水稲冷害研究チーム

2004年東北稲作動向



 本情報は新聞記事等から得られる東北地域の稲作概況をお知らせするものです.
 稲作の動向と冷害関連記事に注目して,概況を追跡します.
 なお,記事の収集については東北農業研究センター情報資料課児玉課長さんにご協力をいただいています.


3月

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○3月7日(日) 冬の天気から夏占います 今年は「暑い夏」予想 秋田の鈴木さん
 寒中の気象状況をもとに一年間の天候を占う秋田県鳥海町の鈴木良介さんはこのほど、今夏の天候予測をまとめた。それによると、今年の夏は「夏らしい暑さ」になる見込み。鈴木さんは昨年の冷夏を的中させており、周囲から注目されている。この天候予測は「寒だめし」と呼ばれ、小寒から立春まで三十日間の天候や気温をもとに一年間を占う方法。この期間の天候が平年より寒く、晴れの日が多いと気温が高い夏になる。気温が高く、雪や雨が多いと冷夏になるという。今夏(七月中旬から九月)の予測を要約すると、気温は平年並みから高め。雨は降っても長雨にはならないが、強風などに注意も必要という内容。鈴木さんは「予測の範囲は秋田県が中心。あくまで予測なので過信せず、農作物の管理などに活用してもらえればうれしい」と語っている。
(日本農業新聞)

○3月8日(月) 暖候期予報を読む 盛夏期の天候不順に備え 日本農村情報システム協会情報センター長 能登正之
 気象庁は二月二十五日、今年の暖候期予報を発表した。詳しい内容は各地域を管轄する気象台発表の予報と解説を参照していただくことにして、ここでは各地の予報をまとめた全般暖候期予報について注目される点を考察する。まず夏の天気については、六〜七月(梅雨期)は平年と同様に曇りや雨の日が多い。梅雨明け後および八月は平年と同様に晴れの日が多いが、曇りや雷雨となる時期があるとしている。しかし、大気の長期変化の物理学的過程は複雑で、カオス(混沌=こんとん)的である。従って、予想される低温、曇り、雨天がどの過程のものか的確な予測はできない。そのため、天候不順に備えた気象情報の収集分析、悪天候対策など、事前の準備がいっそう必要である。気温・降水量の要素別予報について、全般暖候期予報は、梅雨期から盛夏期の気温は北日本と東日本では平年並み、西日本と南西諸島では平年並みか高いとしている。常に変化を続ける天気現象において、六〜八月という長い期間の気温が平年並みという意味は、高温や低温の時期がありながらも、夏全体を平均すれば、平年並みの範囲に収まるということで、北日本や東日本で不安定な天気が現れる盛夏期には、気温の低い時期があるということと矛盾するものではない。なお、台風や冷害とかかわりのあるブロッキング現象など、現時点でその動向が把握できない問題もあるが、気象情報の積極的利用によって、天候被害を回避軽減し、生産目標が十分達成できるよう、今後の天候の監視と適時適切な対応を望みたい。
(日本農業新聞)

○3月9日(火) 03年小麦収穫量 1位「ホクシン」
 農水省は八日までに、二〇〇三年産小麦の品種別収穫量ランキングを公表した。一位は「ホクシン」で五十一万四千九百トン、全国の収穫量(八十五万五千九百トン)の60%を占めた。二位は「農林61号」の十五万三千四百トン(全体の18%)、三位は「シロガネコムギ」の五万八千九百トン(同7%)だった。「ホクシン」は北海道だけの生産で、昨年産より三万四千九百トン増えた。「農林61号」の上位生産県は群馬(二万八千トン)、埼玉(二万六千四百トン)、茨城(二万六千三百トン)、愛知(一万七千三百トン)、滋賀(一万三千九百トン)の順。
(日本農業新聞)

○3月9日(火) コメ卸価格急落 高値から20%下落 昨秋の急騰で店頭需要低迷
 コメの卸会社間の取引価格が急落している。有力銘柄は不作で高騰した昨年秋に比べ軒並み二〇%前後安く、ほぼ高騰前の水準に戻った。店頭まで波及した価格上昇で需要が落ち込み、卸会社が過剰の在庫を抱え込んだためだ。一時は消費者物価の押し上げ要因となったコメ急騰だが、卸価格の急落は店頭価格の一段の下げを促しそうだ。新潟産コシヒカリが二〇〇三年産で六十キロ二万五百円(一般産地)と最高値だった昨年九月に比べ二五%下げた。秋田産あきたこまちも同一万八千円台後半と二〇%安くなった。首都圏のスーパー店頭では、売れ筋の有力銘柄五キロ入り一袋が二千円前後から三千円台まで上昇していた。その結果「価格に敏感な都市部で販売量が二―三割落ちる店が相次ぎ」(全農系卸会社)、在庫処分が活発になった。店頭価格は二月下旬以降、五キロ三百―五百円下がったが、需要回復につながっていない。
(日本経済新聞)


 
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○3月11日(木) 地元産米で新酒 軽やかな味堪能 吟醸2種飲み比べ 宮城・気仙沼
 気仙沼市内の酒米生産農家、酒造業者らの「地米酒づくり研究会」が九日、気仙沼市のホテルで新酒のお披露目会を開いた。日本酒好きの市民ら約百人が、軽やかな味わいの「すべて気仙沼産」の酒を楽しんだ。農家が生産した十二トンの酒米を使い、市内の酒造会社、男山本店と角星が、純米吟醸酒「華心(かしん)」「福宿(ふくやどり)」として仕上げた。参加者たちは、二種類の酒を飲み比べたり、カキやメカブなど地元三陸の食材による料理との相性を確かめたりしながら、楽しんでいた。新酒は、二つの酒造会社合わせて吟醸、純米吟醸、大吟醸など十種類あり、三百八十〜四千八百円。市内の酒販店などで販売されている。
(河北新報)

