水稲冷害研究チーム
2004年東北稲作動向
本情報は新聞記事等から得られる東北地域の稲作概況をお知らせするものです.
稲作の動向と冷害関連記事に注目して,概況を追跡します.
なお,記事の収集については東北農業研究センター情報資料課児玉課長さんにご協力をいただいています.
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○2月3日(火) 03年冷害と教訓 高収量農家と低収量農家の差は… 東北農政局調査
冷害に見舞われた二〇〇三年の水稲では、経営規模が比較的大きく、基本技術を実施した農家が高収量を挙げていたことが、東北農政局の調査で分かった。深水管理の実施や、いもち病への適切な防除対応が重要だったことを裏付けている。同農政局統計部が管内の作柄調査対象農家に対して緊急にアンケート調査したもの。このうち、宮城県内の三百五十六サンプルについて、収量が多かった上位三十農家(平均収量五百二十キロ)と、収量が少なかった三十農家(同百二キロ)に分け、対応技術などを比べた。それによると、「高収量グループ」の平均面積は二・八六ヘクタール、農家専従者は60%が「いる」となっている。「低収量グループ」の面積は二・一九ヘクタールで、農家専従者がいる比率は37%だった。収量が高いグループは規模が大きく、専従者もいることが分かる。高収量グループの品種構成は耐冷性極強の「ひとめぼれ」(50%)、やや弱の「ササニシキ」(33%)、極強の「コシヒカリ」(7%)、極強〜強の「まなむすめ」(7%)、やや弱の「ササニシキBL」(3%)と、品種が分散していたのに対し、低収量グループは「ひとめぼれ」(73%)、「ササニシキ」(27%)の二品種に偏っていた。出穂期は、高収量グループが八月十三日〜十五日に63%が集中するなど遅かったのに対し、低収量グループは八月九日までに47%、十〜十二日に40%と、ほとんどが八月前半までに出穂していたことが分かった。収量が高いグループでは出穂が数日遅かったことが分かる。ただし、なぜ出穂が遅かったのかまでは分かっていない。前歴深水管理を行ったのは高収量グループが63%、低収量グループが33%と、差が開いた。危険期深水管理の実施率はどちらも73%だった。どちらも危険期深水管理はしているが、収量が高かった人たちは、早めに深水管理をしていたことが分かる。実施時期が明暗を分けた形だ。いもち病防除の実施率は、両グループとも同じ程度か、高収量グループが少ない割合だが、穂いもちの発生状況をみると、明らかに差が出る。高収量グループは「ほ場全体に広がった」と答えた人は0%、逆に「発生なし」は60%と高い。これに対し、低収量グループでは「ほ場全体に広がった」が37%と多く、「発生なし」は13%にすぎない。これは集団防除の実施率が、高収量グループの場合、葉いもちで63%、穂いもちで65%と高かったためとみられる。低収量グループの集団防除実施率は、葉いもちで33%、穂いもちでは21%。集団防除の差が、いもち病発生の差になったようだ。
(日本農業新聞)
○2月3日(火) 市町村間調整始まる コメ1トン当たり4万円 04年度青森県内
県農協中央会は二日、県から市町村単位で配分された二〇〇四年度コメ生産目標数量を市町村間で売買する「市町村間調整」の受け付けを始めた。調整金は一トン当たり四万円で同中央会が仲介し、六月末まで受け付ける。初日は、津軽地方の農協から四百二十トンを買い取りたいとの申請一件があった。この調整は、生産目標数量をさらに増やしたい場合、調整金を他市町村に支払って数量を買い取る仕組み。〇三年度までは減反目標面積による調整が行われていたが、国のコメ政策の変更に伴い〇四年度から生産目標数量による調整となった。調整は「手上げ方式」の先着順で、調整成立後は変更できないなどとし、調整金には主に生産数量を増やしたい農家の拠出金を充てる。〇三年度の県内の市町村間調整は五〇二・五ヘクタールに達し、自力で減反目標面積を消化できない津軽地方の九市町村が、十アール当たり二万円の調整金を支払い、県南を中心とした二十二市町村に面積を委ねた。委託面積が最も大きかったのは弘前市で一一二・五ヘクタールだった。
(東奥日報)
○2月4日(水) 2003年 世界の気温 過去3番目の高さ 進む温暖化裏付け
気象庁は三日、二〇〇三年の平均気温を発表した。世界の平均気温は、一八八〇年に統計を取り始めてから三番目に高い値を記録した。近年は日本、世界ともに高温が続いており、地球の温暖化を裏付ける結果となった。一年間の平均気温から過去三十年間の平均気温を差し引いた「世界の平年差」は、プラス〇・五度。一九九八年の同〇・六四度、二〇〇二年の同〇・五四度に次ぐ数値となった。冷夏の日本は過去七年間で最も低温となったが、平年差は同〇・一五度と平年を上回った。年平均気温を長期的にみると、世界的には百年で〇・七度、日本は一・〇度の割合で上昇している。同庁は「二酸化炭素濃度などの増加に伴う地球温暖化が、平均気温を上げているようだ」と説明している。
(日本農業新聞)
○2月4日(水) 納豆消費量が拡大 健康イメージ定着 東北
