減)、畑が109万8000円(同3・7%減)で、ともに下がった。下落は1995年以降10年連続。東海、近畿で下落幅が大きい。都市的農業地域の農地価格は、全国平均で田が607万4000円(同9・9%減)、畑が568万3000円(同9・4%減)。12年連続の下落。関東、東海、近畿に加え、四国でも下落幅が大きかった。下落要因について同会議所は、農産物価格の低迷や買い手の減少などを挙げている。農地価格の下落傾向を反映し、水田の実納小作料も下がった。03年は全国平均で10アール当たり1万8435円で前年より649円(3・4%)下落した。ブロック別では東北の2万3184円が最も高い。
(日本農業新聞)
○4月5日(火) 「古代米冷麺」を発売 アントシアニンで健康配慮 岩手・湯田産業公社
湯田町の湯田産業公社が、町内で栽培される古代米を練り込んだ「古代米冷麺(れいめん)」を開発し発売を始めた。麺が青みがかった灰色をしているが、動脈硬化を予防するアントシアニンなどが含まれ、健康に配慮した冷麺になったという。公社は昨年6月に「古代米うどん」を発売しており第2弾。古代米にはアントシアニンのほか、血液中のコレステロールを減らすナイアシンや、貧血・白内障の予防効果があるビタミンEなどが含まれている。1個2食入りで500円・道の駅錦秋湖など公社直営4店舗で発売を始めたほか、旅館などに販売協力を呼びかけるという。問い合わせは同公社(0197・82・2211)へ。
(毎日新聞)
○4月5日(火) ブランド化めざす コシヒカリ特別栽培 山形・余目町
余目町は二〇〇五年度、「おいしい米づくりプロジェクトチーム」でコシヒカリの特別栽培に着手する。予算五十万円を計上し、「余目米」のブランド確立を目指す。同町では、作付面積の約八割をはえぬきが占めている。去年十二月に土作りや環境に重点を置いた推進計画を作成し、消費者ニーズの高いコシヒカリを栽培することに。減農薬、減化学肥料を徹底し、産地としての地位を築いていく。まず〇五年度は、コシヒカリを四・五ヘクタールに作付け。数種類の土壌改良資材を試し、土壌や気候に合う物を選ぶ。
(山形新聞)
○4月5日(火) 自分のコメで日本酒 分譲地購入の新住民が稲作 福島・泉崎
福島県泉崎村は、村の分譲地を購入して移り住んだ新住民を対象に、コメ作りを体験してもらい、収穫したコメで酒を造る交流事業を始める。田舎の良さと大変さの両方を理解し、早く地域に溶け込んでもらうのが狙いだ。財政再建に取り組む村は、造成した住宅団地の販売に力を入れる。移住後の「アフターサービス」として、村内の農家から水田〇・四ヘクタールを借り、福島県の酒造好適米「夢の香」を、減農薬、減化学肥料で栽培する。新住民は、地元農家の指導を受け、五月の田植えから草取り、稲刈りまでを体験する。酒造りには直接かかわらないが、酒瓶に張るラベルのデザインは自分たちで考える。来年一月に完成報告会を開き、試飲や販売も行う。
(河北新報)
○4月6日(水) 健康めざし「雑穀」 有機栽培で地域リード 岩手・二戸市の高村英世さん
健康食品として雑穀に注目が集まっているが、岩手県二戸市の高村英世さんは、有機栽培の先駆者として活躍の場を広げている。自らの農薬で体調を崩した体験から、有機栽培を実践、消費者とも積極的に交流、売り上げも伸ばしている。高村さんは1957年に就農、当時は野菜農家を目指した。順調に作付けを増やし、10年ほどで3ヘクタールもの規模になった。ところが45歳の時、農薬が原因で肝臓を患い病院へ2年間通院した。このことが転機となり、農薬を使わない農業を模索するようになったと高村さんは振り返る。試行錯誤する中で、90年ごろ市場で黄色いキビを見つけた。「ご飯に混ぜて炊いたら、ものすごくおいしかった」と高村さん。野菜の連作障害を防ぐ目的で、栽培を始めた。94年、二戸市で地域興しに雑穀栽培を導入、市の担当者に「アトピーや食物アレルギーに困る子どもたちがいる。ぜひ有機栽培をやってほしい」と勧められたのが有機栽培のきっかけだった。市と協力し95年からスタート、ただ最初の5年間は全く売れなかったという。そんな中、2000年の有機JAS法改正が追い風となり、有機の価値が認められると、雑穀パンなどの材料や農家レストランに供給するなど、一気に注目を浴びるようになった。高村さんは「消費者ニーズをつかまないと、農家は自立した経営はできない」と強調、現在は有機栽培の雑穀の要望が高い中で、勝ち残る農家像を描いている。
(日本農業新聞)
○4月6日(水) 集中避け作業順調 乾田直まき始まる 福島・原町市
原町市の特定農業法人牛c宴Cスセンターは1日から、原町市高地区の水田で、不耕起V溝乾田直播(ちょくは)作業を始めた。直播は専用の播種機で行われ、深さ5センチのV字型の溝に、「ひとめぼれ」の種もみと肥料を同時に施用する。水田に苗を植える通常の栽培は、田を起こし、水はり、代かきを春先の短期間に行うため、春先が多忙になるが、労力と水に余裕のある冬の農閑期に代かきを行うことで、作業の集中を避けることができる。同地区では、直まきを1996年から取り組んでいる。昨年の収穫量は通常の栽培方法と同等だった。
(日本農業新聞)
○4月6日(水) 宣伝効果ばっちり 生き物ブランド米 環境対策をアピール 新たな販路確保にも
メダカ米、源五郎米、雁(かり)の里米…田んぼの生き物をブランド名にした米の販売が、各地で広がっている。魚や野鳥、昆虫とともに育つイメージで、環境問題に関心を持つ消費者にアピール。産直や契約栽培の取り組みが多く、新たな米の販路確保にもつながっている。農水省の調べでは、生き物の名前が付いた米は全国に18種類。品種は「コシヒカリ」「キヌヒカリ」などさまざまだが、減農薬や不耕起栽培で環境への負担を減らしたり、冬期湛水(たんすい)したりと、水田に生き物を呼び込む工夫を凝らす。5キロ当たり4000円もの高値で売れる有機栽培米もある。滋賀県彦根市の水土里ネット愛西では、地域を挙げて琵琶湖の環境保全とニゴロブナの復活を目指す。農薬と化学肥料を5割以下に減らし、濁水の流出を抑えた米を「魚のゆりかご水田米」と名付け、JA東びわこの直売所で5キロ2150円で売る。2004年の作付面積は2・5ヘクタール。05年産は面積を増やし、生協と契約栽培を始める予定だ。広島県尾道市の農家は、絶滅が心配されるゲンゴロウとの共存を打ち出した「源五郎米」の販売を04年産から始めた。生産した5トンは完売し、注文を断ったほど。大型のガンの名をつけた茨城県稲敷市の「オオヒシクイ米」は、全国約300人の契約客が買い支える。購入を続ける同県牛久市の主婦は「米を買って環境保護に役立ち農家の支えにもなるなら、5キロ3500円は決して高くない」と話している。