○3月13日(土) 酒米の里づくり 官民一体の成果 山形県酒造適性米生産振興対策課
 個性あふれる地酒は、おいしい酒造好適米から―と山形県酒造適性米生産振興対策協議会は、農業団体と酒造メーカー、行政機関が一体となった活動を展開している。山形の地酒は、新酒鑑評会で最高の金賞を各蔵元が獲得するなど、おいしい個性ある地酒造りを農家生産者が後押ししている。おいしい酒造りには、酒に適した米と水が必須条件。これに杜氏(とうじ)の技術が加味されて蔵独自の地酒が出来上がる。山と雪、厳しい気候風土の山形県は、酒造りには最高の条件。これを裏付けるように山形県では五十七の酒造メーカーが腕を競っている。この酒造メーカーに酒米を提供するのがJAの酒米生産組合。山形県工業技術センターが開発した「出羽燦々(さんさん)」や「美山錦」を中心に生産している。酒米は、収量が少なく倒伏しやすいなど難しさがあるが、生産者やは酒米研究会を結成して栽培技術の情報を交換。一方、酒造適性米生産振興対策協議会でも、優良酒米コンテストを実施して、農家生産者らを励ましている。
(日本農業新聞)

○3月13日(土) 庄内米あれこれ ビデオで学んで 首都圏の小学校に配布 山形県
 山形県庄内総合支庁は、「庄内平野の米づくり」を題材にしたビデオを首都圏の小学校に配った。少額五年生の教科書に庄内の米作りが取り上げられているため、教科書と映像の両面から、食と農を紹介するのが狙いだ。このビデオは@庄内ってどんなところA一年の米作りの流れB米と水と闘いC安全でうまい米作りは土づくりからD品質改良・うまい米への挑戦―の五つのテーマで構成。教科書にも登場する酒田市西荒瀬の稲作農家・伊藤正行さんの米作りを一年にわたって追いかけた。また、鳥海山などの自然や水の豊かさ、米作りにかけた先人の知恵と努力、山居倉庫などの遺産を二十五分でまとめている。県は「教科書の一助になれば」と千本を作った。首都圏の小学校に希望を取ったところ、千五百校から応募があった。
(日本農業新聞)

○3月13日(土) 古代米が健康酒に 春限定で発売 福島・磐梯酒造の「会津桜」
 磐梯町の磐梯酒造はこのほど、地元で生産された古代米「黒米」を原料米の一部に使った清酒「会津桜」を製造し、販売を始めた。地産地消を進め地域の特産品づくりに貢献しようと、昨年に続いて取り組んだ。原料米の一部に精米しない黒米を使って醸造しているため、黒米に含まれる天然色素が着色してピンク色になっている。ブルーベリーのようなほのかな香りが特徴で、鉄分やマグネシウムなどのミネラル分やビタミン類が含まれる健康酒≠ノ仕上がっているという。値段は三百ミリリットル入りで四百八十円。春季限定商品で二千本製造した。町内の酒店「たまのや」などで取り扱っている。問い合わせは磐梯酒造 電話0242(73)2002へ。
(福島民報)

○3月16日(火) 正々堂々≠ヌぶろく製造 民宿で洗米作業 特区の岩手・遠野
 国の構造改革特区で「日本のふるさと再生特区」認定の遠野市でどぶろく(濁酒)の製造免許を受けた同市附馬牛町の農家民宿経営江川さんのどぶろく製造が十五日から、本格的に始まった。洗米から蒸米、仕込みを経て二十五日に蔵出しの予定。封印されてきた庶民のどぶろくが、百五年ぶりにもてなしの酒として日の目を見る。十五日は原料となる米「かけはし」6・4キロの洗米作業。農家民宿の「醸造所」で江川さんが丹念に米を洗った。米は一晩寝かせた後、蒸し、水10リットル、こうじ米1・6キロ、酵母菌、醸造用乳酸菌と仕込む。約十日間寝かせた後、二十五日に発酵を止める加熱殺菌処理し、蔵出しする。初回は18リットル製造する。
(岩手日報)

○3月17日(水) 県内食料自給率100%へ 収益性高い経営めざす 福島県水田農業改良推進本部
 県、JA福島中央会、JA全農福島などで構成する福島県水田農業改良推進本部は十六日、須賀川市で「福島県水田農業改良推進大会」を開いた。四月からスタートする米政策改革を契機に県農業の再構築を目指し、関係者が一体となって進めるため、生産者、消費者、JA、同本部構成団体などの約千二百人が参加。「福島県の水田農業改革実現に関する大会決議」を参加者全員で採択した。同決議は、@県農業の再構築による県内食料自給率100%の達成A水稲作付けの七割で環境に優しい「売れる米づくり」の実現B地産地消の推進による米の消費拡大と米飯給食の週四回実施C園芸産地の全県的拡大と県産大豆の100%充足D認定農業者数五割アップで活力ある生産構造の確立―の五項目。
(日本農業新聞)