納豆の消費量がここ数年上昇を続け、東北の製造現場が活気づいている。二〇〇二年の東北の一世帯当たりの年間納豆消費金額は前年より10%近く増加し、さらに拡大傾向にある。製造業者は「大豆の健康イメージが定着し、〇三年の出荷量も10%以上の伸び」と口をそろえ、工場はフル稼働状態だ。納豆人気は全国的な傾向だ。総務省統計局によると〇二年、全国の一世帯当たり納豆購入額は四千百七十五円で前年比8・1パーセントの増加。東北は前年比9・5パーセント増の六千十円で、購入額、伸びとも全国平均を上回った。同省は「納豆の消費額はここ三年増加を続けている」と言う。関係者は納豆の消費増加の背景を、大豆に含まれるイソフラボンなど健康イメージの定着を挙げる一方、これまでは普及にとって障害と考えられてきた「豆本来の味」が再評価されていると分析している。従来は各社とも納豆のにおいを消す効果を持たせるなど独自に工夫した、たれ付きタイプが売れ筋だった。しかしここに来て、たれを添付しない製品の売れ行きが好調で、「豆本来の味が見直され、若者から高齢者まで幅広く食べられている」との見方が広がっている。特に納豆になじみの深い東北では、たれを添付しない製品の伸びが目立つ。萬歳食品工業は昨年春、宮城産大豆100パーセント使用で、たれを付けない新製品を東北六県で販売。スーパーやコンビニエンスストアから注文が相次ぎ、生産が追いつかない状態が続いているという。こうした状況に農家からも期待の声が上がっている。稲作のほか、転作で大豆生産にも力を入れる城内生産組合(宮城県米山市)は「安心感から国産大豆を使った製品がよく売れ、各地から引き合いが来ている」と説明。「納豆はたいていご飯と一緒に食べる。コメの消費拡大にもつながれば」と波及効果も期待している。
(河北新報)
○2月5日(木) 政府米の入札 落札率 1% 農水省
農水省は四日、政府米の入札結果(三日入札締め切り)を明らかにした。米卸への提示数量三十八万四千トンに対し、落札されたのは四千トン。落札率は1%と低調だった。割安な政府米は需要が拡大していたが、卸には、在庫負担も重くのしかかっており、政府米の購入に慎重になってきたとみられる。落札されたのは一九九七年産二千トン、九九年産千トン、二〇〇〇年産千トンなど。
(日本農業新聞)
○2月5日(木) 福島県の水稲 直まき 冷害に強い 出穂期が遅れるため
水稲の直まきが冷害に強かったことが、東北地方の稲作関係者の間で話題になっている。出穂期が遅れるため、昨年の場合七月の低温と危険期が重ならなかったためだ。福島県では、平年の直まきの収量とあまり変わらない十アール四百五十キロをとっている。同県では年々直まきの面積が増加し、昨年は千ヘクタールまで増えた。ほとんどがたん水直まきで、「コシヒカリ」「ひとめぼれ」などが多い。昨年の種まき時期は四月末から五月初めにかけて。一般の田植えに比べ二週間ほど早かった。出穂期は八月中旬以降になり、最終的な収量は平均四百五十キロほど。例年よりやや少ない程度だったという。一般の移植栽培では、七月下旬の低温と最危険期(減数分裂期)が重なり、障害不ねんとなるケースもあった。これに対し直まきは「生育が遅れるため、被害が最小限に抑えられた」と同県ではみている。昨年は倒伏も少なかったという。同県では、乳白米などの原因のとなる高温登熟を避けるためにも、直まきを推進している。「省力化と作期の分散が可能。一万ヘクタールまで広げたい」と話している。
(日本農業新聞)
○2月5日(木) 「あきたこまち」作付け拡大へ JA秋田みなみ営農講習会
JA秋田みなみ天王町基幹支所は売れる天王米の栽培技術習得を目的にこのほど、同支所で組合員約五十人が参加する営農講習会を行った。講習会では、鈴木久米雄副組合長が「もうすぐ新しい米政策が始まる。売れる米づくりに挑戦することでこれを克服しよう」と呼び掛けた後、二〇〇三年産の販売状況や〇四年度の生産に向けた生産資材の価格情勢などが報告された。また、いもち病など主要病害虫の防除対策や、高品質良食味「あきたこまち」の安定生産のための技術などが紹介された。同管内では、確実に売れる米「あきたこまち」の作付面積が県内で最低となっており、稲作所得の向上には、作付面積の拡大が絶対条件となる。参加した生産者は積極的に質問をしたりメモを取るなどして、生産意欲を高めていた。
(日本農業新聞)
○2月6日(金) 大豆収穫量 14%減少 03年産
農水省は五日、二〇〇三年産大豆の収穫量を発表した。収穫量は二十三万千六百トンで、前年産より三万八千六百トン減った。作付面積は二千ヘクタール(1%)増えたが冷夏で生育が抑制され十アール当たり収量が二十八キロ(16%)下回ったため。
(日本農業新聞)
○2月6日(金) 深水管理徹底を 冷害対策探る 秋田で水稲研究会
昨年の冷害を分析し、異常気象に負けない稲作を確立するため、独立行政法人・東北農業研究センター(岩手県盛岡市)は四、五日の二日間、秋田県大曲市で水稲栽培研究会を開いた。出席した同センターや東北各県の研究者により、たい肥の施用や徹底した深水管理が冷害対策として有効であることがあらためて指摘された。県農林水産部は、七月下旬の県内の深水管理実施状況について「水深十センチ以上は県南地域で50〜80%、津軽地方で10〜70%と、地域や市町村で差が見られた」と報告。未実施の理由として用水量が不十分だったことや、畦畔(けいはん)が低い水田では深水が困難だったことなどを挙げ、深水管理の普及を課題に挙げた。十和田市農協藤坂支所営農担当職員の工藤惣史さんは、田植え時期が早い水田ほど稲が花粉をつくる「減数分裂期」と強い低温が重なり、同市を中心に障害不稔(ふねん)が多発したと説明。対策として、耐冷性・耐病性が強い良食味品種や登熟時期の短い品種の早期導入、深水管理以外の危険回避方法の開発などを要望した。東北農研センターは@何年かに一回の冷害に対応するためには品種の耐冷性を向上させる必要があるA熟期の異なる品種の組み合わせや、移植期を変えた作期分散が有効と指摘。耐冷性・耐病性の強い品種がどのくらいの効果を発揮するのか、データを収集していく必要があるなどと述べた。