(日本農業新聞)
○4月7日(木) 山梨で真夏日 今年一番の暑さ
関東地方を中心に6日、気温が30度を超えるなど今年一番の暑さとなった。気象庁によると、30度を超え真夏日となったのは山梨県大月市。群馬県、福島県でも30度近くになった。「週内は全国的に気温は高めになる」(同庁)見込みだ。高気圧が本州全体を覆ったため、全国的に晴天となった。関東地方では、上空の暖かい空気を運ぶ西寄りの風が吹いて気温が上昇。大月市の最高気温は平年より14度も高い30・2度を記録。群馬県下仁田町で29・4度、福島県いわき市で29度、埼玉県秩父市で28・3度を記録した。高気圧の影響が残り、気温高は週内続く。平年並みに戻るのは来週になる見込み。
(日本農業新聞)
○4月8日(金) 施設と圃場を18日から公開 県農業研究センター
県農業研究センターの春季一般公開が18日から始まる。2004年度の研究成果のパネル展示や試験研究に関連した施設や圃場(ほじょう)を一般に公開する。一般公開は、05年度(第46回)化学技術週間行事の一環で開かれるもの。北上市の同センター本部や畜産研究所(滝沢村)は、18から22日午前8字30分〜午後5時。農業化学博物館(北上市)は、19〜24日午前9時〜午後4時30分。期間中は入場無料。問い合わせは同センター企画経営情報室、(電)0197(68)4402。
(日本農業新聞)
○4月8日(金) 売れる米へ戦略強化 数値示し目標具体化 JA全農山形
JA全農山形は、今年度から「山形JA米日本一売れる米づくり♂^動」の新3カ年計画をスタートさせた。特別栽培米の目標面積を設けるなど実需者の要望に応じた米作り、消費者ニーズに対応できる供給体制を強化する。すでに土づくりを基本としたこだわり米$カ産を振興し、固定需要を増やす産地も出てきた。県が市町村に配分する生産目標数量の増加分は、今年産から、特別栽培やエコファーマーといったこだわり米≠フ生産実績を加味し始めた。こうした動きを考慮し、全農山形は3カ年計画を作成した。具体策として7つのポイントで数値目標を設けたのが特徴だ。@品種別の作付けA1等米比率・特別栽培米の面積B山形JA米の出荷率C固定販売需要先の確保などに目標数値を設定した。さらに村山、最上、置賜の地区ごとに目標を掲げた。スーパーや生協、業務用に合った米作りを進めることで、新たな販路の開拓や既存の売り先の量的拡大を狙う。4月以降、地区ごとにプロジェクト推進班を立ち上げ進めていく計画だ。
いち早く取り組むのはJAさがえ西村山だ。組織を挙げて土づくり運動に取り組み、2001年から「土づくり安心米」を振興する。土壌診断に基づき、土づくり肥料を毎年適正使用し生産したこだわりの高食味米だ。品種は「はえぬき」(一部「あきたこまち」など)。基準に従って栽培し、基本的に1つの防除体系とする。同JA管内の水稲作付面積は約3000ヘクタール。水稲部会を挙げた取り組みで、安心米の作付面積は拡大してきた。03年は約700ヘクタール、04年約1200ヘクタール、05年は1600ヘクタール程度を見込む。今年から取り組みを前進させることから、農薬成分回数を05年は11成分回数に抑え、06年は10成分回数と減らし、数年以内に減農薬減化学肥料栽培への転換も検討する。今年産米は、同JAの「はえぬき」の約7割が安心米になる計画。
(日本農業新聞)
○4月8日(金) 豊作を願い水稲種まき 岩手・JAいわい東
県内のトップを切り、東山町長坂のJAいわい東東山水稲育苗センターで5日、今年産水稲の種まきが始まり、豊作の秋に期待を込めて作業が行われた。センターでは水稲作付面積約200ヘクタール分、4万4580箱分の育苗を計画。内訳は「ひとめぼれ」3万6120箱、「あきたこまち」5960箱、「ササニシキ」900箱、「ヒメノモチ」1600箱で、町の育苗の約8割を賄う。この日は、作業員12人が「ひとめぼれ」5040箱の作業に当たった。3月中旬に種もみを水に浸し、発芽促進を行っていた種子を、ベルトコンベヤーの流れに沿って育苗箱に培土、水掛け、種まき、殺菌、覆土の手順で慎重に作業した。JA東山営農センター営農経済課の千葉健一課長代理は「種まきと育苗は、米作りの中でも重要な作業だ。田植えが無事に終わるまでは、気が抜けない。秋には、いわい東米が実るよう努力したい」と意気込を語った。
(日本農業新聞)
○4月8日(金) 天気変わりやすい季節 来週後半に寒気 気象庁
気象庁によると、霜が発生する3大要素は@上空の寒気A晴れB風がないこと。4月に入ってからは、この条件がそろっていない。だが、三寒四温というように、春の天気は変わりやすいため警戒は必要だ。霜は、大気中の水蒸気が地面に凍ってできる氷の結晶。特に晴れた日は放射冷却により、地表温度が零度前後まで下がり霜が発生しやすくなる。その目安が、気象庁が発表する気温で4度。地上1・5メートルを測るため、地上は零度になる。週内は、早朝も含めて全国的に気温は高め。来週後半には、次の気圧の谷が通り抜け寒気が入り込む。九州北部を中心に気温が低くなる。
(日本農業新聞)
○4月8日(金) 青森県産米ホープいざ発進 来秋市場デビュー・青系138号 病気、冷害に強く味上々
「売れるコメ作り」が叫ばれる中、県産米のホープとして期待される新品種が誕生した。県農林総合研究センター(黒石市)が開発した「青系138号」だ。食味や耐病性の面で優れ、水稲主要品種としてはゆめあかり以来六年ぶりの県奨励品種となった。県や関係団体は二〇〇六年秋の市場デビューに向け、本年度中に公募で名称を決めるなどPR活動を本格化させる。青系138号の母は「奥羽341号」、父は「山形40号」。冷害にどれだけ強いかを示す障害型耐冷性は「やや強」で、ゆめあかりの「強」より一ランク弱いものの、むつほまれの「中」より一ランク強い。一方、いもち病抵抗性は「強」で、むつほまれの「やや強」、ゆめあかりの「中」より強い。県は栽培適地について@つがるロマンが主力の津軽中央地帯を除くA津軽半島北部や下北地域の冷涼地域を除くとしている。
(東奥日報)
○4月9日(土) 雪解け 田畑浸水 青森で相次ぐ
青森県はここ数日で気温が上昇し、雪解けが一気に進んで田畑の浸水被害などが出ている。県が8日午後1時現在でまとめた被害は、農地の浸水が13件。このうち4件は弘前市、つがる市などのリンゴ園。五所川原市ではニンニクハウス4件が浸水した。