○3月18日(木) 大豆料理「ごど」直売所で好評 青森・JA八甲田十和田湖支店
 JA八甲田十和田湖支店で販売している大豆を使った郷土料理「ごど」が好評だ。今では作れる人も少なく、懐かしい味を求めて連日、町内外から大勢の買い物客が訪れている。「ごど」は、十和田湖町の一部地域で古くから作られてきた冬場の保存食。自家製の大豆ともち米、麹(こうじ)、塩を材料に納豆菌と麹菌とで二度発酵させる。整腸作用、美肌、ガン、痴呆(ちほう)予防などにも効果があり、栄養価の高い保存食といわれている。もちや、あつあつのご飯の上に載せたり小松菜やホウレンソウなどといった野菜とあえるのが地元の一般的な食べ方。見た目や作り方は納豆に似ているが、ねばねば感や特有の臭みが少なく、大豆本来のまろやかな味で食べやすい。
(日本農業新聞)

○3月18日(木) 雪室貯蔵の玄米 鮮度保持を確認 山形県農試
 山形県農業試験場は十二日、米の鮮度評価に関する研究会を開き、雪室貯蔵の玄米が、鮮度の保持に効果が大きく、新米のおいしさを保っているとの研究成果を発表した。県農業試験場の浅野目謙之研究員が県産米「はえぬき」を使用し、室温(二一度)、低温(一〇度)、雪室(五度)の条件下で四月から九月まで貯蔵、一ヵ月ごとに@玄米百粒に過酸化水素を加えてうまみの一種、酵素の反応を見る方法A玄米の脂肪酸度の測定B粘り特性の変化C紫外線照射による感光反応の変化―の四つの角度から鮮度を検証。また、この米を炊飯、試験場の職員による食味テストで、外観や香り、味、粘り、硬さについて食味を評価した。この結果、@では室温玄米が酵素の活力が低下、低温と雪室玄米は活力を保持Aの進度は室温、低温、雪室の順Bは室温が速く少なくなり、低温と雪室はほとんど差が見られなかったCでは、室温玄米の貯蔵が長くなればなるほど酸化が進み低温と雪室では、進度がゆっくりしていた。
(日本農業新聞)

○3月18日(木) 稲種子消毒前に必ず塩水選を 山形県病害虫防除所
 県病害虫防除所は十七日、今年度最終の農作物有害動植物発生予報(第9号)を発表した。それによると、種子消毒の前に必ず塩水選を行う、今年の種もみは例年に比べて割れもみが多く、沈みにくいことから作業は丁寧に行う、塩水選を行った種もみは、水洗いし、水を切った後、種子消毒を行うことを挙げている。
(日本農業新聞)

○3月19日(金) 地元産米をPR販売 消費拡大へ試食会 岩手・宮古地方農業振興協
 JAみやこや行政機関などで組織する宮古地方農業振興協議会は十三日、宮古市のいわて生協・マリンコープDORAで宮古・下閉伊産米のPRを行った。今回のイベントは地元の消費者に地元で生産される米のPR販売を行い、地産地消運動を推進することで消費拡大を図ろうと開かれた。イベント会場では試食会も行い、安全・安心をアピールしながら同地方で生産された「あきたこまち」が販売された。二〇〇三年産の店頭販売は二十八日まで期間限定で行う。
(日本農業新聞)

○3月19日(金) 複数品種作付け 冷災害に対応 JAいわて中央もち米生産部
 JAいわて中央もち米生産部会の通常総会が十六日、紫波町で支部役員らが出席して開かれた。今年から改正される特別栽培農産物ガイドラインに対応するため減化学肥料栽培の研究を進めるほか、複数品種の作付けにより冷災害への対応を行う事業計画など全五議案を原案通り承認。
(日本農業新聞)

○3月19日(金) 種もみ温湯消毒導入に向け実演 JA仙台稲作部会協
 環境に優しい農業を推進しようとJA仙台稲作部会協議会は十一日、根白石育苗センターで、温湯殺菌システム装置による種もみ消毒の実演会を開いた。この日実演したのは、潟^イガーカワシマ(本社=栃木県)が三年前に開発した「湯芽(ゆめ)工房」という製品。湯温装置本体にガス給湯器から湯を注ぐようになっている。高精密センサーで、湯の温度を一定に保つ。設定時間になると自動的に種もみを湯温装置本体の槽から、冷却槽装置に運ぶ仕組みだ。
(日本農業新聞)

○3月20日(土) 低グルテリン米で日本酒 「春陽」使い、味すっきり 中央農研北陸と酒造会社
 北陸研究センター(新潟県上越市)と新潟県柏崎市の原酒造は十九日、「春陽」を使った新しいタイプの日本酒を開発したと発表した。「春陽」は米に含まれるグルテリンを、一般品種の三分の一にまで減らした品種。グルテリンは水溶性のたんぱく質。麹(こうじ)菌が利用できる水溶性のたんぱく質が少ないため、雑味の少ないすっきりした酒ができることが分かった。日本酒への適性にめどがついたことで、低グルテリン米の利用方法が広がりそうだ。「初摘み春陽」の名前で製品化し、二十四日から同県内のデパートや首都圏の一部で販売する。消費税込みの希望小売価格は、七百二十ミリリットルで千三百六十五円。
(日本農業新聞)