(東奥日報)
○2月7日(土) "北暖西冷"の冬 北海道は積雪最高 気象庁
北日本は暖冬、東・西日本は平年並み。気象庁によると、この冬は"北暖西冷"の傾向がみられ、このパターンが来週前半まで続く見通しだ。北日本の気温は十二月中旬以降、高めで推移。これは冬型の気圧配置が長続きしないためで、これまでの平均気温は平年より一度以上高い。東北の積雪量は例年の八割と少なめだが、北海道は多い。冬型の気圧配置が弱く、年が明けた後は発達した低気圧が北海道付近を相次いで通過。アメダスによると、北見で一七一センチの積雪を記録するなど、道内十四地点で一月の積雪量が過去最高を更新。一方、九州や中国地方を中心に厳しい寒さに包まれている。一月の平均気温は西日本、南西諸島で平年を下回った。宇和島(愛媛)では、月平均気温を〇・九度下回る最低値(五・八度)を記録。広島、鹿児島も平年気温を〇・四〜〇・六度低かった。同庁は「寒気が次々と本州の上空に入り込んでいる。来週前半まで全国的な寒さが続くが、その後は冬型の気圧配置は緩んで、全国的に暖かい日が多くなる」(気候情報課)とみている。
(日本農業新聞)
○2月10日(土) 「土づくり実証米」が成果 冷夏でも実力発揮 高品質・良食味比率アップ
売れる米づくりを進めるJA秋田しんせいの土づくり運動が、成果を挙げている。冷夏に見舞われた二〇〇三年産は減収を免れなかったものの、高品質で良食味の比率は前年よりアップ。土づくりを続ける利点を実証でき、JAは運動に弾みをつけていく。土づくりでは、腐植酸を多く含むJA独自の土づくり肥料「大地の息吹」(〇二年産まではJA全農あきたの「秋田の大地」)を十アール当たり百キロ施用する。もみ殻をつくる有効態ケイ酸、登熟を促す有効態リン酸を土中に増やし、粒の大きい米を作る狙いだ。「大地の息吹」の代わりに、完熟たい肥一トンと「ようりんケイカル混合12号」百キロでもいい。九九年産から、こだわり米の生産を始めた。主力の「土づくり実証米」は、土づくりを前提に@整粒歩合75%以上A玄米たんぱく含有量6・5%以下の基準を満たすもの。〇三年産は日照不足と低温に見舞われ、作柄が悪化。「土づくり実証米」は約九千五百トン。減農薬栽培米なども含めた、こだわり米全体では一万三百トン余りで、ほぼ前年並みを確保。土づくり運動が成果となって現れた。特に、土づくり肥料を四年以上施すと、地力が格段に高まることが分かった。根が丈夫に育ち、収量も慣行栽培をしのいだ。品質・食味のアップで仮渡し金の加算も見込め、「大地の息吹」に十アール当たり四千九百八十円の経費をかけても、十分にメリットがある。
(日本農業新聞)
○2月10日(土) 新たな米の需要拡大へ 東北米粉利用推進協がセミナー
新しい米の需要拡大を目指そうと、東北米粉利用促進連絡協議会は九日、仙台市内で米粉食糧普及推進セミナーを開いた。米粉を使った食品の普及状況、地産地消や新商品開発の取り組み事例が紹介され、米粉を通して米の消費拡大につなげていくことを確認した。東北地方の製パン、製めん業者やJA、行政関係者ら約百人が参加した
(日本農業新聞)
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○2月11日(日) 県内の家庭で食べるコメ 県産89・9% 福島県
県内の家庭で食べられているコメの89・9%が県産米であることが、昨年十月に実施した今年度の県政世論調査で分かった。他県産米で最多の新潟県産でも3・6%にとどまり、「ふくしまのコメ」に対する県民の愛着の深さがうかがえる結果となった。調査は県内の十五歳以上の男女千三百人を対象に行い、八百九人から回答を得た。新潟以外の他県産の割合は秋田県0・7%、宮城県0・6%。コメを買う時に重視するポイントは「品種(銘柄)」が半数を超す54・1%。実際に食べている品種はコシヒカリが77・0%と二位のひとめぼれ34・9%を大きく引き離しており、コシヒカリの特徴である粘りについては「ほどほどあればよい」が60・7%と圧倒的。ただ、十代では「あまりなくてよい」とした人が17・0%と他世代に比べ突出するなど、若者に"あっさり派"が多くみられた。県が育成した品種「ふくみらい」は「食経験者」が14・0%にとどまった。味の評価も「普通」が50・4%と最多、「おいしい」としたのは36・3%だった。県は「まだ出荷量が少ないことが大きいと思うが、さらにPRに力を入れたい」としている。
(福島民報)
○2月12日(木) 「もちむすめ」来年から一般栽培 試食会でおいしさ確認 冷害に強く栽培容易・宮城
期待される宮城県産もち米新品種「もちむすめ(東北糯175号)」の試食会が十日、宮城県古川農業試験場で開かれた。新品種は、「倒れにくく冷害に強い。栽培しやすく、しかもおいしくふんわりしたやさしい食感」などの特性がある。試食では、参加者らが、くるみもちにしたもちを食べ好評だった。二〇〇四年は展示ほでの栽培で、農家での一般栽培は〇五年からとなる。現在の主力品種「みやこがねもち」の特性を生かし、弱点克服を目指しただけに、冷害に強く、栽培もしやすい。短稈(たんかん)で倒れにくく、穂発芽もしにくい。また、食味は「みやこがねもち」と同じくらい。柔らかく加工しやすく生もちやもち菓子に向くなどの特徴がある。
(日本農業新聞)
○2月13日(金) 03年大豆検査数量 前年比8%アップ 東北農政局