(日本農業新聞)
○4月9日(土) 気象庁が注意報
気象庁は8日午後4時現在、青森、山形全域に融雪・洪水注意報を、北陸地方では新潟の「ほぼ全域と、石川、福井の一部で融雪注意報を出している。東北・北陸地方で7日から降り続いた雨が多いところで100ミリを超え、雪解けや洪水の引き金になったとみられる。同庁は「よほど寒くならない限り雪解けは続く。降雪地帯は次の気圧の谷が来る11日まで引き続き注意してほしい」と呼び掛けている。国土交通省は8日、東北地方で降雨と雪解けが重なって河川の水位が上がり、青森県の岩木川など4河川水系で警戒水位を超えたとして各地に注意を呼び掛けた。同省は「雪解け水は豪雨と違って水位の低下が遅い。今年は雪が多く、気温が上がると住宅周辺の水路でもはんらんする恐れがある」(治水課)という。警戒水位を超えているのは、岩木川のほか、秋田県の米代川、同県子吉川、山形県の最上川の4水系。
(日本農業新聞)
○4月9日(土) 福島県の会津地区4JA 「エコ米」生産へ結束 ブランド力向上めざす
JA全農福島は8日、会津若松市内で県と会津地区4JAを集めて「連携会議」を開いた。米生産農家のエコファーマーへの認定促進や、地域に合わせた統一的な栽培の推進を確認し、4JA共通の取り組みとして、環境に優しい「エコ米」生産に向けた取り組みがスタートした。会津米は良質米で知られているが、「安全・安心」をアピールすることで、さらにグレードアップを図り、売れる米づくりにつなげようというのが狙い。JAの枠を超え、地区全体でブランド力を高めようという試みだ。会議では、エコファーマーの認定要件を確認するとともに、これまでの検討課題となっていた、堆肥(たいひ)の確保には牛ふんのほか、腐熟させた稲わらを活用する、地域に合わせた統一的な栽培の推進などを確認した。今年度は、4月末までの集落座談会を通じて農家にエコファーマーの説明や参加を呼び掛ける。また、4JA管内に堆肥設計や品種を変えた合計54カ所の展示圃(ほ)を設置して、「エコ米」栽培をPRする。大々的な「エコ米」生産は2006年度からを予定し、08年度には特別栽培米と「エコ米」でJAへの出荷契約面積の80%までに増やすことを目指している。会津地方農協組合長会の佐藤七郎会長(JA会津みどり組合長)は「産地間、市場間の競争はこれからが本番となる。会津4JAが一丸となって、安全・安心のエコ米で売り切れる米づくりを目指したい」と期待を語っている。
(日本農業新聞)
○4月9日(土) 遠隔探査研究の業績展示 16日に新装開館 岩手大ミュージアム
盛岡市の岩手大キャンパス内にあるミュージアム本館は十六日、同大を今春退職した前工学部教授の横山隆三さんの「リモートセンシング研究と岩手大学」をメーンテーマに新装オープンする。縦5・5メートル、横3・5メートルの合成樹脂タイルに印刷した、縮尺五万分の一の本県の衛星画像などを展示。業績を紹介するパネルも掲示され、三陸沿岸の水質調査から始まり地球規模に拡大した横山さんの三十年にわたるリモートセンシング(遠隔探査)研究の軌跡を披露している。開館は午前十時から午後三時。休館は土、日曜と年末年始。入館無料。
(岩手日報)
○4月10日(日) 成長期待し丁寧に作業 JAいわて中央水稲種まき始まる
JAいわて中央赤石支所と水分支所の育苗センターでは、水稲の種まき作業が始まった。紫波町日詰の赤石支所育苗センターで6日、「ヒメノモチ」2200箱を種まきした。作業員は、箱いっぱいに種がまかれた育苗箱を一つずつ丁寧に育苗器へ運んでいた。JAの担当者は「今年の種籾(たねもみ)は塩水選をしなくても良いほど中身が充実している。今後は、ハウスの温度管理と潅水(かんすい)に気をつけながら育苗管理をしたい」と苗の生長に期待している。センターでは、中旬までに「ヒメノモチ」のほか「もち美人」と「ひとめぼれ」の3品種、計1万5000箱の種まきを予定。また、水分支所の育苗センターでは「ヒメノモチ」と「もち美人」「ひとめぼれ」「あきたこまち」「ササニシキ」の5品種で計1万1000箱に種まきする予定だ。
(日本農業新聞)
○4月10日(日) 南部杜氏が技競う 岩手・石鳥谷町で自醸清酒鑑評会
全国で活躍する南部杜氏が(とうじ)が醸造した吟醸酒を出品し、味わいや香りを競う南部杜氏協会主催の第87回自醸清酒鑑評会が5から8日まで、石鳥谷町の南部杜氏協会研修場で開かれた。北海道から愛媛県まで209の蔵元から641点が出品された。鑑評会は5、6日に第1審を行い、276点が通過した。7日は東京国税局の鑑定官や日本酒造組合中央会の理事ら12人が第2審を行った。協会の及川恒男会長は「昨年より出品が減少したのは残念だが、品質は確かで消費者に自信を持って勧められる吟醸酒が出来た」と話し、審査長代理で県工業技術センターの櫻井廣醸造技術部長は「レベルの高い内容で、ふくらみと甘みがある優しい味がそろった」と評価した。8日には第3審と最終の結審が行われ、上位16点を選んだ。表彰式は5月24日、同町立中央公民館で行われる。
(日本農業新聞)
○4月10日(日) とにかく降りました 今冬の雪まとめ 青森地方気象台
青森地方気象台は、今冬(二〇〇四年十一月〜〇五年三月)の県内の気象をまとめた「あおもりゆきだより」最終号を発行した。「ゆきだより」によると、十二月下旬に強い寒気が次々と南下。一月上旬にかけて強い冬型の気圧配置が続き、一月八〜十三日は毎日雪が降り続いた。一月中旬以降も約十日の周期で強い寒気が流れ込み、二月下旬にも大雪となった。このため、今冬の最深積雪は、青森市で三月三日に一七八センチと一八九四年の観測開始以来四番目を記録。一九八〇年代前半に積雪観測が始まった地域気象観測所(アメダス)は、弘前(一五〇センチ)、碇ヶ関(一二四センチ)、鰺ヶ沢(一〇八センチ)の三カ所で過去一位。五所川原(一五〇センチ)、今別(一四五センチ)、脇野沢(一二八センチ)で第二位、むつ(七一センチ)で第三位の記録となった。
(東奥日報)
○4月10日(日) 岩手・花巻圏雑穀「育ち盛り」 作付面積大きな伸び 本家♀竡闌ァ北も有機栽培PR
