水稲冷害研究チーム

2004年東北稲作動向



 本情報は新聞記事等から得られる東北地域の稲作概況をお知らせするものです.
 稲作の動向と冷害関連記事に注目して,概況を追跡します.
 なお,記事の収集については東北農業研究センター情報資料課児玉課長さんにご協力をいただいています.


4月

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○4月1日(木) 「もちたろう」本日発売 岩手・紫波町
 紫波町の紫波まちづくり企画は1日から、減農薬・減化学肥料栽培された同町産の「ヒメノモチ」を100%使用した「紫(し)あ波(わ)せもちたろう」を町内のラ・フランス温泉館などで発売する。今回発売する白もちは形状にもこだわり、東北地方では一般的な「角切もち」と関西地方で多い「丸もち」、しゃぶしゃぶや鍋物の「薄切もち」の3種類。それに今回、新たにミネラル豊富で稲きびの黄色が幸せ感たっぷりの「稲きび」と、シソの香りと彩りが新鮮な「赤じそ」の2種類を開発・発売する。もちは杵(きね)つきで、「ヒメノモチ」特有の白さと滑らかさが特徴。2、3カ月間の保存が利くため、土産や贈答品にも最適だ。価格は白もち、よもぎもち、稲きびもち、赤じそもち各1袋(200グラム)350円、贈答用詰め合わせは1箱3000円。紫波町の盛岡南ショッピングセンター「ナックス」やラ・フランス温泉館、レストラン果里ん亭、盛岡市の川徳デパート、特産品プラザらら・いわてなどで販売している。問い合わせ先は鰍ワちづくり企画、(電)019(673)8555。
(日本農業新聞)

○4月2日(金) 耕地面積0・8%減少 東北農政局盛岡統計・情報センター
 東北農政局盛岡統計・情報センターはこのほど、昨年実施した耕地面積や水稲、豆類などの調査結果を発表した。2003年7月15日現在の耕地面積は、15万8000ヘクタールで、前年に比べ1300ヘクタール(0・8%)減少した。内訳は、田9万7200ヘクタール、畑6万7000ヘクタールで、それぞれ4000ヘクタール(0・4%)1000ヘクタール(1・4%)減少。原因は宅地などや道路鉄道用地への転用など。
(日本農業新聞)

○4月2日(金) 大豆検査数量前年7%上回る 東北6県2月末現在
 東北農政局は1日までに、2003年産大豆の検査成績(04年2月末日現在)を発表した。東北全体の普及大豆の検査数量は2万4308トンで、前年同期を7%(1623トン)上回っている。検査成績は表の通り。数量は、青森県と宮城県が前年同期を20〜15%下回ったが、山形は73%(2878トン)多かった。1等米比率は、岩手が前年同期より20ポイント、青森が同12ポイント、山形が同7ポイントそれぞれ高かった。秋田は前年並み。宮城は同10ポイント、福島は同2ポイントそれぞれ低かった。

2003年産普通大豆検査成績
(2004年2月末日現在)単位:t 、%
 検査数量1等2等3等
青森2,56419.432.348.3
岩手2,07850.032.617.1
秋田4,9693.421.574.9
宮城7,47515.850.034.2
山形6,80210.653.336.1
福島4178.619.471.3
(日本農業新聞)

○4月2日(金) 政府備蓄米が完売 2000−2002年産
 農水省のまとめによると政府備蓄米のうち二〇〇〇年〜二〇〇二年産米が二月末までにほぼ完売した。備蓄米全体の残高も九十万トンと昨年十月末に比べて三一%減少した。冷夏による不作を補うため卸会社が備蓄米を大量に仕入れたためだ。政府はコメ不足が起きるのを避けるため民間在庫や新米の作柄を見ながら一定量の備蓄米を保管する。昨秋以降、保管年数が短いコメから売れたことで、九六−九九年産が残った。備蓄米は一定期間を過ぎると飼料用などに処理される。一方、卸在庫は二月末で七十六万トンと適正水準と言われる三十万トンを大きく上回る。半面、政府備蓄は食味の落ちた古いコメしか残っておらず、「二〇〇四年産が深刻な不作になると需給が一気にひっ迫する」(大手卸)との見方も出ている。
(日本経済新聞)

○4月3日(土) 集荷14万8000トンで計画通り 相対、契約も数量確保 大豆情報委
 大豆の需要・価格情報に関する委員会は2日、2003年産大豆の集荷が順調に進み14万8000トンでほぼ確定し、入札取引以外の相対や契約栽培取引の販売数量が、ほぼ当初計画通りに確保できる見通しであることを確認した。03年産大豆の逼迫(ひっぱく)感は依然強く、入札取引での価格高騰が続いているため、相対や契約での販売数量を確保できていることを示すことで、書いて側の数量不足への不安を和らげたい考えだ。集荷量は前年比79%の14万7700トンの見通し。
(日本農業新聞)

○4月3日(土) 国産の高騰 依然続く 日本特産農産物協会
 不作による品薄感から国産大豆が高騰を続けている。日本特産農産物協会が2日発表した、2003年産大豆の3月の入札結果は、落札平均価格が60キロ1万2265円で、前年比24%高と続伸。前年同期と比べると、2・8倍という高水準になっている。不作を背景に上場数量は、前年同期の2割の5180トンと少なかった。全量落札された。煮豆需要が強い北海道・大粒「とよまさり」が前年比4・6%高の1万4364円、豆腐向けの福岡・大粒「フクユタカ」が17%高の1万1693円などとなった。北海道・小粒「スズマル」や京都・中粒「オオツル」は2万円を超えた。
(日本農業新聞)