東北農政局の各県農政事務所は十二日までに、二〇〇三年産大豆の検査結果(〇三年十二月末現在)を発表した。東北全体の普通大豆の検査数量は一万三千六百四トンで、前年同期を8%上回っている。検査結果は表の通り。検査数量は、山形が前年より千二百三十八トン(44%)多い。「〇二年産は収穫期に早くから降雪があり出荷量が少なかったが、〇三年産は天候に恵まれて出荷が順調に進んだ」(山形農政事務所)。岩手も41%、副島も36%、秋田も17%それぞれ前年を上回った。一方、六月下旬以降低温・日照不足、長雨に見舞われた宮城は22%、青森は8%前年を下回った。一等比率は、岩手が前年を17ポイント上回ったほか、青森も15ポイント、山形も11ポイントそれぞれ前年を上回っている。「収穫期の天候に恵まれた。冷夏の影響で粒の大きさが若干小さい傾向がある」(岩手農政事務所)。一方、形質の低下や被害粒の発生がみられた福島は前年を16ポイント下回った。「品質が比較的良い中通り地方は、自然乾燥が中心。昨年十二月以降の天候不良のため検査が遅れている」(福島農政事務所)。宮城も4ポイント下回った。秋田は前年並みとなっている。
2003年産普通大豆検査結果(12月末現在)
単位:トン、%
| 検査数量 | 1等 | 2等 | 3等 |
青森 | 1,979 | 21.9 | 35.0 | 43.0 |
岩手 | 1,160 | 55.7 | 29.9 | 14.1 |
秋田 | 3,254 | 4.2 | 19.2 | 76.5 |
宮城 | 3,051 | 21.9 | 50.6 | 27.5 |
山形 | 4,047 | 14.6 | 53.0 | 32.4 |
福島 | 114 | 0.5 | 18.5 | 81.0 |
(日本農業新聞)
○2月13日(金) 売れるコメ作り推進 担い手育成、適地作付けも 青森県が「改革計画」策定
県は、二〇〇四年度から始まるコメ政策改革をにらみ「県米づくり改革計画」を策定、十二日に公表した。厳しさを増す産地間競争に対応するため、消費者・市場を重視した「売れるコメ作り」の推進、転作作物の定着化、担い手の重点育成を柱に位置付け、適地での作付け徹底による良食味米の生産を目指す。計画期間は〇四〜一〇年度の七年間とし、〇七年度に取り組み状況を中間検証する。コメ政策改革での生産調整は、従来の転作面積配分から販売実績に基づいた生産目標量の配分へと代わり、消費者ニーズに対応した売れるコメ作りが求められている。そのため改革計画では、生産対策として消費者が求める価格帯のコメ供給を基本に、品種本来の特徴を発揮するため適地での作付けと適正な施肥管理の徹底、有機・特別栽培米の生産拡大、銘柄米産地の認定制度創設、新たな品種の導入などを掲げ、本県稲作全体の現行生産額(約六百億円)の維持を目指す。取引先との結び付きが明確な数量は、市町村への生産目標数量配分の際、上乗せすることも検討する。家庭食用のつがるロマンは適地での栽培を維持。現在、不適地で栽培されている分は、外食等業務用(ゆめあかり、むつほまれ)に切り替え、一〇年度の生産目標を家庭食用一万五千三百ヘクタール(〇二年比六千ヘクタール減)、業務用三万五千五百ヘクタール(同六千ヘクタール増)とした。消費者の安全・安心志向に対応するため、減農薬栽培を一万四千ヘクタール(同一万二千八百五十ヘクタール増)、有機栽培を二千百ヘクタール(同千七百九十ヘクタール増)に拡大する目標も盛り込んだ。転作作物については需要に見合った品質を確保するため、地域ごとの気象条件を踏まえた適地適作を基本とする。ヤマセ地帯など作柄が不安定な地域では、気象条件を生かした特色あるコメ作りとともに、収益性の高い他作物に誘導する。担い手対策としては、育成すべき対象の明確化、施策の重点化を進める。地域農業の中核的役割を担う認定農業者を〇二年度の三千三百人から七千人に、集落型経営体を含む稲作生産法人も十五から二百にそれぞれ増やすことを目標にする。
(東奥日報)
○2月13日(金) ササニシキ・はなの舞・どまんなか 奨励品種除外へ 作付け減り、格下げ 山形県
水稲「ササニシキ」「はなの舞」「どまんなか」の三品種について、高橋和雄知事は十二日、県農作物品種審議会に対し、県の奨励品種からの除外を諮問した。審議の結果、優良品種に格下げすることで大筋了承され、近く答申の見通し。かつて一時代を築いた「ササニシキ」「はなの舞」「どまんなか」の水稲三品種は、他品種の台頭とともに近年は県内の栽培面積が著しく減少。その一方で、いずれも一定の需要はあるほか、作付け体系上必要な品種と判断し、優良品種に位置付ける。諮問通りに三奨励品種の優良品種への降格が答申されれば、水稲の奨励品種は主力の「はえぬき」だけとなる。県農業技術課によると、水稲の奨励品種が一つだけになるのは初めて。今後は面積が拡大している「あきたこまち」「ひとめぼれ」「コシヒカリ」の三優良品種の作付け動向と特性をみながら、奨励品種への編入が必要かどうか検討する。山形農政事務所の調べで、二〇〇三年度の県内水稲作付面積は@「はえぬき」(四万二百九十一ヘクタール、占有率63・5%)A「あきたこまち」(六千四百二十にヘクタール、同10・1%)B「ひとめぼれ」(六千百六十四ヘクタール、同9・7%)C「コシヒカリ」(五千三百五十三ヘクタール、同8・4%)D「ササニシキ」(二千八百六十ヘクタール、同4・5%)―の順で、「はえぬき」が圧倒的な割合を占める。県によると、奨励品種を外れる三品種のピークは、「ササニシキ」が一九八五年度(作付面積五万七千六百十六ヘクタール、占有率63%)、「はなの舞」が九四年度(同八千一ヘクタール、同10%)、「どまんなか」(同一万五千四百五十七ヘクタール、同19%)だった。水稲ではこのほか「雪化粧」「里のうた」「ゆめさやか」の三品種を優良品種から除外。