雑穀生産量全国一の本県で、花巻地方(花巻市、大迫、石鳥谷、東和町)が急速に生産量を伸ばしている。今年の作付面積は290ヘクタールと二〇〇二年の78ヘクタールに比べ三倍以上になる見通しだ。最大の特徴は大型機械の積極導入。稲作や大豆生産用の機械を改良し、平地が多い優位性も相まって効率的な生産を可能にした。六種類の雑穀を交ぜたブレンドパックが人気で、首都圏の八つの生協と年間契約するほか、大手外食チェーンや食品メーカーからの問い合わせも多い。これに対し、県北地方では中山間地の自然環境と、雑穀を「伝統食」としていた食文化をアピールする戦略を進める。作付面積では花巻地方の約四分の一だが、有機栽培を基本に据え、直接販売に取り組んでいる。
(岩手日報)
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○4月11日(月) 田んぼの生き物を調査 プロジェクト始動 宮城で研修会
JA全農やJA全中、民間非営利団体(NPO)「ふゆみずたんぼプロジェクト」などで構成する「田んぼの生き物調査プロジェクト」が今年度から、全国の米産地で動き出す。当面は秋田、宮城、山形、新潟、栃木のJAなどが生協と一緒になって調査を実施。生き物の視点に立った米づくりを進め、環境創造型農業を広める。プロジェクト推進の要となる生き物調査の手法を学ぶため、9、10の両日、宮城県田尻町で現地研修会が開かれた。同庁は生態系に配慮した「冬期たん水・不耕起栽培」が盛んで、県内外から生産者やJA関係者ら約130人が集まった。生き物調査の専門家が基礎調査や土壌調査の仕方を手ほどき。田んぼにすむカエルやクモ、鳥類の見分け方や調べ方などをアドバイスした。「ふゆみずたんぼプロジェクト」の岩渕成紀さんらが、水田一筆ごとの位置データを管理する「ナビゲーションシステム」や「デジタル温度計」「溶存酸素メーター」などの操作方法、水田土壌の作土の深さの測り方などを指導した。参加者は地元に戻り、イトミミズ、ユスリカ、カエル、クモ、トンボ、鳥類などがどれだけいるかを随時調べ、調査用紙に記入することにしている。
(日本農業新聞)
○4月11日(月) コエンザイムQ10作り出す 疲労回復米 農業生物資源研が開発
疲労回復などに効果があるとされる化学物質「コエンザイムQ10(CoQ10)」を含むイネを開発することに農業生物資源研究所の門脇光一・遺伝資源研究グループ研究チーム長らが成功した。CoQ10は、人間の細胞内でエネルギーをつくるのに重要な働きをする物質で、体内で合成されるが、加齢とともに、生産量は減少する。米や小麦には、人間に効用のあるCoQ10はない。門脇チーム長は、CoQ10を生成する酵素の遺伝子を細菌から取り出し、イネの遺伝子に導入。このイネを育てたところ、CoQ10を作り出していることが確認できた。CoQ10は胚芽(はいが)やぬかの部分に含まれるため、玄米で食べる必要がある。
(読売新聞)
○4月12日(火) 温湯と微生物を併用 ばか苗病にも効果 滋賀県農試
県農業試験場は、温湯消毒と微生物農薬を併用した、水稲種子の消毒体系を確立した。化学農薬を使わずに種子伝染病が防げるため、県が推奨する「環境こだわり農業」推進の足掛かりとして期待が寄せられている。水稲の温湯種子消毒は古くから普及しているが、化学合成農薬に比べ、ばか苗病に対する効果が低く、育苗センターなどでは品質低下が問題になる可能性がある。そこで、温湯消毒と、ばか苗病を防ぐ微生物農薬(トリコデルマ菌)の併用効果について試験し、発病抑制効果と発芽率に及ぼす影響を調べた。その結果、60〜62度で10分間の温湯種子消毒は、多くの伝染性病害に対して化学合成農薬と同等の防除効果があったが、ばか苗病に対してはやや劣った。温湯種子消毒と微生物農薬とを組み合わせれば、ばか苗病に対して効果が高く、そのほかの病害に対する効果も持続された。温湯種子消毒した種子を風乾させて冷暗所(平均室温14・9度)で2カ月間保存しても、発病抑制効果と発芽率の低下は認められなかった。試験場では「市販の種子は病原菌の付着が少ないため、塩水選と60〜62度・10分間の温湯種子消毒だけでも問題ない。高品質な苗が求められる育苗センターなどでは、温湯種子消毒と微生物農薬を併用した総合防除効果」としている。
(日本農業新聞)
○4月12日(火) 気を引き締め健苗づくり JAいわて花巻水稲種まき始まる
JAいわて花巻管内で2005年産水稲の種まき作業が本格化している。8日、花巻市のJA中央育苗センターでは、発芽した苗をハウスに並べる作業が行われた。減農薬栽培3年目を迎える今年度は、一部使用農薬の変更もあり、豊作を願いながら健苗づくりに取り組んでいた。センターの種まき作業は、全自動の専用機を使い5日から始まった。11人の職員らが作業に当たり、1日平均で育苗箱4000枚、19日までに3万6000枚を処理。この日は1センチほどに芽を出した、初日に種まきした苗をハウス内に並べた。JAでは産地間競争が激化し、求められる米作りに取り組むため、今年度は使用農薬を県の慣行基準(16成分回数)の半分以下にしようと、04年産の10成分を8成分まで減らす。担当者は「大幅な作業の変更はないものの、種まき時期に農薬を使わない分、ハウス内の温度と水の徹底した管理が求められる」と気を引き締めていた。JAでは西南、大迫両育苗センターを含め、今月下旬までに合計10万4000枚に種まきする。大型連休中に田植えを計画している農家に対応するため、育苗した苗を5月4日から供給する予定だ。
(日本農業新聞)
○4月12日(火) いもち病備え育苗期防除 秋田・JAかづの水稲育苗センターも
JAかづの水稲育苗センターは7日、今年産水稲の種まきを始めた。22日までに約16万箱、面積にして500ヘクタールの分の芽出しを行い、農家に供給する。センターは1997年の稼働。農家の高齢化も伴って育苗注文は年々増加している。品種は「あきたこまち」が9割を占める。消毒済み種子を使った種まきはほとんどがコンピューター制御で、ベルトコンベヤーに育苗箱をセットすると床土入れから種まき、覆土までが自動的に行われる。育苗箱はスチーム発芽室で約3日間かけて発芽させる。管内では昨年、いもち病が大発生したため、試験で予防に最も効果があった育苗期防除をセンターで行う。「効果の高いデラウス顆粒(かりゅう)水和剤で処理するので、箱1枚当たり約17円のコストアップだが、管理がしやすくなるなど収量・品質アップのメリットは大きい」(JAかづの営農指導課)。大雪の影響もあり、例年より芽出し苗の引き取り状況はやや遅れ気味で、ピークは20日ごろとみている。
(日本農業新聞)
○4月12日(火) 米ぬかで転倒防ぐ レース用自転車タイヤ 東北イノアックと東北大開発