○4月3日(土) 冷夏響き味気ない評価に… 岩手・県南ひとめぼれ 03年産米食味ランキング
 日本穀物検定協会(東京)の二〇〇三年産米の食味ランキングによると、本県を含む五道県は冷夏による不作の影響で「格付けなし」の判断となった。十年連続最高ランクの「特A」獲得が期待されていた本県の県南ひとめぼれだが、思いがけない結果に関係者は複雑な表情だ。本県からは県南ひとめぼれ、県中あきたこまち、いわてっこ、県北かけはしの四銘柄を抽出。ひとめぼれは、一九九四年産から九年連続して特Aを獲得していた。九年以上連続していたのは新潟・魚沼産コシヒカリと山形・内陸はえぬきを加えた三銘柄しかなかった。しかし、低温や日照不足の影響で本県の作況指数は七三。全国平均の九〇を下回った五道県はサンプルが「代表性、継続性に問題がある」としてランク付けしないことに決めた。同様のケースは九三年の大冷害の際にもあったという。一方、本県と同じく連勝していた新潟、山形は最高位を死守。全銘柄中十一が特A(前年十二)で、中でもコシヒカリの善戦が目立った。これに対して、八年連続で特Aだった秋田・県南あきたこまちがAに落ちるなど、東北勢を中心に苦戦を強いられた。
(岩手日報)

○4月4日(日) 米備蓄"危険水域"へ 相場高響く 政府買い入れ進まず
 備蓄用の政府米(2003年産)の買い入れが暗礁に乗り上げている。10年ぶりの不作を背景に03年産米の相場が、政府米買い入れ価格を上回り、政府米への売り手が見つからない状況だ。03年産の政府の買い入れ計画数量は10万トン。しかし、当初期限の3月半ばまでに集まったのは6000トン足らず。計画の1割にも満たない事態に陥った最大の要因は価格。03年産自主米の価格は60キロ2万円弱だが、政府米の買い入れ価格は1万4000円程度。政府は凶作などに備えて米を備蓄することになっている。その適性水準は100万トン程度とされている。昨年6月時点の備蓄量は163万トンあった。ところが、03年産の不作と高騰で100万トンが売れ、残りは63万トン程度しかない。しかも、残っているのは1999年産以前の"超古米"。このままの状況で、仮に04年産も不作となれば不足しかねない危うさを持つ。計画通り10万トンを買い入れたい同省は、買い入れ期限を10月まで大幅に延長するが、10万トン確保の見通しは立っていない。
(日本農業新聞)

○4月4日(日) 一杯飲めば花見気分 まろやかな味特徴 サクラの酵母で酒造り
 桜の天然酵母を用いて醸造した清酒や焼酎、ビールが商品化され、春の花見シーズンを中心に注目を浴びている。酵母は自然界にあり、風や虫に運ばれて桜の花に付くという。酒は桜の香りがするわけではないが、イメージの良さに加え、華やかな味わいに仕上げるのが売り物だ。山口県内では、山口県産業技術センターの技術指導もあり、二〇〇一年からさまざまな清酒や焼酎が生まれている。紅こうじを使い、桜の花のように色つけした清酒もあるが「ほどよいピンク色にするのが難しい」と杜氏(とうじ)の苦労も。また永山酒造合名会社(山陽町)が米焼酎を「花咲じじい」というユニークな商品名で売っており、別のメーカーも来年春に発売する。産業技術センターは「桜の酵母を使うと、まろやかな味に仕上がるようだ」と指摘する。酒造大手の宝酒造は、沖縄県の桜の花から酵母をとった清酒「松竹梅白壁蔵『花のような』」を今年二月発売した。神戸市にある工場で製造しており、香り立つような味わいが特徴という。三百ミリリットル瓶入り五百九円で、年間二十四万本の販売を目指す。一方、秋田県では地ビールに活用している。約三百種のサンプルから、秋田県北部のソメイヨシノの花から採種した酵母を選んだ。「桜酵母ビール」を販売する「わらび座」(田沢湖町)は「すっきりした飲み口で、毎年大量に買ってくれる個人客もいる」と話す。大阪市・梅田の阪神百貨店は、桜の酵母を使った清酒を置いていて「若い女性によく売れており、香りと季節感が好まれているようだ」と語る。 (福島民報)

○4月6日(火) 冷害に強い稲作を 作期拡大で危険分散確認 宮城県が安定生産対策推進会議
 宮城県は5日、県庁内で水稲安定生産対策推進会議を開いた。会議では今年度の稲作指導指針を提示し、気象変動に強い稲作の推進で安定供給・経営を実現していくため、@作期拡大による危険分散A気象変動に強い栽培管理B適正な病害虫防除の実施C種子対策の実施D復元田における技術対策の徹底など7項目を重点指導事項に掲げている。特に作期拡大では、5月15日以降に田植えをする晩期栽培を拡大、減数分裂期を8月上旬に遅らせることで障害不ねんを防ぎたいとしている。また、冷害を避ける栽培方法として直播栽培の取り組みや、良質米栽培に向けた耕畜連携による土づくりの事例が紹介された。
(日本農業新聞)

○4月6日(火) 霜害の未然防止へ 福島で対策本部設置
 福島県農業団体災害対策本部は5日、防霜対策本部設置式を行った。霜害注意報の確実な連絡先など霜害の未然防止に万全を尽くす。霜害対策強化月間は5月31まで。特に今年は2、3月の気温が比較的高目に推移、桃、リンゴ、梨など果実の発芽が平年より5日から10日ほど早く進んでおり、凍霜害の危険性が高いので、果実、水稲など作物別の対策指導に万全を期すことにしている。
(日本農業新聞)

○4月6日(火) 1〜3月カラカラ 野菜産地、播種遅れも
 年明けから続いたカラカラ天気が、農作物の生育遅れや病害の発生など全国の産地に影響を広げている。4月に入ってからは平年並みに戻りつつあるが、播種(はしゅ)の遅れなど農作業に支障をきたしている作物もある。気象庁は「農作物の管理と今後の天候には十分な注意を」と警戒を呼び掛けている。同庁によるとこの3カ月の降水量は北海道と東北の日本海側で平年を上回ったものの、東北の太平洋側で平年の59%、関東甲信で69%、山陽で60%、九州南部で66%などとなっている。
(日本農業新聞)