(山形新聞)
○2月14日(土) 東北の2003年産米 一等比率78・9%に 農政局、1月末時点
東北農政局は十三日、二〇〇四年一月末時点の東北六県の〇三年産水稲うるち米の検査結果を発表した。一等米比率は七八・九%。十二月末の前回調査より〇・一ポイント低下した。比率は山形で〇・三ポイント上昇し八五・五%、宮城で横ばいの五八・六%、青森(五三・六%)、岩手(八五・八%)、秋田(八四・九%)、福島(八五・〇)で低下した。二等以下に格付けした理由は、粒の「充実度の不足」が四七・一%、カメムシなどによる「着色」が二八・三%だった。
(日本経済新聞)
○2月14日(土) 矢本町産米「かぐや姫」使用の「宮城おにぎり街道」デビュー
コンビニエンスストアのファミリーマートは、宮城県産の食材で作ったこだわりのおにぎりを「宮城おにぎり街道」と銘打ち、宮城、岩手、山形県内の約二百九十店で十七日から販売する。おにぎりの米は、おいしいと評価の高い矢本町特産の「かぐや姫」を使い、「くじらしぐれ煮」「梅」の二種類。「かぐや姫」生産農家らは、「おいしさが認められた」とし、今後の産地拡大に弾みがつきそうだ。のりは風味豊かで品質も良い奥松島産を使う。具材は石巻産の甘辛く煮付けた「くじらしぐれ煮」、大河原特産の梅と、宮城の食材にこだわった。「かぐや姫」は一九九三年の大冷害の年に「ササニシキ」のほ場から発見され、九九年に新品種として登録された。極晩生で冷害に強く、良食味だ。おにぎりの価格(税別)は「梅」百二十円、「くじらしぐれ煮」百四十円。販売は三月十五日までの期間限定。
(日本農業新聞)
○2月15日(日) 03年産の米 1等73・5% 農水省
農水省は十四日までに、二〇〇三年産米と麦の一月現在の検査結果をまとめた。米の検査数量は、水稲うるち玄米で約三百四十四万五千トンと、前年同期の八割強にとどまっている。米の一等比率は73・5%で、前年産を3・3ポイント上回っている。銘柄別の検査結果をみると、「コシヒカリ」では山形や福島、茨城など八県が一等比率90%を超えた。
小麦の一等比率は59・6%で前年産を8ポイント下回った。一等比率の低下について、総合食料局は「登熟期に当たる五月の低温・日照不足と、六月の雨続きで刈り遅れたことが原因」と分析する。また、麦作付け全体の六割を占める北海道以外の地域で、等級の低下が目立っている。麦全体の検査数量は百十一万トンでほぼ前年並みとなった。
(日本農業新聞)
○2月15日(日) 米の作柄は!? 「たろし滝」計測式 岩手・石鳥谷町
氷柱の太さでその年の作柄を占う「たろし滝」の計測式が十一日、石鳥谷町大瀬川の葛丸渓谷で行われた。今年の氷柱は、暖冬のため三回の崩落があったものの、計測の結果一・六メートルを記録した。今年で三十回目を迎えた同計測式は、大瀬川神楽保存会による神楽の奉納が行われた後、約二百五十人の見物人が見守る中、大瀬川たろし滝測定保存会の会員が巻き尺を使って氷柱の太さを計測した。測定結果としては最も細い一・六メートルで、同保存会長の板垣寛さんは「三度落ちめげずに夢をつないでいる」と恒例の川柳を詠み上げた。「たろし」の語源は垂氷(たるひ)で、氷柱の形が滝に似ていることから「たろし滝」の呼び名がついたといわれ、同地区では古くから氷柱の太さで作柄を占ってきたと伝えられている。
(日本農業新聞)
○2月17日(火)減農薬米 12倍に増産 健康志向に対応 青森県
青森県は新年度始まる国のコメ政策改革大網を受け、売れるコメ作りを目指す「県米づくり改革計画」を策定した。消費者の健康志向に対応した減農薬米の増産が柱。作付面積、生産者の健康志向を二〇一〇年度にはそれぞれ現在の十二倍に拡大する数値目標を盛り込んだ。計画は、「稲作」「転作」と「流通・加工・販売」の一体的な取り組みを促進するとともに、担い手農家を効率的に育成することが狙い。期間は〇四〜一〇年度の七年間。減農薬米の作付面積は、千百五十ヘクタール(〇二年度)から一万四千ヘクタールへと、生産量は六千百トン(同)から七万三千二百トンへとそれぞれ拡大を目指す。低コストにつながる直播栽培の面積は〇二年度の約六十ヘクタールから八倍近い四百六十ヘクタールにまで増やす。青森県の代表的な作付け品種で高食味の「つがるロマン」は家庭食用に位置付ける一方、つがるロマンに比べれば食味の劣る「ゆめあかり」「むつほまれ」は外食産業等業務用に明確に分けた。気象条件が不適とされるつがるロマンは、業務用品種に切り替え、家庭用の食味低下を防ぐ。担い手育成では、〇二年度で三千二百九十九人いる認定農業者を、一〇年度までに二倍以上の七千人に増やす。具体的な対策として、担い手農家に転作助成金を手厚く配分することなどを挙げている。計画は、〇七年度に取り組み状況を中間検証する。東北では、岩手、福島両県が売れるコメ作りを目指し、減農薬米の増産など同様のプログラムを策定している。
(河北新報)
○2月19日(木) 冷害が米飯給食を直撃 4月から精米値上げ 青森・県内小中学校
県学校給食会が給食で使うコメは、昨年十一月まではすべて県産米つがるロマン(自主流通米)の一等米だった。ところが、昨年の本県作況指数が全国最低の「五三」にとどまるなど全国的な不作の影響で、昨年産つがるロマンは初上場した十月の入札価格が一俵(六十キロ)一万七千八百五十三円と、〇二年産最終入札より約三千四百円もアップ。十一月以降の入札価格は二万円台が続いている。そのため昨年十一月まで一俵一万四千三百円だった給食用玄米の取引価格は、十二月から一気に一万七千五百円へとアップした。しかし、年度途中だったことから同会は精米価格には転嫁せず、積立金を取り崩して対応。三月まで約二千万円の拠出が見込まれている。また、一等米を70%に抑え、一等米より一俵六百円安い二等米を30%入れた。十八日には本年度二回目の同検討会議が開かれ、四月から十月までの玄米価格を決定した。試算では現行の一キロ二百九十九円が三百六十五円前後にアップする。また、一、二等米の比率は現行通りとすることを申し合わせた。県学校給食会は「ご飯一食当たり六円アップするが、関係者の努力で通常の市販価格よりは安く抑えられた。」としている。