ゴム・プラスチック関連製品の製造販売を手掛ける東北イノアックは東北大と共同で、米ぬかから開発したセラミックを配合することで性能を高めたレース用自転車タイヤを開発、近く全世界で発売する。乾燥した路面でもぬれた路面でも高い性能を発揮するのが特徴。同社では今後、凍結した路面などに適した一般向け自転車タイヤなどへの応用も検討する。開発した製品は「レッドストーム」。公路などで長距離を競うロードレース向けで、国内での販売価格は一本四千四百十円で、最高価格帯とした。同製品はタイヤのゴムに一粒二百−三百ミクロンメートルのセラミック粒子を一本あたり約二万−二万五千粒配合した。セラミックは米ぬかにフェノール樹脂を合わせた上で焼成したもので、東北大大学院の堀切川一男教授が開発した。ゴムを軽量化すると抵抗を抑えられるため高速走行が可能になるが転倒しやすくなる。同粒子を配合することでスパイク効果を発揮し、直線での高速走行とカーブでの安全な走行の両立を可能にした。また、粒子は多孔質なため路面の水分を吸収し、ぬれた路面でもグリップ力を保つという。既に三月に台湾で開催されたショーに展示したほか、五月には上海、夏以降米国や欧州の展示会で商談を始める。同社若柳工場(宮城県栗原市)で生産し、グループの井上ゴム工業(名古屋市)を通じて輸出する。東北イノアックの二〇〇四年九月期売上高は六十九億円。うち自転車タイヤはインドネシアなどへの生産移管により生産量がピーク時の六分の一程度に落ち込んでおり、三億円程度になっている。国内の生産拠点は今回の製品など高付加価値品に特化してく戦略だ。
(日本経済新聞)
○4月13日(水) GM稲栽培実験で農水省 交雑防止へ隔離を強化
農水省は12日、遺伝子組み換え(GM)稲の栽培実験による交雑を防ぐため、現行の栽培実験指針より厳しい隔離措置を取るよう試験研究機関や都道府県、関係団体などに通知した。ほかの稲栽培地からの隔離距離を、現行指針の20メートル以上から26メートル以上に延長し、出穂期も2週間以上ずらす。農業・生物系特定産業技術研究機構東北農研センターが、2004年度に行った稲の花粉飛散と交雑の調査を踏まえた措置。調査では、花粉親の稲「おくのむらさき」の花粉が最長25・5メートル離れた風下の種子親の稲「ヒメノモチ」と交雑したことが分かった。一方、風下の「ヒメノモチ」の出穂期が、花粉親の「おくのむらさき」の出穂期より2週間程度遅れると、60センチの距離でも交雑しなかった。同省は、今年秋から栽培実験指針を見直す予定で、新たな交雑防止策はそれまでの暫定的な措置になる。
(日本農業新聞)
○4月14日(木) 環境米=@全面にPR 農家そろってエコファーマー 岩手・JA江刺市
岩手県JA江刺市は今年産米から、環境に優しい米作りをより全面に押し出した特別栽培米の販売を強化する。米販売農家の98%に当たる3386人が昨年末までに県のエコファーマー認定を取得済み。従来の減農薬・減化学肥料栽培だけでない売り物ができたことから、販売に一層の弾みをつけたい考えだ。2003年度までの認定者は約700人にとどまっていたが、昨年11月以降、1戸ごとに土壌診断を行い、施肥設計などに力を入れた。その結果、今年3月には一気に2665人が取得。県内認定者の約76%を占めるまでになった。農水省によると、水稲での認定者数としては全国で最も多い。良食味米として全国的に有名な「江刺金札(きんさつ)米」を出す同JAは1995年産米から、市内全域で減農薬栽培に移行。2004年産は出荷契約農家の水稲作付け全面積の3245ヘクタールで、特別栽培米に取り組んだ。今後はエコファーマーであることもPR。「江刺金札米ブランドを継承しながら、どこにも負けない日本一の産地を目指したい」(農産課)と意気込んでいる。
(日本農業新聞)
○4月15日(金) 自動的に水稲種まき 福島・JAすかがわ岩瀬の育苗センター
JAすかがわ岩瀬にある水稲育苗センターはこのほど、今年初めての種まきを行った。10人ほどで作業を行い、「ひとめぼれ」620枚、「コシヒカリ」3850枚(種子は1枚に約150グラム、合計で約670キロ)をまいた。ベルトコンベヤー上に箱をセットすると@土を入れるAかん水・消毒B催芽させておいた種子をまくC覆土させるという一連の工程が自動的に行われた。まかれた種子は、31度に保たれた育苗機の中で2日半で芽が出てハウスの中に移され、20〜25日で田植えができる状態となる。育苗センターは、水稲種子の芽出しから硬化までの工程を管理し、各営農事務所で苗を予約した生産者へ届ける業務を行っている。主に西袋営農事務所が中心となり4〜5月にかけて作業をおこない、2万7000枚(約4トン)の種子がまかれる予定だ。
(日本農業新聞)
○4月15日(金) 発芽胚芽米、食味ぐんとアップ 会津コシ使い開発 福島・会津本郷の三セク
福島県会津本郷町の第三セクターの農業生産法人「米夢(まいむ)の郷」は、町内産コシヒカリを使った発芽胚芽米の開発・商品化に成功、今月下旬から販売する。商品名は「白い発芽胚芽米」。発芽玄米から胚芽を残してぬかを取り除いた。ビタミンやミネラルなどの栄養分をほとんど損なわないまま、より白米に近い食味が得られ、消化吸収も良くなる。胚芽に含まれるアミノ酸の一種「ギャバ」は、血圧降下や脳細胞の代謝促進、肥満防止などに効果があるとされる。発芽させることでギャバの量は増加する。小売価格は一キロ当たり千円程度になる見込み。個人向け販売は来月から始める予定で、電話やインターネットで注文を受け付ける。連絡先は米夢の郷0242(57)1505。
(河北新報)
○4月16日(土) 純米酒が完成 自ら栽培 地区民も協力 山形・西川の設楽さん
地元・西川町睦合の水とコメにこだわった酒を造りたいという一人の若者の熱意、意気に感じた地元住民らのコメ栽培協力、うまく溶け合い純米酒が出来上がった。酒を造ったのは、地元の酒蔵「設楽酒造店」の製造部長を務める設楽亮輔さん。自ら育てたコメで若者にも親しまれる酒を造ろうと去年五月、約五十アールの休耕田を借りて「はえぬき」を植えた。地元農家も作業用の機械を貸してくれたほか、地区の若者らで組織し、亮輔さんも所属する「徳内ばやし」の団体「睦愛会」の仲間も、田植えや稲刈りなどに協力した。約三トンを収穫し、にごり純米酒「雪ゆらり」、純米酒と本生純米酒の「酔い祭り」として商品化した。アルコール度数を抑え、すっきりした味に仕上げたという。「雪ゆらり」は七百本限定で、五百ミリリットル入り希望小売価格千円(税込み)。町内の酒販店で販売を始めた。「酔い祭り」は来月三日の地元の春祭りに合わせて発売する予定で、純米酒、本生純米酒とも五百本限定。いずれも七百二十ミリリットル入りで千三百円(税込み)。