○3月20日(土) 売れる米作ろう 作業ポイント学ぶ JAいわて南第1回あぜみち相談会
 減農薬・減化学肥料栽培で売れる米作りを目指すJAいわて南は十八、十九日の両日、管内の百七十一会場で第一回あぜみち相談会を開き作業のポイントを説明した。一関市三の関の三関公民館には生産者十六人が参加し、同JAの佐藤幸蔵中央営農経済センター所長の説明に耳を傾けた。佐藤所長は「今年は特に冷害の影響で二〇〇四年用種子は発芽率90%以上を確保しているものの、例年に比べ種もみの発芽勢がやや劣る。割れもみ、いもち病菌などの保菌率が高いことから塩水選、浸種、種子消毒をしっかりと行うように」とそれぞれの作業ポイントを話した。同JAは、消費者の安心と安全志向に応え今年も減農薬・減化学肥料で売れる米作りに取り組むことから、種子の殺菌剤に微生物農薬水稲種子伝染性病害防除剤「エコホープ」を使用するほか、農薬の使用成分を八成分に限定、県が定める慣行栽培基準十六成分の半分に抑えている。
(日本農業新聞)

○3月20日(土) 塩水選と消毒を徹底 良質米生産へ講習 青森・JA八戸広域
 JA八戸広域上長支店と八戸地域農業改良普及センターは十六日、良質米生産に向け水稲育苗講習会を八戸市上長市民センターで開き、生産者約百人が参加した。指導に当たった八戸地域農業改良普及センターの片山伸也講師は、今後の育苗準備から田植えまでの注意点として「去年の異常な天候不順のため、種もみが平年より粒が小さく、割れもみや被害もみが見られる。適正な塩水選で悪いもみを除去しよう。また、昨年はいもち病発生が多かったので、種もみについている可能性がある。種子消毒をし、種子伝染性病害防除に努めよう」と説明した。
(日本農業新聞)


 
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○3月22日(月) 無菌種子で病害を予防 炭の粉で玄米被覆 県立大と秋田市の2企業
 いもち病など、種もみに付着するカビやバクテリアが主な発生源となるイネの病害予防に向け、県立大と秋田市内の二企業が、炭の粉で玄米をコーティングした無菌種子の共同研究を重ねている。「種子さえ無菌状態に保つことができれば、病害菌は圃場から根絶できる」と考え、無農薬栽培の新技術確立を目指す。実験圃場では有効性は確認済みで、種子加工の機械化など、実用化に向けた試行錯誤が続く。研究主体は、県立大生物資源科学部で植物保護学を専門とする内藤秀樹教授(六三)。内藤教授の無菌種子は、脱穀後の玄米を炭の粉で被った真っ黒のコメ粒。「イモチ病をはじめ、ほとんどのイネの病害は種子に付着したカビや細菌が発生源。それが圃場に入って二次感染し、被害が広がる。もともと土壌には病原菌がいないのだから、地域全体の田んぼが一斉に無菌種子を導入すれば、病害を根絶できる」というのが内藤教授の持論だ。薬剤による種子消毒という従来方法では、農家段階で大量に種子消毒した場合、一部の病原菌が種もみに付着したまま、生き残るリスクが小さくない。そのため、いもち病などは定植後も圃場の防除が必要となる。種子に脱穀後の玄米を用いるのは、病原菌繁殖の温床がもみ殻であるためだ。そのもみ殻を取り除いた玄米を土中にまいても、発芽前に腐食が始まり、発芽率が低下する。炭粉によるコーティングは、玄米の腐食を防ぎ、発芽率を高める役割を担う。内藤教授が大潟村、大曲市の農家や、太田町の教え子の圃場でこの無菌種子の実用試験を実施したところ。発芽率は80〜90%を確保。一般圃場から隔離された試験圃では空気伝染もなく、防除をしなくとも病害発生は抑えられた。実用化に向け、資材や機械の調整を続けているのは、秋田市の木材加工会社「高谷林業」(高谷社長)と機械製作会社「トーヨー」(鎌田均社長)。高谷林業は、無菌種子を播種した育苗箱に、仕上げ段階でかぶせる細かな杉チップ材を開発した。通常は、種子を播種後に土をかぶせるが、杉チップで覆えば種子の玄米からカビが発生しにくくなる。育苗箱の重量も軽くて済み、作業負担が軽減される。今は肥料持ちの向上に取り組む。トーヨーは、玄米のコーティング機と播種機の開発を担当。播種機は農家が所有している種もみ専用の機械を改造し使用できるように設計した。昨年テストした試作機は、杉チップを均等にまけずに苦戦。今年の二号試作機は、この点もかなり改善される見通し。普及の鍵を握るのは、玄米に炭粉を付着させる接着剤。現在は環境への影響がない水溶性のアクリル樹脂を使っているが、内藤教授は「できれば完全な天然物質に切り替え、有機栽培の一手法に発展させたい。農家や消費者にも受け入れてもらいやすくなる」と意欲を見せる。
(秋田魁新報)

○3月24日(水) 自主米入札 3.8%安の1万9188円
 自主流通米価格形成センターは二十三日、二〇〇三年産自主米の第十一回入札取引を行った。前回取引(二月)に続き一段下げ、〇三年産の最安値を付けた。全銘柄の落札価格平均価格は、前回比3.8%安(七百五十一円)の六十キロ一万九千百八十八円だった。前年同期比では19%高い水準。高値の新米が販売不振の一方、在庫も積み上がっており、米卸の調達意欲が弱かった。全国から六十一銘柄、四万二千八百トンが上場、全量落札された。全面安の中、山形・庄内「ササニシキ」など五銘柄は小幅に上がった。新潟・魚沼「コシヒカリ」は六十キロ当たり三万五千七十五円。高値疲れから11.2%安(四千四百十円)と大幅安になった。全体相場に影響を与える新潟・一般「コシヒカリ」は二万千二十五円で3.6%安、人気ブランドの秋田「あきたこまち」は一万九千二十二円で3%下がった。
(日本農業新聞)