(東奥日報)
○2月20日(金) 青森・相馬村のライスロマンクラブ・「田中稔賞」を受賞
相馬村の稲作生産組合・ライスロマンクラブは十六日、青森市の青森国際ホテルで、稲作に顕著な功績があった生産者に贈られる「田中稔賞」を受賞した。同クラブは一九九九年、省力化と低コスト化、さらに有機質栽培による「安全・安心、しかも美味(おい)しく」を目指し、村内十の集団を統合し再編して結成された。
(日本農業新聞)
○2月20日(金) 東北の食料自給率104パーセント 02年度
二〇〇二年度の東北の食料自給率(カロリーベース)は104パーセントと全国平均(40パーセント)を大きく上回る一方、コメを除いた自給率は32パーセントにまで下がることが、東北農政局が十九日までにまとめた「地産地消に関する動向調査結果」で明らかになった。東北の食料自給率は前年度比1ポイントの減で、ここ数年は横ばいとなっている。県別の自給率が最も高いのは秋田の158パーセントで、第二位は山形の128パーセントだった。コメを除いて自給率は高い順から青森64パーセント、岩手37パーセント、宮城30パーセント、山形22パーセント、秋田20パーセント、福島19パーセント。福島など下位三県は、全国平均の23パーセントを下回った。品目別の自給率で高いのはコメ341パーセント、果実145パーセント、魚介類132パーセントの順で、東北の農業がコメ依存型である実態が表れた。低いのは小麦4パーセント、豚肉11パーセント、鶏肉18パーセントなどの順だった。
(河北新報)
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○2月21日(土) 多彩さ、安定供給めざす 宮城県
宮城県で二〇〇四年度から「新・こだわりのみやぎ米づくり推進運動」が始まる。新しい米政策を踏まえ、「売れる米づくり」による稲作経営の安定を最重点に掲げた。高品質米や一等米比率の〇六年度目標を掲げ、需要に応じた多彩な米の安定供給に、関係機関を挙げて取り組む。特に、生産戦略では「多彩で豊かなみやぎ米づくり」を全面に掲げた。県の事業で、良食味米の生産につながるリモートセンシング(遠隔探査)技術などの導入を進める。〇三年の冷害を教訓に、気象変動に強い稲作りを重視。危険分散のため、晩期栽培を〇三年度の五百六十一ヘクタールに対し、〇六年度には一万ヘクタールまで普及する。直まき栽培は百七十三ヘクタールから千ヘクタールに増やす。一等米の比率は58・6%から90%にまで高める。異常気象時の指導体制も整備する。
(日本農業新聞)
○2月22日(日) ご飯食に親しんで親子がおにぎり作り 岩手純情米 需要拡大推進協
おにぎり作りを通しご飯にもっと親しんでもらおうと、岩手純情米需要拡大推進協議会は二十日、一関市舞川の市立舞川幼稚園でおにぎりパーティーを開いた。園児とその両親らは大小さまざまなおにぎりを作り、味わって楽しいひとときを過ごした。地元産「ひとめぼれ」二十キロのご飯と、梅干し、サケフレーク、おかか、昆布の四種の具材を使い親子で相談しながら遊び感覚でおにぎりを握った。
(日本農業新聞)
○2月22日(日) 健康志向、独特のにおい抑制 豆乳ブーム再来 03年生産量 過去最高に
健康志向の定着で豆乳の人気が復活している。二〇〇三年の生産量は約六千二百トンと前年の二・一倍に増え、前回のブームで生産量がピークとなった一九八三年以来、二十年ぶりに過去最高を更新した。食品業界によると、今回の生産増加の背景には、健康志向や美容に気を使う若い女性の人気を得たことに加え、独特のにおいを抑えた商品の開発で「毎日飲む人が増えた」(大手メーカー)ためという。生産業界団体、日本豆乳協会(東京)の調べでは豆乳の生産量は八〇年代後半から低迷が続いたが、〇二年に息を吹き返した。果汁入りなどの「豆乳飲料」や「調整豆乳」といった関連商品もそろって好調だ。
(東奥日報)
○2月22日(日) 稲作農家の水田データ集約 地図システム構築へ JA福島中央会
売れるコメ作りを目指し、JA福島中央会は新年度から稲作農家の水田の各種データを集約した地図情報システム(GIS)の構築に乗り出す。農薬散布などの生産履歴、食味や土壌分析結果、等級などを水田一枚ごとにまとめ管理する「電子台帳」をつくる。インターネットを通じて消費者にも情報を開示し、県産米の「安全・安心」を全国にアピールする。中央会は関係団体の協力を得ながら会津地方でモデル地区を選び、十七年度中にもシステムを稼働させたい考えだ。地図情報システムの構築は、県産米の安全・安心に関する透明性の確保とコメの品質向上が狙い。新年度からスタートする国のコメ政策では、市場性を重視し消費者に受け入れられる生産体制が求められている。JA福島中央会は、視野に訴える形で本県の水田に関する情報を提供し、県産米に対する信頼を確保しようと企画した。具体的には、集落や市町村単位で実際の水田の状態をグラフィック化する。一枚の水田ごとに、所有者、生産者、土壌分析の結果、コメの品種、一等米の割合、農薬散布などの生産履歴、単収などきめ細かなデータを入力する。