○4月6日(火) 乾田に もみと肥料直播き 福島・原町で始まる
 水を張らない田んぼに種もみを直接播(ま)く米の乾田直播き作業が五日、原町市高地区で始まった。専業農家九人でつくる高ライスセンターが作業の合理化などを目的に平成八年から取り組んでいる。今年は八日まで十四ヘクタールで行う。深さ四センチほどの溝に、トラクターで「ひとめぼれ」と「ふくみらい」のもみと肥料を直播きし、薄く土をかぶせた。約一カ月後に発芽し、苗が四、五センチほどに育ってから水を張る。また同日、市内信田沢の鹿山方で水稲の種まき作業も始まった。
(福島民報)

○4月7日(水) 輸入もち米大量在庫に
 国産もち米の不作による需要逼迫(ひっぱく)を受け、政府が2003年度に緊急輸入した加工用向けの外国産もち米が大量に売れ残っていることが、農水省が6日に発表したミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米販売結果で分かった。米菓メーカーなどの要望を踏まえ、1万5000トンの輸入枠を設けて緊急輸入したが、3、4月の取引では、合計2100トンしか買い手が付かなかった。
(日本農業新聞)

○4月7日(水) 良質米生産願い種まきスタート JAいわて南の育苗センター
 減農薬・減化学肥料栽培で安全・安心な米作りに取り組むJAいわて南は2日から、平泉町の同JA水稲育苗センターで150戸から委託されている水稲の播種(はしゅ)作業を始めた。2日は3月16日から浸種した「ひとめぼれ」3000枚を播種。最終的に「ひとめぼれ」1万4400枚、「ササニシキ」600枚の1万5000枚の播種を行う。今後28日まで催芽、播種、緑化室移動、ハウス移動などの作業を繰り返し、注文農家への引き渡しは5月5日から始まる。
(日本農業新聞)

○4月7日(水) 「深水管理が不十分」 昨年の大冷害を解析 青森県農林総合研究センター
 県農林総合研究センターは昨年の異常気象による大冷害の要因を解析し、冊子にまとめた。冷害を決定付けた七月の低温は十和田市で「四十六年に一度の低さだった」と分析。低温から稲を守る深水管理も十分に行われず被害が拡大したとして、深水管理徹底や施肥の適正化を課題に挙げた。過去に冷害に影響を強く受けた一九八〇年、八八年、九三年の気象データと昨年の比較では、四〜九月に県内でヤマセが吹いた日は昨年が七十九日で最も多く、平年の五十日を大きく上回った。昨年の十和田市の七、八月は日照時間が最少、七月の平均気温は八八年に次いで低かった。同市では出穂後四十日間の日照時間も百十三時間と最少で、平年の百五十四時間を大きく下回った。こうした七月中旬〜八月中旬の幼穂形成期、減数分裂期、出穂・開花期と稲の生育で重要な時期に続いた低温と日照不足により障害不稔(ふねん)が多発、さらに八月中旬以降の低温・日照不足が登熟不良を招いたと結論付けた。また、昨年七月下旬の県内の深水管理実施状況は、水深十五センチ以上が必要な時期にかかわらず、十五センチ以上は全体の7%にとどまった。冊子では水稲と長芋について、各普及センターごとに被害を軽減できた事例、できなかった事例を紹介し、決め細かな管理の大切さを訴えている。
(東奥日報)

○4月8日(木) 世界の穀物 逼迫感強まる 生産悪化で在庫急減 FAO見通し
 国連食糧農業機関(FAO)は6日、2003/2004年の世界の食料見通しを発表し、穀物在庫が前年に比べて急減すると警告した。中国、インド、ロシア、ウクライナ、欧州連合(EU)など幅広い国々で昨年の穀物生産が悪化したことが原因だ。03/04年の小麦、粗粒穀物、米(精米)の生産量は合計18億8430万トンで、同年の需要量の19億7120万トンを下回った。この結果、国際穀物在庫が8900万トン取り崩された。今年の穀物生産量は前年を2%、過去5年平均を3%上回る見通しだ。03年の米(もみ)の生産量は、5億9050万トンで、04年には6億1280万トンに拡大する見込み。2大生産国の中国で7%、インドで3%増えるほか、日本が10%、韓国が11%増加すると予測する。しかし、こうした穀物増産の予測は、主要な北半球の生産国で実際の栽培が始まっていないため、異常気象などによって計画通りの生産増が得られない可能性もある。
(日本農業新聞)

○4月8日(木) 国際コメ年PR強化 東北農政局やJAグループ
 国連総会で今年が国際コメ年と決定したことにちなみ、東北農政局や東北各県のJAグループではイベントなどを通じ、米について再認識する取り組みを進めていく。東北農政局では局内に推進会議を設置、東北発コメ再発見「創(つく)る・育(はぐく)む・結ぶ」をスローガンに、冷害に強い米作り、需要に応じた多様な米作りの推進を目標にする。また、景観保全と生態系の再生、東北地方ならではの伝統文化や食文化の発信を目指していく。取り組みの核として、夏に記念シンポジウムを開催、東北と米のつながりを再認識する。またスローガンの視点に沿い、関係機関と連携して年間を通じた各種行事を行っていく。各地方農政事務所でも、これに合わせたイベントを開く。各県のJAグループでは、宮城で記念イベントの開催や米の果たす役割の対外広告を広く行う。また、岩手でイベント時などに国際コメ年をアピールし、米消費拡大のきっかけにしたいとしているほか、秋田では毎年行っている種苗交換会で催し物を予定していくなど、各種行事に合わせて国際コメ年をPRしていく。
(日本農業新聞)