○3月24日(水) 稲「ふくみらい」増反 病災害に強く収量増 福島県
 福島県は二十三日、県庁で「ふくみらい」生産販売推進会議を開き、県の水稲オリジナル品種「ふくみらい」を「初星」「チヨニシキ」の代替品種として導入を促進することにした。〇三年産「ふくみらい」は、「ひとめぼれ」に比べ低温障害やいもち病発生も少なく、収量は「ひとめぼれ」が十アール当たり三百十八キロ(六十五事例)に対し、四百四十七キロ(十六事例)であった。〇四年産対策では、「ふくみらい」を@「初星」「チヨニシキ」の代替品種A水稲直播(ちょくは)栽培適品種B環境に優しい米作りなどの適品種として促進する。また、品質向上対策では、たい肥、土壌改良材による土づくりを行い、収量と品質向上に万全を尽くす。栽培面積は、〇三年産の千四百八十九ヘクタールから〇四年産は二千二百ヘクタールに増反されると推計。販売面にも力を入れる。
(日本農業新聞)

○3月24日(水) 売れる米作りへ 減農薬栽培開始 青森・JAしんせい五戸水稲協
 良質で安心して食べてもらえる「しんせい五戸米」の生産を目指しているJAしんせい五戸水稲協議会の総会では、売れる米として「ゆめあかり」の作付けや、消費者ニーズに対応した青森クリーンライス(減農薬栽培米)への取り組みを積極的に進めることを決定。これに伴い今年は、十ヘクタールで行政や普及センターと協力し、農薬基準を町村が認める慣行農薬成分の回数を二分の一以下で試験栽培する。
(日本農業新聞)

○3月24日(水) 早期警戒システムの果たした役割 地域全体の対策に役立つ例も 東北農業研究センター地域基盤研究部長・矢島 正晴
 東北農業研究センターでは、1993年の大冷害を契機として、94年から仙台管区気象台、東北農政局、東北各県の公設研究機関・普及機関、東北農業研究センターで構成される東北地域水稲安定生産協議会の協力のもとで、モニター農家の参画も得て水稲冷害早期警戒システムの構築に向けて着手しました。96年からは東北地域内の水稲の生育情報、水稲の障害型冷害の危険期、葉イモチの好適感染地域、イモチ病被害軽減のための各種情報を東北農業研究センターのホームページ上で毎日発信しています。昨年は93年以来の冷害年となり、早期警戒システムは初めてその真価を問われることになりました。早期警戒システムでは、育苗や移植の作業が始まる4月下旬から収穫が終了する10月中旬までの間、毎週、早期警戒情報として、気象予報、育苗期や本田での栽培管理上の注意点などを発信するとともに、水稲の発育情報、葉イモチの好適感染地域、深水管理を要する地帯などの情報は毎日更新して最新情報を利用者に提供しています。昨年は6月下旬から低温・寡照(かしょう)という異常な天候が続いたことから、7月26日以降、最高ランクの警戒を発し、深水管理やイモチ病の防除など、栽培管理上の注意を喚起してきました。8月には総アクセス件数が120万件を超え、また、4〜10月の総アクセス件数は前年の160%となり、本システムは今回の冷夏に対して有効に活用されたものと考えられます。その一例として、早期警戒システムを実際に利用している農家からは、「深水管理やイモチ防除実施の判断基準として利用した」「農協にイモチ防除を働きかけた」というように、地域全体の冷害対策に役立てられた例もみられます。また、「リアルタイムで貴重な情報が入手できる」「自宅にいながら情報を得られる」「忙しいので余裕があるとき見ることができる」「どこが冷害危険期で、イモチが発生したかという情報が役に立つ」というような情報取得の利便性や情報の正確さ、綿密さも指摘されました。今後とも、このような利用者の声を糧としながら改良を行い、一層利用しやすいシステムの構築を目指して研究を進める予定です。
(農業共済新聞)

○3月25日(木) 所得多い環境保全型 労働時間、1.6倍 農水省調査
 農薬や化学肥料をつかわない稲作農家ほど所得が増える傾向があることが二十四日、農水省の調査で分かった。有機栽培の十アール当たり所得は約七万四千円で慣行栽培の一・九倍。ただし除草や、たい肥づくりに手間がかかるため労働時間は同一・六倍になっている。有機栽培でJAS認定を受けたり、農薬や化学肥料を減らすなど環境保全型農業に取り組む全国三百五十戸の稲作農家を調査。農薬や化学肥料の使用の状況に応じて五つに区分。慣行栽培に比べ、どの栽培方法でも所得が増える半面、労働時間も増えた。ただ、減農薬や減化学肥料栽培は、所得が一・四倍になっても労働時間は1%増えるだけで済み、少ない負担で所得を増やしている。農薬を減らす工夫としては、除草機を使う農家が最も多い。有機栽培農家の38%はアイガモなど小動物を利用し、小動物を売った収入で粗収益の一割を得ていた。農薬や化学肥料を減らすと、米の販売金額は一〜八割高くなった。農薬を使わない農家は、消費者に直売する割合が最も高い。無化学肥料や減農薬・減化学肥料の場合は、JAに出荷する比率が高かった。
(日本農業新聞)