(山形新聞)
○4月16日(土) 魚沼コシ作付け 地区ごと断念 新潟被災地、大雪追い打ち
新潟県中越地震の被災地で、地域が丸ごと新米の作付けを断念する事態が現実になった。45戸が作付けする魚沼市(旧堀之内町)新道島地区。震度7を記録した川口町と隣り合う同地区の計14・8ヘクタール。ブランド米「魚沼コシヒカリ」の産地だが、地震被害に大雪、さらに雪解けの遅れが重なり、田植えまでにすべての水田を復旧させるのは無理と判断した。農林水産省のまとめでは、中越地震による農地や農業用水などの被害は約1万5千カ所、687億円に上がる。
(朝日新聞)
○4月17日(日) 丈夫な水稲苗作りへ 温度・水管理を 宮城・JA古川が現地指導会
良質米生産のための健苗育成を目的に、JA古川は11日から管内各地で育苗現地指導会をスタート。支店営農担当職員が各農家組合員の苗の生育状況を見ながら、温度管理、水管理などの育苗のポイントを呼び掛けている。12日、高倉支店堀込地区の残間昇さんのハウスで開かれた指導会には農家組合員8人が集まった。支店営農担当職員から、@硬化期の苗の日中温度は20度内に保ち、高温が予想される場合の早朝からの換気の徹底A低温が予想される夜間の保温対策B水温と気温の較差の少ない朝の十分なかん水の3つのポイントを中心に呼び掛けた。JAでは近年、育苗期間内の高温多照による育苗の障害が多く見られることから、各農家組合員に指導会を通して「売れる米づくり」のため、温度管理、水管理の徹底を呼び掛け、がっちりした丈夫な苗作りの指導を図る。
(日本農業新聞)
○4月19日(火) 実例に重要性学ぶ 環境保全型農業で討議 宮城・松山町でフォーラム
「今なぜ環境保全型農業なのか」をテーマに、第3回松山町の米、水、人フォーラムが16日、松山町の一ノ蔵本店で開かれた。県内で環境保全型農業に取り組む実践者3人をパネリストに、環境に優しい農業の推進を討議。「自らの姿勢を正し、地域での一つひとつの取り組み」の重要性などが提起された。フォーラムは、松山町の活黹m蔵が主催し、町内外から一般参加者70人が出席した。一ノ蔵農社・櫻井武寛代表がコーディネーターを務め、パネリストの松山町酒米研究会の小原勉会長は、一ノ蔵とともに、高品質の酒米作りを目指し、環境に優しい米作りの実践などを報告した。みちのく田んぼの学校・佐々木陽悦代表(田尻町)は、スライド「環境保全型稲作と生物の多様性」で、環境保全型農業の実践を報告。米ぬかとくず大豆による除草効果や田んぼでの豊かな生き物生息の状況なども紹介した。また、セリ栽培農家の三浦隆弘氏(名取市)は、「なとり農と自然のがっこう」などでの活動を紹介した。松山町酒米研究会は1995年の設立。松山町の酒米生産農家29人と酒造会社一ノ蔵などで構成する。一ノ蔵は、松山町の「醸華邑(じょうかむら)」構想推進の中、05年から水田農業活性化特区の取り組みで、環境保全米の栽培を行う。
(日本農業新聞)
○4月19日(火) 良質な苗の供給めざす 宮城・加美町の芋沢エコライスプラント
兼業化が進む中、農業に水稲用の苗を供給している加美町の「芋沢エコライスプラント」は、JA加美よつばの育苗センターを利用し苗作りをスタート、順調に推移している。田植え最盛期の5月中旬に合わせ、4月7日から1日10000箱ずつ、種まきを開始。プラントは13棟のハウスで3品種「ひとめぼれ」「まなむすめ」「ササニシキ」を水田面積約65ヘクタール分に相当する1万3000箱を育苗、供給する予定だ。一昨年までは、JAで育苗センターを運営し、苗を供給していたが、現在は同プラントに施設を賃貸し作業を委託した。同プラントは、芋沢集落を単位とした水稲の受託作業組織。
(日本農業新聞)
○4月19日(火) 暖冬一転、豪雪と寒波 東北 今冬の天気・気温
今シーズンの東北の冬は、初めのうちこそ高温少雪の暖冬ペースだったが、年末に一転して冬型が加速したのが特徴だ。太平洋側で雪の多さが特に目立つ。仙台や大船渡の降雪量は平年の約一・六倍に達した。仙台管区気象台は「関東から三陸沖に低気圧が頻繁に抜け、冷たい空気が入りやすかった」と説明する。各地とも年末に冬型の気圧配置が強まり、大雪をもたらした。青森は降雪量が一〇メートルを超え、観測史上五番目の豪雪を記録した。三月になっても各地でかなり雪が降ったのも特徴だ。
■3月も低温続く
昨年十二月は比較的暖かい日が多く、平均気温は全観測地点で平年を上回った。一月は平年並みで、二、三月はほとんどで平年を下回った。管区気象台は「一月以降は偏西風の蛇行で寒気が南下しやすくなり、寒い日が多かった」と分析する。仙台は平年で二・二日ある真冬日(最高気温が零度未満)こそゼロだったが、逆に冬日(最低気温が零度未満)は計七十八日に達し、平年より二・三日多かった。
■日照時間も不足
二、三月は日照時間もかなり少なかった。とりわけ二月は「観測レベルで十年に一度」という少ない日照時間を記録した地点が、太平洋沿岸部などで続出した。秋田と酒田は二月、青森は三月に、月間日照時間の最短記録を更新。連日のどんよりした空模様が、冬後半の寒さをより印象付ける形となった。
(河北新報)
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○4月21日(木) 04年度の成果公開 岩手県立農業研究センター
岩手県立農業研究センター(北上市)は春の一般公開を行っている。試験研究の成果を県民に知ってもらうために毎年開いている。会場では、スライドやパネル展示などで、バイオテクノロジーなどを利用した、独自の開発や商品性の高い品種、低コスト生産技術などを報告。04年度は、耐冷性に優れた水稲「岩手68号」、花きではリンドウの新品種育成などの成果を上げた。これらの概要をパネルや資料を紹介している。22日までの期間中は、試験研究に関連した施設や圃場(ほじょう)も自由に見学できる、時間は、午前8時30分から午後5時まで。問い合わせは同研究センター、(電)0197(38)4402。
(日本農業新聞)
○4月21日(木) 過去から未来一目で体感 岩手・北上市の農業科学博物館