○4月8日(木) 地産地消へコメ・オーナー制 消費者が生産委託 宮城・仙台市と農業者連絡会が創設
 コメの「地産地消」を進めるため、仙台市は市認定農業者連絡会と連携してコメのオーナー制度を創設した。消費者が農家と契約を結び、農作業に参加しながら収穫したコメを受け取る。市は「生産者との交流を通じて、コメづくりへの関心を高めてほしい」(農政企画課)と応募を呼び掛けている。オーナー制度は市内の消費者が対象。認定農業者が耕作する水田五アールについて、市を介してオーナー契約を交わす。五月の田植えや十月の稲刈りを体験し、自らも手を掛けた「ひとめぼれ」を受け取る仕組みだ。費用は保管料や精米料を含め年間七万円(消費税込み)。収穫は平年作で二百十〜二百四十キロが見込まれ、冷害などで著しい不作となった場合も百八十キロは保証される。生産に当たる認定農業者は四人で、それぞれ青葉区大倉、宮城野区岡田、若林区荒浜、泉区根白石で稲作などに励んでいる。このうち若林区の二瓶さんは「消費者に地元のコメづくりを知ってもらうだけでなく、生産者も消費者ニーズに触れる双方向の交流にしたい。将来的には減農薬や天日乾燥などの要望にも応えられるようにしていきたい」と意欲的だ。オーナーの定員は二十五組。一組当たりの人数に制限はなく、友人同士や複数家族も可。希望者は各区役所などで配布している申込用紙に必要事項を記入の上、郵送またはファックスで申し込む。締め切りは二十日(必着)で、応募多数の場合は抽選となる。連絡先は仙台市農業企画課022(214)8266。
(河北新報)

○4月9日(金) 仕込みは「秋田酒こまち」 華やか、県産酒いかが 秋田市で試飲即売会
 県産の酒造好適米「秋田酒こまち」を使用した清酒の試飲即売会が八日、秋田市のアトリオンで始まった。十八日まで。県酒造組合の主催で、昨年に続いて二回目。県内各地の蔵元が、今冬仕込んだ大吟醸酒を中心に計二十九銘柄を出品している。会場には初日から多くの人が訪れ、数種類を試飲して気に入った銘柄を買い求めていた。県醸造試験場などが開発した大吟醸、純米大吟醸酒用の「こまち酵母」を使用した酒も多く、華やかな香りと上品な甘みが人気を集めていた。秋田酒こまちは同組合と県農業試験場、県醸造試験場が共同で開発したオリジナル品種。昨年春に初めて商品化された。同組合によると、今年は県内四十二の蔵元が八万本分(七百二十ミリリットル換算)を生産、販売する予定。開場時間は午前十時〜午後五時半。
(秋田魁新報)

○4月10日(土) 大豆在庫が最低水準 米農務省見通し
 米国農務省(USDA)は8日、2003/2004年度(03年9月〜04年8月)の4月1日現在の穀物需給見通しを発表した。トウモロコシの米国内の需要増加を見込み、期末在庫は2174万トンとなった。期末在庫率は8・27%で、0・47ポイント下げた。大豆の期末在庫は312万トンで期末在庫率は0・42ポイント下げの4・62%。1993年の359万トンを下回る、最低レベルの水準になっている。
(日本農業新聞)

○4月10日(土) 香りと味競う 南部杜氏の清酒鑑評会 岩手
 全国で活躍する南部杜氏(とうじ)が吟醸酒の出来栄えを競う「第86回南部杜氏自醸造酒鑑評会」が6日から4日間、石鳥谷町の南部杜氏会館で開かれた。鑑評会には、北海道から四国まで682点の吟醸酒が出品され「香りと味の調和」に重点を置き、審査された。8日、第2審が行われ、国税局の鑑定官や日本酒造協会などの専門家12人が第1審を通過した341点を審査。吟醸酒独特の持つ華やかな香りと米の持つ上品な優しい味の調和が審査の大切なポイントだという。審査委員長を務めた櫻井廣県工業技術センター醸造技術部長は「冷害の中、例年と違う米の癖があるにもかかわらず、吟醸酒の品格、香りがよく出ており、非常にいい酒に仕上がっている」と評価した。審査は、第1審から第2、3審へと続き、上位16銘柄が出そろう。同鑑評会は、南部杜氏の技術向上と発展を願い、1918(大正7)年から開かれている伝統の催し。
(日本農業新聞)


 
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○4月11日(日) 好天に恵まれ播種が最盛期 県内稲作いよいよ本番 秋田
 十日の県内は好天に恵まれ、水稲の播種作業が最盛期を迎えた。秋田市の農業嵯峨さん方でも、うららかな日差しの中、一家総出で作業が行われた。専用の機械を使い、種もみや土の補給、育苗箱の運搬など作業を分担。四ヘクタールに作付けする「あきたこまち」と「めんこいな」の合わせて百二十キロの種もみが、手際よくビニールハウスに並べられていった。種もみは一カ月ほどで草丈十五センチほどの苗に育ち、ハウス内は緑一色に染まる。嵯峨さんは「稲作はいよいよ本番。田植えはこれから三十五日後で、温度管理と水やりに神経を使う日が続く」と話していた。
(秋田魁新報)

○4月11日(日) は種作業スタート 岩手・紫波町の農家
 4月に入り、水稲のは種作業が各地で始まっている。昨年は大冷害だっただけに種もみの品質が懸念されていたが、どのもみも例年並みに発芽している。農家の人たちは「丈夫な苗になるでしょう」と安心した様子で話していた。紫波町土舘の土舘地区農業生産組合では9日、うるち米のあきたこまち、ひとめぼれのは種作業が行われた。種もみは塩水選別したあと約一カ月、水に浸して発芽させたもの。昨年のひとめぼれは平年に近い作柄だったが、あきたこまちは冷害をまともに受け白ふが各地で発生、品質が懸念されたがすべて芽を出していた。作業は同組合のは種プラントに苗箱を置き、ベルトコンベアで移動し下地の土を敷き、種もみがまかれると同時に消毒液が振りかけられ、覆土、これを組合員たちが次々と棚に積み上げて温室に運ばれていた。もち米のは種は13日と17日予定され、は種後に温室に3日間置いたあと、育苗ハウスで育てられる。例年はゴールデンウィークのころから田植えになるが、昨年の冷害で早めに植えた苗が冷害の被害を受けたことから今年は幾分遅らせて田植えするという。
(河北新報)