○3月25日(木) 岩手で水稲プール育苗指導会 病害予防し省力化
 水稲の育苗ハウス内に簡易のプールを作って稲を管理する、プール育苗指導会が二十三日、紫波町のJAいわて中央本所で開かれた。プール育苗は管内でも最近普及している技術で、苗箱を水面下で管理することにより細菌病の発生を抑えることができる。また、日中のかん水や育苗ハウスの開閉作業が不要なため、慣行対比18〜28%と大幅な省力化が期待でき、大規模農家や兼業農家に大きなメリットがある。根張りも慣行栽培と比べると良い。指導会では、ポイントとなる育苗ハウス内の置床の平均方法と入水の目安など初期管理について、盛岡農業改良普及センターの工藤普及員が指導した。また、会場にはサンプルが展示され、参加した生産者は底に敷くビニールの厚さやプールの深さを実際に確かめていた。
(日本農業新聞)

○3月25日(木) 担い手育成が課題 新しい米作り提案へ 東北農政局長
 東北農政局の海野洋局長は二十四日、報道陣と懇談し、今年から本格化する米改革について、「地域ビジョンづくりの中で担い手をどうするかが一番の問題だと思う」と述べ、担い手問題が重要な課題であるとの認識を示した。また、二〇〇四年が国連が決めた国際コメ年であることに関連し、農政局内に推進会議を設置、東北地方と米との結び付きを再確認する取り組みを進めることを明らかにした。具体的には、@創(つく)る(技術)A育む(地域社会、環境、伝統文化)B結ぶ(人)という視点から、新しい米作りの提案に向けた運動を積極的に展開する。この中では、昨年の冷害を検証する行事も行うことにしている。
(日本農業新聞)

○3月25日(木) リモートセシングで葉いもちの被害を評価する
 いもち病は、日本の稲作において最も重要な病害である。葉に病斑が出たときは葉いもち、穂に発生したときは穂いもちと呼ばれ、葉いもちの病斑から出る胞子が穂いもちの感染源となる。東北のほとんどの水田で、いもち病に対する薬剤防除が行われている。いもち病は冷害年に多発し、その被害も甚大であるため、既存の予察技術を補完するものとしてリモートセシング技術による広域診断技術の確立が期待されている。東北地域の稲作において、いもち病の発生予察技術は現在、巡回調査やアメダスデータに基づく予察技術が基幹となっている。リモートセシング技術は、葉いもちの広範囲にわたる被害評価、発生予察および圃場の定点調査、巡回調査の効率化に貢献できる。また、航空機多波長域走査センサは高い地上分解能をもつことから、それにより圃場レベルでの被害診断が可能となる。
【リモートセシングとは?】
 リモートセシング(re_mote sen-singu)とは、人工衛星や航空機などのプラットフォームに搭載されたセンサによって、地表にある物体や空間・流体などの様々な現象を電磁波の特性を利用して、広い範囲にわたって直接触れずに調査する方法の総称である。分かりやすい利用例では、気象衛星から地球の雲の動き、種類、量などを調べたり、地表面の温度を解析し、気象予報に役立てることなどがある。特定の電磁波の波長に対する反射率とその特性から、イネのクロロフィル含量、バイオマス、水分含量などが評価できる。本研究では、葉いもちの感染によって電磁波の反射率が変動する波長域を明らかにして、航空機波長域走査センサで葉いもちの被害を評価できるかどうかを検討した。
【航空機センサによる葉いもちの被害の評価】
 航空機多波長域走査センサ(J−SCAN−AT−AZM:中日本航空鰍ノより、2001年7月28日に秋田県仙北平野西部を計測し、同時に地上で葉いもちの被害を調査した。6月下旬から7月上旬にかけて葉いもちの感染に適した気象条件が多発したことから、観測した水田全体で葉いもちが発生していた。圃場によっては、ずりこみ症状(萎縮症状)がみられるところもあり、発病程度は0〜8であった(0が健全イネ、大きくなるにつれて被害が大きいことを示す)。計測データのBand6/Band3(バンド6(663・3−680・4nm:赤色)とバンド3(543・9−558・5nm:緑色)の比演算値)は、発病程度に比例して大きくなった(図1)。この比演算値により、葉いもちの発病程度が識別できた。計測範囲の水田圃場を抽出し、Band6/Band3の比演算値に応じて色を割り付けると、発生圃場および発病程度を識別できた。
【利活用について】
 航空機センサで瞬時に広範囲の葉いもち発病状況を把握することにより、効率的な薬剤散布が可能となる。すなわち、葉いもちの発生が少ない場合は、穂いもちの防除を省略または防除回数を減らすなどの判断が可能になる。葉いもちが発生していたときは、発生圃場に直ちに茎葉散布するとともに、周辺圃場でも穂いもちの防除が必要となる。計測は、雲のない快晴時で太陽高度の高い時間帯に限られる。また、この航空機多波長域走査センサと同等の解像度をもつ衛星(IKONOS,Quick Bird)でも代用可能と考えられる。しかし、現在のところ航空機センサ、高解像度衛星ともコストが高いこと、計測データが瞬時に入手できないなどの点から実用化にはいたっていない。しかし、近い将来には、航空機センサの小型化や農業用監視衛星などの打ち上げにより、これらの問題は解決されると考える。
(地域基盤研究部連携研究第1チーム・小林隆)
(新農林技術新聞)