北上市の県立農業ふれあい公園・農業科学博物館で、春季一般公開を行っている。山菜の写真や県内の農家から寄贈された貴重な資料などを展示。農業の、過去・現在・未来の様子が一目で体感できる。博物館は、「農業の歴史館」と「農業の科学館」からなる。歴史館では、歴史の偉人や食生活の移り変わり、昔の農機具、民具を展示。科学館では、パソコンを使ったクイズやゲームなどで楽しみながら農業を学べる展示が行われている。春季一般公開中の24日までは入場無料。問い合わせ。同博物館、(電)0197(68)3975。
(日本農業新聞)
○4月21日(木) 1等は82% 04年産米検査結果
東北農政局は20日までに、2004年産米(水稲うるち玄米)の3月末現在の検査結果を発表した。東北6県全体の1等米比率は82・8%で、前年同期を3・4ポイント上回った。検査数量は152万8763トンで、前年同期比135・7%だった。各県の検査数量、等級比率は表の通り。品種別の1等米比率は、青森「つがるロマン」87%、岩手「ひとめぼれ」90%、宮城「ひとめぼれ」82%、秋田「あきたこまち」79%、山形「はえぬき」86%、福島「コシヒカリ」89%。
2004年産米の検査状況(3月末現在)
水稲うるち玄米(単位:t、%)
| 検査数量 | 1等 | 2等 | 3等 |
青森 | 2004年 | 192,075 | 83.9 | 15.0 | 0.9 |
2003年 | 101,494 | 53.8 | 30.9 | 9.0 |
岩手 | 2004年 | 186,928 | 88.8 | 9.5 | 1.5 |
2003年 | 115,608 | 86.4 | 10.1 | 2.6 |
宮城 | 2004年 | 272,108 | 79.9 | 18.2 | 1.7 |
2003年 | 144,577 | 59.6 | 33.9 | 5.0 |
秋田 | 2004年 | 335,362 | 76.3 | 15.3 | 5.2 |
2003年 | 337,243 | 85.2 | 12.1 | 1.6 |
山形 | 2004年 | 277,248 | 83.1 | 13.0 | 2.6 |
2003年 | 243,514 | 86.1 | 11.7 | 1.2 |
福島 | 2004年 | 265,041 | 89.0 | 10.2 | 0.7 |
2003年 | 184,428 | 85.2 | 12.3 | 1.6 |
(日本農業新聞)
○4月23日(土) 米、小幅上げ 一部銘柄に品薄感 第10回入札
全国米穀取引・価格形成センターが22日開いた2004年産米の第10回入札取引で、低迷していた価格が小幅ながら上げた。全銘柄の平均落札価格は前回(2月)より0・8%(125円高い)1万5368円。過去の4月の取引と比べると最低の水準だが、品薄感が漂い始めた一部銘柄を中心に、米卸の積極的な買い注文が入った。今回は60銘柄・5万6666トンの上場。落札率は前回の95%から98%に上がり、04年産取引で最も高くなった。上場量に対する米卸の注文数量の倍率は2・2倍。04年産としては初めて、2倍を超えた。一部の銘柄は急反発。福島「コシヒカリ」が3地区ともそろって上げ、新潟・岩船「コシヒカリ」や九州産銘柄も上げた。「店頭での販売が鈍く、高値を修正する動きが出た」(大手卸)ことから、高級銘柄の新潟・魚沼「コシヒカリ」、福岡県で人気が高い「夢つくし」は急落。魚沼「コシヒカリ」は、2000年産並みとなった。
(日本農業新聞)
○4月23日(土) 大豆、前月比下げ 高値限界で1万9360円 4月入札
2004年産大豆の入札価格が始めて、前月の価格を下回った。日本特産農産物協会が22日発表した4月の入札結果によると、落札平均価格は3月の入札価格よりも5%(892円)安い60キロ1万9360円(税込み、前年同期比40%高)となった。入札は20日の1回で、上場数量はほぼ予定通りの4500トン。普通大豆の入札数量は前回より300トン多い2806トンで、全量が落札された。三重・中粒「フクユタカ」の落札価格(以下税別)は2万4449円(前月比4%高)で、全銘柄中の最高値。前回上場されなかった山形・中粒と大粒の「リュウホウ」がともに2万3640円、岐阜・大粒「フクユタカ」が2万4150円(同3%高)だった。主要銘柄では宮城・大粒「タンレイ」が前月並みの1万8750円だったが、茨城・大粒「タチナガハ」は1万9824円(同6%高)と上げた。一方新潟・大粒「エンレイ」は2万1009円(同2%安)、福岡・中粒「フクユタカ」は2万800円(同13%安)で、それぞれ前月を下回った。入札者数は前回の120社から100社に減った。入札倍率も10倍から8倍程度に下がったが、それでも高くて手が出せない買い手もあったとみられる。
(日本農業新聞)
○4月23日(土) 堆肥散布増える 秋田・JAうご
雪消えが遅く農作業への遅れが心配されていたJAうご管内で、例年より1週間ほど遅く18日から堆肥(たいひ)の散布作業が始まった。2台のマニュアルスプレッダーがフル稼働し、水田約250ヘクタールに散布する。管内水稲作付け予定面積の約40%で、年ごとに散布面積は増加している。JAは、循環型農業の実践と高品質米生産を米販売戦略の基本と位置付け、化学肥料の使用から堆肥利用へシフトさせながら、管内米生産者の意識改革を図っていく。春作業本番を迎え、堆肥散布作業は5月連休明けまで続く。
(日本農業新聞)
○4月23日(土) 求められる米作ろう 稲作部会が重点目標 宮城・JA加美よつば
現状を把握し、消費者・買い手の求める米を提供する「買ってもらえる米作り」に向けて、JA加美よつば稲作部会は活動を開始した。JAは、奥羽山脈を源流とする豊富で美しい「一番清水を活用した米作りに取り組んでいる。事業では、安心・安全な米作りは当たり前の時代ととらえ、「買ってもらえる米作り」のため、安定した良品質米の出荷、混米防止の徹底に取り組む。特に地域特性を生かし、「ひとめぼれ」「ササニシキ」「まなむすめ」「蔵の華」(酒造好適米)「みやこがねもち」(もち米)などの多様な栽培の推進を重点目標に掲げた。各地区で水稲の現地検討会が開かれており、育苗管理の注意点や田植え適期の指導を行っている。
(日本農業新聞)
○4月27日(水) 直まきすべて加温出芽方式 除草剤を早期施用 秋田の研究会
秋田県の横手市直播(ちょくはん)研究会は、今年も水稲直まき全面積で種もみをカルパー(酸素補給剤)コーティングしてから加温出芽する方式を取り入れる。出芽を早めることで除草剤の早期施用につなげる。種まきの方法は「潤土土中条播(は)」だ。JA秋田ふるさとは2002年、一部で加温出芽を試した。カルパーでコーティングした後、温度を25度に保った加湿式の育苗機に丸1日入れる。当初は種まきや秋作業の分散が目的だったが、無加温より出芽がやや早まるという結果を得て、03年から直まきすべてにこの方式を導入した。同JA横手市・山内村営農センターは「直まきの一番の問題は除草だ。1日でも2日でも早く出芽すれば、それだけ早く除草剤をまける」と、全面導入の狙いを説明する。