○4月12日(月) タンパク質含有量一般のコメの30パーセント 『春陽』奨励品種に 宮城県、種子供給から販売まで一貫支援へ
 県は、タンパク質の含有量がひとめぼれなど一般のコメの約30パーセントと極端に少ない低グルテリン米「春陽(しゅんよう)」を、二〇〇四年産米から奨励品種に指定した。タンパク摂取の制限を受ける患者らのニーズに応えた品種。県は〇五年度以降、種子の供給から流通、販売まで一貫して支援する方針。春陽は新潟県上越市の旧北陸農業試験場が開発し、〇一年十月に命名登録。体内で消化できる易消化性タンパク質「グルテリン」の含有量が一般品種の約三分の一と少ない一方、難消化性タンパク質「プロラミン」の含有量が高いという。一般のコメに比べ粒が大きいため、洗米によって表面のタンパク質を取り除くことで、さらに低タンパクになる。十アール当たりの収量は約六百キロで、ひとめぼれ(県平均五百二十三キロ)に比べ多収が見込める。〇三年に県内の十一ヘクタールで試験栽培され、収穫された春陽を販売した岩出山町の「米工房いわでやま」には、消費者から「甘みがある」など好意的な評価が寄せられているという。県内では今年、十一ヘクタール程度の作付けが予定されている。県農産園芸課の石垣政道課長は「将来は春陽を使ったレトルト食品を開発するなど、食べやすい形でしかも安く消費者に提供できるようにしたい」と話している。
(河北新報)

○4月14日(水) 晩生種作付け増加の見通し 田植え時期の分散も 宮城・JA栗っこ管内
 宮城県JA栗っこ管内では、水稲の種まき作業が順調に進んでいる。昨年の冷害を受けて、田植え時期が例年より分散し、平年と比べると一週間ほど遅い17、18日が種まきの終盤になる見込み。また、「コシヒカリ」などの晩生種の作付けが増える見通しだ。さらに、あぜ塗り作業が、例年以上に多いという。「あぜ塗りの重要性を認識している農業者が増えている」(同JA米穀課の菅原さん)。管内では、町独自にあぜ塗りの作業料金を一部助成する動きもある。同JAでは「売れるコメ作り」を目指して、「特徴ある米作り、環境に優しい米作り」を本格化させている。
(日本農業新聞)

○4月14日(水) 古代米酒 あすから販売開始 宮城・たじり古代稲生産組合
 宮城県田尻町の「たじり古代稲生産組合」と田尻小売酒販組合は15日から、2003年産のもち系黒米の「朝紫」を原料とした新酒「たじり古代のかほり」の販売を始める。加美町の田中酒造店が500ミリリットル500本、新発売の300ミリリットル800本を醸造。昨年よりやや薄めのロゼワイン色に仕上がった。日本酒度マイナス6と甘く、アルコール度数は14〜15%。15年産は冷害の影響で収量が前年産より3分の1も落ち込み、「原料の確保に懸命だった」(事務局)という。価格は500ミリリットル入り1本1575円、300ミリリットル入りは1050円。問い合わせは、たじり古代稲生産組合(事務局・澤口酒店の澤口健一さん)、(電)090(3366)5406。
(日本農業新聞)

○4月15日(水) コメ不作で高値集荷→年明け後急落 逆ザヤ販売 全農が苦悩
 コメを農家から集荷して卸会社に販売する全国農業協同組合連合会(全農)の各地区本部の多くが逆ザヤ販売に陥っている。二〇〇三年産の不作で農家に前渡しする仮渡し金を高めに設定して集荷を促したが、一時は急騰したコメ価格が年明け後に急落したためだ。独立系集荷業者との集荷競争が激しい千葉県の場合、コシヒカリの仮渡し金は六十キロ当たり二万二千円。このほかに運賃や検査料など約二千円も必要だが、三月の入札の落札平均値は一万九千円台(東京渡し)に下がった。岩手、秋田など東北の有力産地も二月以降は逆ザヤ銘柄が増えているもようだ。一方、新潟はブランド力を背景に「昨年末までの高値局面での販売を加味すれば通年での採算割れはなんとか避けられそうだ」とみている。制度上、農家と全農は委託販売の関係にあるが、いったん支払った仮渡し金を回収するのは事実上困難。ある県本部は「逆ザヤは十年前のコメ不足でも起きなかった。年末を挟んで市場環境がこれほど変わるのは異例」と頭を抱えている。
(日本経済新聞)

○4月16日(金) 援助米を一部販売 来月の政府米入札にも 農水省
 農水省は、国際農林業協力・交流協会(JAICAF)で保管していた国産の海外援助米35万トンを政府備蓄に回し、その一部を政府米として販売することを15日までに明らかにした。2003年産の不作で手当が相次いだ政府米在庫の不足感に対応する。同時に援助米と政府備蓄の双方で品質劣化した96年産全量と97年産の一部、合わせて34万トンを餌処理で古米の解消も進める。援助米のうち品質が安定している98年産米は早ければ5月の政府米入札から販売する。
(日本農業新聞)

○4月16日(金) 水稲種まきピーク 孫も手伝い家族総出 一関地方
 桜の開花宣言が9日に出された一関地方は、週末の土・日曜日に水稲の播種(はしゅ)作業がピークとなった。10日、一関市の小野寺さんは孫たちも手伝って家族総出で種まき作業を行った。今年、約2・5ヘクタールに「ひとめぼれ」を作付けする小野寺さんは「昨年のような冷害にならなければいいが。一粒でも多くうまい米を作りたい」と祈りを込めながら作業をしていた。
(日本農業新聞)

○4月16日(金) 減農薬天日米栽培方法学ぶ JAとおの
 JAとおのは12日、遠野市の同JA野菜産地管理センターで「減農薬天日米栽培研修会」を開いた。減農薬天日米は、天日干しのはせ掛けと、農薬使用を規制した減農薬栽培を組み合わせて生産する米で、毎年「減農薬天日米」と表示して販売。安心できる生産に加え、昔ながらの稲作りが好評で、人気商品になっている。遠野農業改良普及センターの根子義照改良普及員が、減農薬天日米であることの条件を示しながら、農薬の種類や使用基準、苗作りから田んぼの管理など一連の作業を指導。同JA営農指導課は、一般米と区分し全農安心システム(品質管理と生産履歴を追跡できる仕組み)の認証を受けた米として扱いたいと、登録の基となる栽培履歴記録簿の内容を解説した。今年度、同JAでは「売れる米づくり」に向け、全水稲生産者に堆肥(たいひ)使用と減農薬栽培を推進。その一方で、安全・安心栽培として付加価値の高い減農薬天日米の里づくりを目指し、栽培面積180ヘクタール、生産量700トンを目標に掲げた。
(日本農業新聞)