○3月26日(金) 売れる米作り本格化 種子更新、適期刈り徹底 宮城・JAいしのまきが稲作栽培基準の冊子配布
 宮城県のJAいしのまきは、広域合併の総合力を発揮した「売れるいしのまき米」作りを本格化させるため、管内全域で統一した「二〇〇四年度稲作栽培基準」の冊子を発行した。"JA版稲作参考書"ともなるので、商品価値の高い良質米作りに向けて、種子更新100%や適期刈り取りなどを徹底していく。今回の冊子は同JAと管内全域で組織する稲作部会で初めて作り、今月中旬に一万二千部を部会員らに配った。「安全・安心・高品質な"いしのまき米"の生産を目指して」と題した冊子では、高品質・良食味・安定生産という視点に加えて、安全で安心できるおいしい米作りを重視。各作業の基本的なことや注意点、手順などを図表入りで、〇三年の統一した栽培暦よりも詳しく説明している。冊子はB5判八十ページ。
(日本農業新聞)

○3月26日(金) 水稲育苗管理施肥方法学ぶ 青森・JA津軽尾上が講習会
 減農薬栽培で売れる米作りを目指そう―とJA津軽尾上はこのほど水稲栽培講習会を開いた。平賀地域農業改良普及センターの高橋宗壽主査を講師に、生産者約四十人が集まり、育苗管理、復元水田の施肥や留意点を学んだ。高橋氏は育苗について@今年の種子は昨年の冷害で、種もみが小さめなので、浸種は十分に行うA種まき量は例年よりやや少なめの催芽もみで百二十グラムとするB育苗期間のかん水は午前十時ごろまでに行い、節水気味の水管理を行う―と参加者に注意を促した。また、復元水田では、「無肥料とし生育の状況を見て、つなぎ肥や追肥で調整する」と説明した。
(日本農業新聞)

○3月26日(金) 古代米作りへ活動計画検討 JAいわて花巻女性部のグループ
 JAいわて花巻女性部の「こだわり米グループ」はこのほど、花巻市のJAいわて花巻で、二〇〇四年度の活動内容の検討会を開いた。今年度は「古代米づくり体験、いっしょに育てよう」をスローガンに、バケツ苗を提供し、ほ場の苗と比較する企画など、栽培体験を中心に地域に根差した活動を展開することなどが話し合われた。
(日本農業新聞)

○3月27日(土) 県内の天気予報きめ細かく提供 24区域、6時間ごと 秋田市の会社
 秋田市の気象情報会社ウェザープランニングが、県内をアメダスポイントが含まれる24区域に分割し、それぞれの区域を6時間ごとに予報する新たな天気予報を4月1日から開始する。「時々」や「のち」などの表現を用いた細かな予報が特徴。同社のホームページ上で無料公開する。同社が始める「マイタウン天気予報」は、気象庁の気象レーダーからの情報を活用。独自に開発した地形による影響などを解析するソフトでデータを処理し、午後八時と午後四時に発表する。二十一日から試験運用を始めている。問い合わせは同社電話018・816・0246。ホームページは、http://www.wxp.co.jp
(秋田魁新報)

○3月27日(土) 内陸はえぬき 10年続け「特A」 03年産米の食味ランキング
 日本穀物検定協会は26日、2003年産米の食味ランキングを発表した。サンプル提出があった全国107銘柄のうち、最高の「特A」に11銘柄を選出、県産米は内陸はえぬきが10年連続10度目、庄内はえぬきが8年連続9度目の栄誉に輝いた。内陸はえぬきの十年連続は、新潟魚沼コシヒカリの十三年連続に次ぐ連続受賞。冷害の影響で、これまで高い評価を得てきた秋田の「あきたこまち」、宮城の「ひとめぼれ」、福島の「コシヒカリ」などが「特A」を逃し、東北地方は山形県産の「はえぬき」だけが選ばれた。山形農政事務所の調べで、〇三年産の「はえぬき」は二月末現在、一等米比率が88・7%(前年最終88・5%)で、恵まれない天候下で高い品質を確保した。
(山形新聞)

○3月28日(日) 不作、高騰は響かず 極端な米離れなし 農水省調査
 昨年の出来秋以来、米が高騰したにもかかわらず、極端な消費者の米離れが起こっていないことが、農水省の米消費動向等調査で分かった。同省の調査によると、二〇〇三年度(昨年四月〜今年一月)の一人当たりの一カ月米消費量は前年度に比べて0・8%減った。長年の減少傾向に歯止めはかかっていないが、下げ幅は消費量が増加傾向に転じた二〇〇〇年度を除けば、この六年間で最も小さい。昨年十月以降の消費量の変化に限っても、〇三年産が出回る以前の減少幅に収まっている。一方で、総務省の家計調査で見た一人一カ月当たりの食料消費支出(昨年十月〜十二月平均)は、パンやめん類がほぼ横ばいで推移しているのに対し、米への支出が4・9%と前年同期を0・6ポイント上回った。自主流通米の入札価格は一月以降、下落が続いているが、同省は「消費者の志向が高値の単品銘柄から安価な商品に流れているのが背景にある。消費全体が冷え込んでいるわけではない」と分析する。
(日本農業新聞)

○3月30日(火) 米のカドミウム基準値0.4ppm 日本提案で合意 コーデックス委専門部会
 農水省と厚生労働省は二十九日、食品に含まれるカドミウムの国際基準値を議論するためオランダ・ロッテルダムで開かれていたコーデックス委員会の専門部会が、米の基準値原案を0・4ppmとすることで合意したと発表した。これまで同委員会が示していた基準値案は0・2ppmで、修正案として0・4ppmを求めていた日本の提案が受け入れられた格好だ。基準値は、今後も部会で検討するが、早ければ来年の委員会総会で正式決定される見通し。厚生労働省は現在、国内基準値の見直しを進めており、今後の議論に影響を与えそうだ。同部会では、米以外にも六つの食品群の基準値案を決めた。その結果、小麦や野菜などは原案通りの基準値案に。また、原案0・2ppmに対し、日本が大幅な修正を求めていた大豆は、カドミウム摂取の影響が少ないことから、基準値は設けないことにした。
(日本農業新聞)