パソコンの画面を開けば内容が分かる仕組みとなる。品質向上に向けた取り組みが必要となる農家には、地元のJAが営農指導し、コメの品質の均等化と地域全体の底上げにつなげる。さらに、中央会が新年度中にインターネット上に解説する県産米PRのホームページ「うつくしま、ふくしま米情報センター(仮称)」を活用。各地の地図情報を掲載し、消費者にコメ作りの情報を提供していく。こうした取り組みは、個人情報の取り扱いとも絡むため、中央会は農家の同意を得ながら慎重に準備を進めていく。県内では県農業振興公社が会津地方の二十二市町村、五千ヘクタールで所有者、作業受託者の指名を入れた地図情報システムを構築している。中央会は三月中にも農業公社をはじめ県、県農業会議などの代表を交えた研究会を発足させたい考えだ。すでに会津地方の二町の農家がシステム導入に関心を示している。中央会は研究会での成果を基に、十七年度に両地域をモデル地域に指定し、構想をスタートさせる方針だ。
(福島民報)
○2月25日(水) 平均10%安の続落 在庫で鈍い買い意欲 自主米入札
自主流通米価格形成センターは二十四日、二〇〇三年産の第十回自主米入札取引を行った。前回入札の下げを引きずり、続落した。全銘柄の落札平均価格は一万九千九百三十九円となり、前回に比べ10%(二千二百九円)安と大きく落ち込んだ。高値の新米が末端で販売不振に直面する一方、八十万トンと過去最大規模に膨れた米卸の在庫がマイナス材料となり、亜濾紙の買い意欲をそいだ。不作の影響で前年より35%少ない六万四千トンが上場。残量落札された。前年の取引に比べ26%高と、高値圏を維持しているが、上場された六十銘柄すべてが値下がりする全面安の展開となった。下げ幅は千〜三千円で、「コシヒカリ」を中心に、店頭での販売が振るわない高値銘柄の下げ幅が大きかった。有名銘柄の新潟・一般「コシヒカリ」が、前回比12・9%安の二万一千八百一円となり、この値下がりが全体相場に影響を与えた。北陸や関東産「コシヒカリ」も大幅に下落。富山産が8・1%安の二万九百九十七円、栃木産が12・2%安の一万九千六百九十四円となった。人気ブランドとして知られる秋田「あきたこまち」も14・2%安の一万九千六百十六円、宮城「ひとめぼれ」は13・2%安の一万九千二十三円となった。
(日本農業新聞)
○2月25日(水) 「コシ」37%占める 面積は四半世紀首位 03年産水稲品種別収穫量
農水省は二十四日、二〇〇三年産水稲の品種別収穫量をまとめた。「コシヒカリ」が全体(七百七十七万九千トン)の37・5%を占め、前年に続いて第1位。北海道の「きらら397」、東北の主力銘柄「ひとめぼれ」は昨年の冷害の影響で順位を落とした。この調査は、作付け上位二十銘柄について、収穫量の割合を基に順番をつけた。首位「コシヒカリ」の収穫量は、二百九十一万五千トンで前年産より割合が1・6ポイント高まった。産地別に見ると、新潟産が四十八万六千百トンで最も多く、茨城や栃木など関東産地が続く。作付面積で見ても、全国で六十万二千ヘクタールあり、一九七九年産以来「日本で最も多く作られている銘柄」の看板を四世紀半守り続けている。トップ5はこのほか「ヒノヒカリ」(収穫量七十九万七千トン)、「ひとめぼれ」(六十五万九千トン)、「あきたこまち」(六十五万七千トン)、「キヌヒカリ」(二十八万一千トン)。上位五銘柄で全体収穫量の約七割を占める。六位以下は「はえぬき」「きらら397」「ほしのゆめ」「つがるロマン」「ササニシキ」の順だった。今回の結果について同省統計部は「東北地方は冷害が深刻だったため、被害が比較的軽度だった西日本に比べ割合を落とした」とみている。
(日本農業新聞)
○2月25日(水) もち米1割ダウン 03年産水稲品種別収穫量
農水省は二十四日、二〇〇三年産もち米の収穫量を二十二万千六百トンと公表した。前年産より一割減で、二万四千トン落ち込んだ。十アール収量は四百四十五キロで前年産より三十九キロ少なかった。取引価格は不作のため高騰した。主産道県の生産量は、佐賀三万七千トン、北海道二万七千トン、新潟二万トン、熊本一万九千トン、岩手一万二千トン。十アール収量は前年産が不作だった北海道を除き、いずれも前年産を下回った。
(日本農業新聞)
○2月26日(木) 北日本は低温も 暖候期予報 気象庁
気象庁は二十五日、八月までの暖候期予報を発表した。今夏の平均気温は、西日本で高い見込み。北日本は平年並みだが、「最近のオホーツク海高気圧の発生や大気循環などから、低温の可能性も考えられる」(同庁)。冷夏や異常気象を招くとされるエルニーニョ現象の発生の可能性は小さい。太平洋高気圧の日本付近への張り出しは平年並みと考えられる。ただ、西日本以西はここ数年、高温が続いており、今夏もその傾向が続くと予想される。北日本は、夏、梅雨時期とも多雨の傾向にある。その他の地域の降水量は平年並みの予想。
(日本農業新聞)
○2月26日(木) 機械除草に手応え 米ぬか+深水は好成績 全国農業改良普及協会
