2002年仙台管区気象台発表予報

4月22日発表3ヶ月予報


 本情報は仙台管区気象台発表の3ヶ月予報内容をお知らせします.


○4月22日発表 3ヶ月予報(5月,6月,7月)

  1. 予想される天候
    <3か月(5〜7月)の気温の各階級の確率(%)>
    3か月平均気温の各等級の確率

    <可能性の大きな天候見通し>
    5月 高気圧と低気圧が交互に通り、天気は周期的に変わるでしょう。晴れの日が多い見込みですが、晩霜の恐れがあります。
     気温は高く、降水量は平年並でしょう。

    6月 天気は概ね周期的に変わりますが、前線やオホーツク海高気圧の影響で、平年と同様に東北太平洋側を中心に曇りや雨の日が多い見込みです。
     気温、降水量共に平年並でしょう。

    7月 前線やオホーツク海高気圧の影響で、平年と同様に曇りや雨の日が多い見込みです。その後は、太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多いでしょう。
     気温、降水量共に平年並でしょう。

     なお、3か月降水量は平年並の見込みです。

  2. 前回(3月20日)発表3か月予報からの変更点
     なし

  3. 暖候期の天候見通し(6〜8月)
     3月から4月前半の天候経過をふまえ暖候期の天候について検討しましたが、3月11日に発表した暖候期予報の内容に変更はありません。
    夏(6〜8月)の気温の各階級の確率(%)

  4. 最近の天候経過
    4月上旬:天気は概ね周期的に変化したが、天気の崩れは小さかった。東北南部は晴れて気温の高い日が多く、2日小名浜の最高気温26.1℃は4月として第1位の記録となった。
     なお、9〜10日には各地で黄砂を観測した。
     桜の開花は、山形3日、酒田4日、秋田7日、宮古8日と共に最も早かった。
     平均気温平年差は、東北地方で+2.6℃とかなり高かった。降水量平年比は、東北日本海側で30%とかなり少なく、東北太平洋側で55%と少なかった。日照時間平年比は、東北北部で103%と平年並、東北南部で114%と多かった。

    4月中旬:天気は概ね周期的に変化した。15日は、高気圧に覆われ晴れて気温が上がり、夏日を観測した所が多かった。また、17日は寒冷前線が通過し、東北日本海側でまとまった降水があった。
    なお、11日には各地で黄砂を観測した。
    桜の開花は、盛岡11日、八戸13日、青森14日で、盛岡と青森では最も早かった。
     平均気温平年差は、東北地方で+3.2℃とかなり高かった。降水量平年比は、東北地方で62%と平年並だった。日照時間平年比は、東北地方で98%と平年並だった。

  5. 循環場の特徴
    4月(21日まで):500hPa高度場では、オホーツク海付近に低圧部があるが正偏差となっている。また、アリューシャン列島付近には強い正偏差域があって北日本まで覆い、日本付近は広く正偏差となった。このため、東北地方は寒気の影響をほとんど受けなかった。
     偏西風の流れは、日本付近で東西流が卓越しており、天気は概ね周期的に変化した。
     東北地方は、1月から引き続き高温となっている。4月も低気圧が日本海や北日本を通過することが多く、南から暖かい空気が流れ込んだり、高気圧に覆われ晴れる日が多く、気温は平年より3℃程度高くなった。

  6. 太平洋赤道域の状況
     エルニーニョ監視海域(北緯4度〜南緯4度、西経150度〜西経90度)の3月の海面水温の基準値(1961〜1990年の30年平均値)との差は+0.3℃だった。
    3月の太平洋赤道域の海面水温は、東経160度から西経170度と西経110度以東で平年より0.5℃以上高く、西経100度付近と西経90度から西経85度にかけては+1℃以上の正偏差が見られた。一方、西経135度付近と西経115度付近には-0.5℃以下の負偏差が見られた(下図)。
     3月の南方振動指数は-0.2だった。(南方振動指数は貿易風の強さの目安であり、正(負)の値は貿易風が強(弱)いことを示す。)
     太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、東経150度・深度100mから西経80度・深度50mにかけての広い範囲で平年より1℃以上高かった。太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度-時間断面図では、11月末に西経160度にあった+0.5℃以上の正偏差域の東端が東進し、2月下旬に南米沿岸に到達した後、西経95度以東に+1℃以上の正偏差が現れた。また、3月の間に東経145度から西経140度にかけて+0.5℃以上の正偏差域の東進が見られた。

  7. エルニーニョ現象等の今後の見通し(2002年4月〜2002年10月)
     夏にはエルニーニョ現象が発生する可能性が高いと予測される。
    【解説】
    3月の監視海域の海面水温の基準値からの差は+0.3℃と、今年になって増大する傾向が続いている。また、太平洋赤道域の海面水温は西経110度以東で平年よりも0.5℃以上高く(前頁図)、東経150度・深度100mから西経80度・深度50mにかけての広い範囲で水温が平年より1℃以上高かった。海洋ではこれらエルニーニョ現象発生の兆候と見られる特徴が現れてきているが、一方、南方振動指数は-0.2で、貿易風の強さはまだ平年に近い状態にある。
    エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温の基準値との差が4月から7月にかけて次第に増大し、その後も海面水温が基準値より高い状態が持続すると予測している(右図)。
    以上のことから、監視海域の海面水温の基準値との差は、今後次第に大きくなり、夏にはエルニーニョ現象が発生する可能性が高いと予測される。貿易風の強さはまだ平年に近い状態であるが、一旦弱まればエルニーニョ現象が発生する可能性は一層高まることから、今後の推移を注意深く監視する必要がある。

    エルニーニョ監視海域の海面水温偏差予測
    エルニーニョ予測モデルによるエルニーニョ監視海域の海面水温偏差予測
     この図は、エルニーニョ監視海域の海面水温(基準値との差)の先月までの推移(折れ線グラフ)とエルニーニョ予測モデルから得られた今後の予測(ボックス)を示している。各月のボックスは、海面水温の基準値との差が70%の確率で入る範囲を示す。(基準値は1961〜1990年の30年平均値)

  8. 参考資料



 
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