○4月16日(金) 「苗箱まかせ」普及拡大 質、収量均一で安定 青森・JA八甲田
 JA八甲田では「苗箱まかせ」の普及が急速に拡大している。「苗箱まかせ」は、本田への元肥と追肥の全量を、苗箱の床土に混ぜて行う施肥技術。苗を本田に移植後、コーティングした肥料の溶出が始まり、稲の生育に合った肥効が期待できる。特徴としては@本田での元肥、追肥作業が必要なく、労力が軽減できるA植え付けしながら施肥されるため、むらがなく作柄がそろうB生育に合った肥料の溶出で品質、収量の均一化、安定性が図られるなどが挙げられる。「苗箱まかせ」を導入している生産農家は、労力の軽減に加え、品質と収量の個人差の縮小を高く評価。今年産は、本格的な供給が始まった2000年に比べ、約6倍に当たる662人、全組合員およそ4割が導入した。
(日本農業新聞)

○4月16日(金) 早くも田植え 昨年より2日早く 秋田・琴丘町
 好天に恵まれた十五日、琴丘町鹿渡では早くも田植えを行う農家が現れた。能代山本地区で田植えが本格化するのは五月に入ってからだが、この農家は十年ほど前から早植えを実施。同地区では最も早い四月中旬から下旬にかけて田植えを行っている。今季は育苗も順調に進んだため昨年より二日早い田植えとなり、午前九時から家族らと四人で作業を開始。昼までに水田三十アールにあきたこまちを植え付けた。天候状況を見ながら計三ヘクタール余りに作付けするというこの農家は、「水管理などに万全を期して良質米生産に努めたい」と話していた。県水田総合利用課によると、十五日現在で、県内でほかに田植えが行われた報告はないという。
(秋田魁新報)

○4月17日(土) 栽培ごよみで育苗指導 宮城・JA栗っこ若柳支店
 JA栗っこ若柳支店では13日から16日まで、統一された栽培「栗っこマニュアル米栽培ごよみ」を基に稲の育苗指導会を行った。4日間に37カ所で開催、希望する農家には育苗ハウスを巡回しながら指導に当たった。若柳町八木地区での開催は14日。近隣の農家から17人が集まり、昼夜の温度管理と水管理、追肥時期や苗立枯病の防除方法など、育苗初期に必要な作業が説明された。
(日本農業新聞)

○4月18日(日)03年度産米集荷 過去最低の324万トン
 JA全中は17日までに、JAなど米出荷団体の2003年産計画流通米の最終集荷実績を明らかにした。前年産実績を109万トン(25%)下回る324万トンとなった。大凶作の1993年産でも400万トンは維持しており、過去最低を記録した。10年ぶりの不作による減収や、出来秋の相場高騰による計画外米への流通などの影響を色濃く受けた。計画米の集荷は3月で終了。JA全農と全集連の実績を取りまとめた。内訳は全農分が312万トン、全集連分が12万トンだった。計画流通米に計画外流通米の集荷57万トン(前年産比15万トン増)を加えた総集荷量は381万トン。03年産生産量の779万トンに対する集荷率は48・9%で、前年産より4・5ポイント落ちた。
(日本農業新聞)

○4月18日(日) 1等米比率前年下回る 03年産3月末現在
 東北農政局は17日までに、2003年産米(水稲うるち玄米)の3月末現在の検査結果を発表した。東北6県全体の1等米比率は79・4%で、前年同期を4・3ポイント下回った。検査数量は112万9226トンで、前年同期比75・6%だった。このうち計画出荷米は82万7195トンだった。各県の検査数量、等級比率は表の通り。品種別の1等米比率は、青森「つがるロマン」72%、岩手「ひとめぼれ」94%、宮城「ひとめぼれ」67%、秋田「あきたこまち」85%、山形「はえぬき」89%、福島「コシヒカリ」91%。

2003年産米3月末日現在の検査状況
 検査数量1等前年同期比2等3等
青森101,49453.8−25.430.99.0
岩手115,60886.4−3.210.12.6
宮城144,57759.6−24.833.95.0
秋田337,24385.25.912.11.6
山形243,51486.11.111.71.2
福島186,78985.2−2.112.31.6
(水稲うるち玄米、単位:t、%)
(日本農業新聞)


 
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○4月21日(水) 高圧で種もみ消毒 特許所得、実用化めざす 三重県科技振興センター
 三重県科学技術振興センター農業研究部は20日までに、種もみに高い圧力を加えることで、微生物を殺菌する手法を開発し、特許を取得したことを発表した。産業委技術総合研究所と富士電気リテイルシステムズが共同研究、1月30日付けで特許を取得した。稲ばか苗病の原因菌であるフザリウム菌を移植した種もみを、200ミリリットルの加圧容器に封入し、200メガパスカル(2000気圧)の高圧力を15分間かけたところ、同病の発生はなかった。種もみの発芽率にも影響はなかった。加圧容器内のすべての種子に均等に圧力がかかるため、確実で均一な殺菌ができる。化学合成農薬に頼らない環境負担が小さい種子消毒方法。実用化には、大量の種もみを処理する大型装置の開発が課題だ。三重県がこれまでに取得した病害虫防除方法の特許には、オゾンで培養液中の病原菌を殺菌・再利用する手法がある。
(日本農業新聞)