○3月30日(火) くじらもち作り最盛 手作業で守る伝統の味 山形・新庄市「ふるさと工房」
 山形県新庄市の萩野もち加工利用組合「ふるさと工房」では、最上地方の名物「くじらもち」の加工作業が最盛期を迎えている。自家産米を原料に、手作業で昔ながらの味を守る。四月初めの桃の節句に合わせた商品として人気で、スーパーなどから注文が相次いでいる。同組合は一九九五年、市内の和牛肥育・繁殖農家らで結成。中三間地で取れる良質米を使った付加価値販売と、冬場の出稼ぎ解消を目的に、もち加工施設を建設した。メンバーは四家族八人。牛たい肥を水田にたっぷり入れ、原料は減農薬栽培「ひめのもち」の一等米だけを使う。米使用量は年間約三百俵(一俵六十キロ)で、九五年の二百俵から大幅に増えた。加工作業は冬期間が中心で、十月末から十二月は正月用のもち作りで大忙しになる。杵(きね)つきの切りもちや丸もちを、「つららもち」の商標で販売。全国各地に顧客を抱え、昨年は歳暮用ギフト(三千〜五千円)を約千セット発送した。二月末から四月半ばにかけて行うのが、もち菓子作り。くじらもちは、もち米とうるち米をひいた米をひいた粉などを手で練って蒸して作る。ようかんのような形で、ほどよい歯応えと上品な甘さが特徴だ。赤砂糖、白砂糖、黒砂糖、あん入りの四種類あり、一本(六百五十グラム)八百円、三本詰め二千五百円(税別)。
(日本農業新聞)

○3月30日(火) 米依存から脱却へ 活路探り農政講演会 JAあきた北
 米依存からの脱却を図り、地域農業の在り方について考えてもらおうと、JAあきた北と大館広域圏水田農業振興協議会は二十九日、「地域農業の活路を見いだすために」と題した農政講演会を、大館市文化会館で開いた。同JAでは、米政策改革に併せて、地域水田農業ビジョンを管内の大館市、比内町、田代町の広域圏で作成。座談会などで説明してきた。しかし、米に依存し中小農家も多いことから危機意識が薄く、集落での話し合いも進んでいない。そこで、地域の担い手に改革の内容を理解してもらい、集落での話し合いを進めてもらおうと同講演会を開いた。認定農業者や集落の代表など二百八十人ほどが出席。秋田県農業会議事務局長の鈴木秀彦氏が、「地域農業の維持再生をめざす集落営農」と題して講演した。秋田県は、米に依存し過ぎて農業粗生産額が東北で最下位であることや、米政策改革で集落や担い手に土地を集約しないと、さまざまな助成が受けられないことなどを説明した。また、二〇〇〇年に秋田県第一号の特定農業法人として設立した立花ファーム(大館市)の副理事長長崎章夫氏が、設立の経緯やその後の取り組みなどを紹介した。
(日本農業新聞)

○3月31日(水) 水稲栽培の低コスト・省力化へ 除草剤の使用法など学ぶ 秋田・JAおものがわ直播研究会
 田植え作業の省力化や低コスト経営を目指して、直播(ちょくは)栽培を行う農業者で構成する秋田県のJAおものがわ水稲直播研究会が、いよいよ始まる春作業を前に栽培講習会をこのほど開いた。同JA管内では、米と合わせてスイカなどの換金作物を栽培する複合農家が多い。稲作を徹底的に省力化・低コスト化し、ほかの作物栽培に集中しようと、六年ほど前から直播栽培が注目されてきた。二〇〇一年に設立された同研究会の会員は現在九人で、七・二ヘクタールで直播栽培をしている(〇三年産)。講習会では、秋田県農業試験場の若松一幸研究員が、七、八粒の種子を一カ所にまいて、丈夫な株を形成させる「乾田土中点播(てんぱ)」や潤土直播の作業体系を説明した。同試験場の三浦恒子研究員が、栽培していく上で重要となる除草剤の効果的な使用法について述べた。
(日本農業新聞)

○3月31日(水) 千葉の米穀店が生産者と意見交換 山形・JA庄内みどり
 JA庄内みどりの八幡地区で生産するトップブランド米「たわわ米」を販売し、生産者組織を支援している千葉トップブランド米育成会の一行がこのほど、八幡町を訪問。同JA八幡支店で記念講演会と意見交換会に臨んだ。「たわわ米」の生産組織「八幡トップブランド米80協議会」の会員ら三十人が参加。「十五年産米の消費地動向とたわわ米」と題した千葉育成会の牧野邦夫会長の講演に耳を傾け、意見交換を行った。「たわわ米」(愛称)は、減農薬で生産。葉色診断し、同JA一条カントリーエレベーターで仕分け集荷している厳選の「はえぬき」。二〇〇一年産米から「特別栽培米」として県の認証を受けてきた。一方、育成会は「たわわ米」を高く評価する千葉県内の八つの米穀店で一九九九年五月に発足した。講演会で牧野会長は「消費者に感動を与えないと、米は売れない。生産者と販売店が一体となって頑張ろう」とエールを送った。また、意見交換会では、入札で米の価格が大きく変動し、販売に苦慮している現状が報告され、米価の安定を強く望む声が出されていた。
(日本農業新聞)


 
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