全国農業改良普及協会がこのほど東京都内で開いた研究会で、全国各地の農業改良普及センターが、乗用型除草機を使った水田の除草試験の成果を発表した。ノビエでは除草効果が劣る地域もあったが、広葉雑草には各地で好成績。機械だけでの除草は、まだ難しい面があるが、効果は高いとしている。乗用型除草機を使った除草試験には、全国で十一の農業改良普及センターが取り組んできた。深水管理や米ぬかなどを組み合わせた除草体系を組み立てようとしているところもある。報告した多くの普及センターで、「機械での除草効果が大きい」としている。農業生物研究機構・中央農業センター耕地環境部の児嶋清水田雑草研究室長は「除草機の効果は高かったことが分かった」とまとめた。ただ、「まだ栽培体系が確立したとはいえない」とし、米ぬかを併用する場合は、その施用量やタイミング、栽培体系に合った施肥などの検討が必要だとした。各地の報告では、全体的にホタルイやコナギに高い効果を見せた。特に、米ぬかと深水管理を組み合わせると「ノビエ、ホタルイの発生初期の個体は枯死させることができた」(滋賀県東近江通気普及センター)、「深水が深めとなった部分ではほとんど雑草が見られない」(新潟県西蒲原普及センター)と好成績。ただ、「雑草量が年々多くなった」(宮城県古川地域普及センター)、「機械除草だけですべての除草はできない」(広島県普及センター)など、完全な除草は難しいとの報告も多かった。除草機を旋回させるときに枕地の稲を踏みつけ、欠株になることや、機械代が高いため、米が高値で売れないと採算が合わないことも問題視された。今後は、できるだけ田面を均平化して深水管理を徹底することや、雑草を翌年に残さないようなきめ細かい管理が必要になると指摘している。
(日本農業新聞)
○2月26日(木) 「あきたこまち」トップ 03年水稲品種別収量
東北農政局は二十五日までに、東北地域の二〇〇三年産水稲品種別収穫量を公表した。収穫量が最多だったのは秋田「あきたこまち」で、一九九二年以来十二年連続の一位。山形「はえぬき」が初めて二位となり、福島「コシヒカリ」が三位。一方、夏場の低温・日照不足の影響から、前年二位だった宮城「ひとめぼれ」が四位に後退したほか、青森「ゆめあかり」が十位から十四位に下がった。また、東北合計の品種別の集計を見ると、「ひとめぼれ」が五十万四千五百トン(水稲全体の26・5%)で九九年以来五年連続トップ。二位の「あきたこまち」が四十八万四千六百トン(同25・5%)、三位の「コシヒカリ」が二十七万七千九百トン(同14・6%)、四位の「はえぬき」が二十四万九千トン(同13・1%)で、上位四品種で全体の約八割を占めた。
2003年産水稲の産地品種別収穫量
産地品種 | 収穫量(トン) | 前年比% | 順位 |
ひとめぼれ | 504,500 | 75 | |
宮城 | 208,800 | 68 | 4 |
岩手 | 135,900 | 76 | 5 |
福島 | 87,300 | 80 | 7 |
山形 | 37,400 | 93 | 11 |
秋田 | 35,100 | 98 | 12 |
あきたこまち | 484,600 | 89 | |
秋田 | 383,300 | 94 | 1 |
岩手 | 57,100 | 69 | 8 |
山形 | 31,000 | 83 | 13 |
コシヒカリ | 277,900 | 93 | |
福島 | 240,100 | 91 | 3 |
はえぬき | 249,000 | 89 | |
山形 | 242,400 | 89 | 2 |
つがるロマン | 88,400 | 72 | |
青森 | 88,400 | 72 | 6 |
ササニシキ | 69,500 | 66 | |
宮城 | 42,000 | 63 | 9 |
むつほまれ | 39,700 | 40 | |
青森 | 39,700 | 40 | 10 |
もち類 | 38,300 | 76 | |
岩手 | 12,200 | 71 | |
ゆめあかり | 28,400 | 41 | |
青森 | 28,400 | 41 | 14 |
東北全体 | 1,903,000 | 79 | |
注:品種名脇の数字は東北の計
(日本農業新聞)
○2月27日(金) 水稲育苗管理を万全に 例年より発芽勢劣る 県が情報号外・岩手
県は、昨年の水稲種子は、低温日照不足で発芽勢が例年より劣り、病原菌汚染が多いとして、「農作物技術情報号外(水稲育苗対策)」を出し、育苗管理に万全を期すよう呼び掛けている。管理のポイントは、@塩水選の実施A適切な浸種水温の確保と期間の厳守B育苗期病害対策(トリコデルマ属菌などによる苗立枯病対策)C加温出芽(三〇度で出芽をそろえる)D育苗期間の温度、かん水管理の徹底。同情報は、「いわてアグリベンチャーネット」(http://www.nougyou.kitakami.iwate.jp)や「純情ネットファックス情報サービス」(電)0197(68)4501、ファックスボックス番号3020でも提供している。
(日本農業新聞)
○2月28日(土) 土づくりの課題学ぶ 売れる「宮城米」へ研修 宮城
「売れる『宮城米』づくり戦略研修会」が二十六、二十七の両日、古川市と仙台市で開かれた。土づくりでおいしい米を作ろうと、水稲が必要とする養分要求量を供給できる土づくりの大切さに注目が集まった。宮城米づくり推進本部とJA宮城中央会、JA全農みやぎの共催。二十七日の仙台会場には、営農指導員や生産者ら約百三十人が出席した。JA全農肥料農薬部の眞弓洋一技術主管が、「米づくりの基本は土づくり」と題し講演した。土づくり肥料は一九八〇年ごろの十アール当たり二百五十キロから、二〇〇〇年ごろには三十キロに激減。宮城では現在、平均三〜六キロと推定した。稲のケイ酸吸収量は十アール当たり百二十キロほどあるが、宮城では毎年三十五キロほどしか供給されていないという。「宮城の土は最低ランク。水稲はケイ酸植物であり、供給力の弱い土壌では根の活力や耐倒伏性が低下し、乳白米の増加など品質が低下する」と、ケイ酸の食味向上に果たす役割を強調した。
(日本農業新聞)
reigai@ml.affrc.go.jp