(日本農業新聞)
○4月27日(水) 健苗作りのポイント学ぶ JAいわて南あぜみち相談会
健苗作りのポイントを学ぶ第2回あぜみち相談会がこのほど2日間、JAいわて南管内172会場で行われた。両日はJAの営農指導員が出芽から2葉期、3葉期など生育ステージに合わせた温度・水管理のポイントのほか、栽培管理記録簿記帳の重要性などを指導した。指導した吉野孝亮農産課長は、2〜3葉期を迎えころは昼と夜の急激な寒暖の差による「むれ苗」の心配があることを指摘。「温度計はハウスの高い位置でなく、苗箱の近くにつり下げ、常に温度を確認すること」と注意を促した。
(日本農業新聞)
○4月28日(木) コメ価格 底入れ感 未端消費に回復の兆し 卸間市場
コメの卸間市場の取引価格が底入れしたとの見方が広がっている。農家などの直売がヤマを超えたのに加え、消費回復の兆しがあらわれ、市場の弱気ムードが後退したためだ。相場上昇の継続性を疑問視する向きもあるが、昨秋の収穫期以降続いていた下落基調は転換した公算が大きい。高級銘柄の福島・会津産コシヒカリは現在、六十キロ一万六千円前後(中心値)で一カ月前に比べ三百円(二%)値上がりした。山形・庄内産はえぬきも同一万四千五百円と同三%上昇した。新潟産コシヒカリ(一般)も堅調さが目立つ。卸会社の間では「前年割れが続いた販売量が三月以降、前年同期比二割強の増加に転じた」(東京の大手)など、販売が回復しているところが多い。卸を通さず量販店や外食など大手需要家に直売してきた単位農協の販売もほぼ一巡。大手需要家の仕入れが卸に回帰しているもようだ。また農水省のまとめによると一人あたりのコメ消費量は昨年十二月が前年同月比マイナス〇・六%だったが、今年一月は横ばい、二月が一・三%増と改善傾向をみせている。「相場の下落で値ごろ感が出たことが寄与した」(量販店関係者)という。
(日本経済新聞)
○4月29日(金) 「焦らず作業」呼び掛け 育苗状況など調査 やまがたこだわり安心米推進運動本部
JAグループ山形などが加盟する、やまがたこだわり安心米推進運動本部は28日、水稲作業の進ちょくや育苗状況を巡回調査した。農作業は、雪解けの遅れから2日から3日遅れているという。本部員20人で編成したパトロール隊は、上山市のJA山形上山西郷育苗センターを訪問。ハウス内に入った本部員は、草丈や太さ、色付きなどを測定した。本部は「草丈はやや低めだが、ここ数日の高温で生育が進み健苗での出荷は5月13日以降の見込み。雪解けの遅れで全般的に作業が遅くなっているが焦らず、気候条件に合わせて作業に取り組むこと」と注意を呼び掛けた。同所では1万7300枚を育苗している。「はえぬき」が95%、「ササニシキ」5%の品種構成。今月13日から17日に種まきした。1週間かけて出芽、緑化の後、ハウスに移動して育苗している。
(日本農業新聞)
○4月29日(金) 減数分裂期の肥培管理学習 宮城・JAみどりの麦類現地指導会
JAみどりのは、管内6営農センターで2005年度麦類現地指導会を開き、生産集団や担い手農家が減数分裂期の肥培管理について知識を深めた。南郷営農センターで、このほど開かれた指導会には生産者25人が参加。小牛田農業改良普及センターの担当職員が、町内の品種別3調査圃(ほ)の茎数や幼穂長などの調査結果に基づいて、追肥の時期と施肥量を指導した。今年産の小麦は、種まき時期の遅れと湿害の影響で茎数・葉数・幼穂長などの生育に1週間から10日の遅れが見られ、出穂時期は5月15日から20日と予想される。
(日本農業新聞)
○4月30日(土) 本格焼酎えさし乙女 「金札米」100%使用 岩手・JA江刺市
県内最多の水稲部門エコファーマー認定者を誇るJA江刺市は、「江刺金札米」を100%使った本格米焼酎「えさし乙女」の新酒販売を5月3日から始める。「えさし乙女」は、JAが加工用米の付加価値を高めようと、2003年から熊本県の酒造会社に委託して製造を始めた。こうじにも「江刺金札米」を使い、蒸留ろ過用の木材も江刺産の極上ナラ材を使っているほか、製造工程に生産者が応援研修に出向くなど、生産者とJAのこだわりの焼酎だ。今回で3回目の販売となり、昨年の2倍の2万4000本を製造。出来は、江刺金札米のうまみと香りが生きたすっきりとした味わいで、昨年と比べ、よりまろやかに仕上がっている。価格はアルコール度数40度(黒瓶)が2100円、25度(白瓶)が1300円で、市内の酒販売店と産直施施設「江刺ふるさと市場」で販売する。また、販売開始に合わせ同産直施設では、「ゴールデンウイークセール」として新酒試飲会も行う。「江刺金札米ひとめぼれ」は、(財)日本穀物検定協会認定の食味ランキング「特A」を、連続10年獲得。昨年度からは減農薬栽培に加えて、減化学肥料栽培で特別栽培米を市内一円で取り組んでいる。今年3月には生産者の9割以上がエコファーマー認定を受け、県内認定者の約76%を占めている。05年産から「エコファーマー米」として販売強化していく。
(日本農業新聞)
○4月30日(土) 健苗作りへポイント学ぶ 宮城・JA仙台現地検討会
JA仙台はこのほど10日間、育苗現地検討会を管内各地で開き、健苗作りのための指導・意見交換を行った。岩切管内7カ所で開かれた検討会では、支店職員、営農センター職員、県農業改良普及員らが、生産者とともにハウスを巡回。緑化期を迎えた「ひとめぼれ」の管理ポイントを中心に、今後の育苗管理に必要な追肥、水管理、病害虫防除について確認した。鶴ヶ谷地区の川嶋松治さんの育苗ハウスには9人の農家組合員が参加。順調に成長した苗を見ながら@病気にかかっていないことA草丈が伸びすぎていないことB茎が太いことC根が太くて多いことD葉色が適当であることの5点をチェックした。復元田(転作跡地)の対策として、けい酸質肥料などの施用による稲体強化を呼び掛けた。田植えは、2003年の冷害を機に、さらに晩期型へ移行傾向が強くなったため、5月初めの連休を避け、第2・3週に行う農家が多くなる見込みだ。
(日本農業新聞)
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