○4月21日(水) 農作物に影響じわり 異常な"暑い春" 果樹や水稲苗、生育早まる
 全国的に気温の高い状態が続いている。今月7〜13日には東日本で平年を3度以上も上回り、「30年に一度あるかどうかの異常高温」(気象庁)を記録した。この高温で、農作物の生育や農作業に影響が出たり、自然界のリズムに変調を来したりしている。20日は静岡で日中の最高気温が31度の真夏日を記録。各地で夏日を観測した。この状況はしばらく続く見通しだ。同庁によると、2月以降の気温は全国的に高め。今月に入ってからも高気圧に覆われる日が多い。この影響で施設内が異常高温になる例も。宮城県のJAみやぎ仙南によると、角田市ではビニールハウス内が50度以上になることが多く、「高温障害で水稲の苗が焼け、新たに種まきをする農家もある」。高温の影響は野生の生き物にも表れている(表参照)。同庁の観測によると、桜の開花は九州と太平洋側の一部を除き、全国的にかなり早い。宮古(岩手県)では、平年より11日早い14日に満開を迎えた。ウグイスの初鳴きやツバメの初見も各地で、例年より早まって観測されている。

生き物の季節観測状況
 地点観測日(平年比)
ウグイス 初鳴き秋田4月8日(6日早い)
青森4月10日(14日早い)
酒田(山形)4月14日(6日早い)
ツバメ 初見長野4月8日(3日早い)
青森4月10日(14日早い)
江差(北海道)4月14日(5日早い)
桜 満開新潟4月6日(7日早い)
仙台4月10日(8日早い)
山形4月13日(8日早い)
宮古(岩手)4月14日(11日早い)
(気象庁調べ)

(日本農業新聞)

○4月21日(水) 環境保全型農業学ぶ 米・水・人フォーラム 宮城・松山町活黹m蔵
 「環境保全型農業ってどんなこと?」とテーマに、第2回松山町の米・水・人フォーラムが17日、勝山町の活黹m蔵本社蔵で町内外からの一般参加者ら60人を集め開かれた。フォーラムでは、環境保全型農業で、酒造好適米作りに取り組む松山町酒米研究所の活動などを話題に、あるべき方向性を探り討議をした。コーディネーターは、一ノ蔵の浅沼栄二参事。パネリストは、環境保全米ネットワークの本田強理事長、松山町酒米研究会の小原勉会長、古川農業試験場の小山淳主任研究員、清水弘文堂書房取締役のあん・まくどなるどさん、一ノ蔵の桜井武寛社長の5人。松山町酒米研究会の小原会長は、冷害下の米作りの実績を報告するとともに、環境に優しい米作りの実績を紹介。古川農業試験場の小山研究員は、田んぼの生き物たちを生かした米作りを紹介した。環境保全米ネットワークの本田理事長は、「赤トンボ、カエルがいる田んぼ」が宣伝の場所になる時代到来を示唆、環境保全型農業の重要性を強調した。
(日本農業新聞)

○4月21日(水) あぜ塗り作業が最盛 青森・十和田市
 十和田市の水田であぜ塗り作業が盛んになっている。あぜ塗りは、ネズミ穴や雪解けなどで傷んだあぜを塗り固める作業。昨年、冷害に襲われ、全国最悪の作況「14」となった同市では、低温から水稲を守るため、深水管理にして対処した。「しっかりとしたあぜを作らなければ、低温になったとき、稲に有効な深水にできない。」5月中の田植えに向けて、ほ場の準備を進める。
(日本農業新聞)

○4月21日(水) 「大蕨の棚田」で交流を 30日までオーナー募集 山形県山辺町
 日本の棚田百選に選ばれた山形県山辺町で「大蕨の棚田」オーナーを募集している。オーナーは、田植えや稲刈りを体験、地元農家と交流しながら景観保全に協力してもらう「体験コース」と、棚田を守り景観保全を地元民に委託する「トラストコース」の2本立て。「体験コース」は10アールの田んぼを10人で田植え、稲刈り、くい掛けを共同作業。収穫の米は10人で分け合う。年会費3万円。餅(もち)つきなど3回のイベント参加費は無料。「トラストコース」は、年会費2万5000円、くい掛けによる自然乾燥米30キロが贈られる。棚田には、オーナーの名前入り看板が立てられる。大蕨の棚田は約6ヘクタール。地元の棚田オーナー制度推進委員会が、良食味として知られる伝統の米「さわのはな」を栽培する。申し込みは30日まで。問い合わせは山辺町役場中支所内、棚田オーナー制度推進委員会、(電)023(666)2113。
(日本農業新聞)

○4月22日(木) 水稲育苗最盛迎える 宮城・JA名取岩沼育苗センター
 兼業化の進む中、健苗を組合員に供給しようと、JA名取市、岩沼市の2地区の育苗センターでの作業が最盛期を迎えている。名取市・岩沼市の両市にまたがる同JAは、名取市の育苗センターで1万2000箱、岩沼市の育苗センターで9000箱、合わせて4種類(ひとめぼれ・ササニシキ・たきたて・みやこがねもち)、計約2万1000箱の苗を用意する。種まきは、管内の水温・気候などを勘案して、田植え適期に苗を提供できるように、1日単位で作業スケジュールを組んでいる。
(日本農業新聞)

○4月23日(金) 異常気象 暑い!各地で30度越す 寒い?あすは晩霜注意
 東・西日本を中心に真夏のような暑さとなった22日、各地で4月の最高気温記録が更新された。気象庁によると全国の地方気象台で30度を超えたのは、甲府(33・1度)、埼玉県・秩父(33度)など19地点。日本海側では、フェーン現象で、福井(31・1度)、兵庫県・豊岡(32・2度)、京都府・舞鶴(32・6度)、鳥取(31・7度)と、4月の最高気温を更新した。このほか東京(28・4度)、名古屋(30・3度)、高松(29・9度)、福岡(29・9度)などで記録を更新。気象庁は「4月としては異例の高温」(同庁気候情報課)としている。これはフィリピン沖の海面水温が高いためで、同庁は「停滞している日本海低気圧に、フィリピン沖から暖かい南風が吹き込み、東・西日本で高温となった」としている。この高温傾向は23日までで、全国的に24日未明から数日間にわたり寒気が入るため、同庁は農作物の管理に注意を呼び掛けている。
(日本農業新聞)

○4月23日(金) 全国的に寒気
 気象庁は22日、「全国的に24日から数日間にわたり寒気が入る」とし、急激な温度変化による農作物の管理に注意を呼び掛けた。北・東日本の山間部では雪が降るほか、全国的に晩霜の恐れがある。仙台管区気象台は22日、低温に関する気象情報を発表した。東北地方で24日霜が降りる恐れがある。
(日本農業新聞)

○4月23日(金) 温度管理をしっかり 175会場で水稲相談会 JAいわて南
 作って売れる安全・安心な米作りに取り組むJAいわて南の第2回あぜみち相談会が20日から、管内175会場で始まった。指導した同JAの吉野孝亮農産課長は「好天が続きハウス内温度が上昇し苗焼けの報告もある。お茶飲みに出かける前に十分な水掛けとハウスビニールを開放し、くれぐれもハウスの温度管理をしっかりするように」と注意を促した。さらに日中暖かくても夜間冷え込むなど寒気の変動が大きい時期でもあることから「適正管理で健苗を育て、減農薬、特別栽培米生産につなげること」などを説明。また、昨年のもみ殻やわらは「いもち病」を持っているのでハウス内に置かないなどいもち病対策も今のうちから心掛けようと呼び掛けた。
(日本農業新聞)

○4月24日(土) 第12回米入札 2・3%安も全量落札
 全国米穀取引・価格形成センターは23日、2003年産米の第12回入札取引を行った。58銘柄、5万7000トンが上場、全量落札された。全銘柄の落札平均価格は前回比2・3%安(450円安)の1万8738円で、03年産米の最安値を更新。前年に比べると、12・6%高い水準だが、年明け以降、4カ月連続の値下がりとなった。人気銘柄の新潟・一般「コシヒカリ」は、0・9%高の2万1209円。秋田「あきたこまち」は2・1%安の1万8627円などとなった。新潟・魚沼「コシヒカリ」は3万2406円で、高値敬遠から全銘柄中、最大の下げ幅の7・6%安となった。今回から売買参加資格などが緩和され、新規業者約30社が応札に加わったが、相場への影響は少なかった。
(日本農業新聞)

○4月24日(土) 04年産各県の水稲作付け動向 市場重視の米作り進む 気候変動に弱い品種減少
 2004年産の東北各県の水稲作付けは、各県を代表する銘柄品種が増えそうだ。昨年の冷害を受けて気候変動に弱い品種が減少する一方、市場性を重視した米作りが求められる米政策改革の本格化を受けて、良食味で売れ行きの良い品種への切り替えが進む。青森県は、種子供給量が前年比5割増の「つがるロマン」「ゆめあかり」が増え、「むつほまれ」は減る見込み。岩手県は、県全体の種子更新率は昨年まで80%台だったが、今年は一気に90%台後半に達する勢い。「ひとめぼれ」が県南で、「いわてっこ」は県北でそれぞれ増える。秋田県は、「あきたこまち」の種子供給量が前年比9%増える。「めんこいな」は2割以上減る見込み。宮城県は、「ひとめぼれ」が増えそうだ。「ササニシキ」「まなむすめ」は減る。山形県は、主力の、「はえぬき」が増える。「あきたこまち」からの切り替えもありそう。「コシヒカリ」が若干増える。福島県は、「コシヒカリ」が増える。品種が集約され、上位4品種で全体の9割以上を占める見込み。

水稲主力品種の2004年産推定作付面積
県名品種名種子供給量作付面積
2004年産(s)前年比(%)2003年産(ha)(参考)2004年産(ha)
青森つがるロマン1,046,40014919,74126,160
ゆめあかり658,56015112,28716,464
むつほまれ138,8003311,1433,470
岩手ひとめぼれ1,197,50011430,70233,500
あきたこまち510,70011114,25714,500
いわてっこ138,7001412,2643,850
秋田あきたこまち2,469,14010971,41672,197
ひとめぼれ295,4401126,2466,553
めんこいな166,920746,1494,636
宮城ひとめぼれ2,080,96012655,65059,400
ササニシキ335,4808311,06511,100
まなむすめ81,720643,2482,700
山形はえぬき1,760,70010240,80044,017
あきたこまち250,7401086,6267,835
ひとめぼれ302,5601076,5037,564
福島コシヒカリ1,548,28010443,40745,537
ひとめぼれ753,60010717,01620,933
あきたこまち116,9401681,8643,439
資料:2003年産作付面積は農水省調査
注@:2004年産作付面積は東北支所が計算した(一部関係機関が推定)
注A:宮城に「ササニシキ」はBL含む
(日本農業新聞)

○4月24日(土) 特栽の作付け拡大 山形米アピール強化も 山形・安心米推進運動本部
 やまがたこだわり安心米推進運動本部は22日、山形市の自治会館で2004年度総会を開いた。金森義弘本部長が「米政策改革大網の実施で、米の生産調整は、栽培面積から販売量に転換。売れる米作りを進めなければならない」と決意を表明。04年度の事業計画では食味コンクールで山形「はえぬき」が、10年連続特Aに輝いた実績を柱に、「安全・安心米戦略」として栽培履歴の記帳と情報公開と減農薬栽培ポスター、ちらし、のぼりの作成と配布。「おいしい米づくり」ではトップブランド米モデル産地13カ所の育成とカメムシ防除対策の強化。「省力と低コスト米」では直まき栽培の普及拡大による複合経営の推進と直まきグループの組織化。「消費者への理解を求める食農教育」としてはモデル学校の設置で児童の田植え指導など決めた。
(日本農業新聞)

○4月24日(土) 北日本、北陸に寒気団
 気象庁は23日、北日本や北陸地方を中心に24日から25日にかけて真冬並みの強い寒気が南下するとの気象情報を発表した。24日にかけて落雷や突風、ひょうの恐れがあり、25日には北日本の山沿いを中心に雪が降る所もある。同庁予報課は「特に25日朝は北・東日本の広い範囲で冷え込み、晩霜の恐れがある」として、農作物の管理を徹底するよう警告している。
(日本農業新聞)

○4月27日(火) 健苗作り徹底呼び掛け 宮城・仙台
 丈夫な稲づくりは健苗作りから。JA仙台は育苗現地講習会を管内各地で開き、健苗作りの徹底を呼び掛けている。硬化期の育苗管理についてハウス内の目標温度の、昼夜20〜25度、夜間は10度以上を保つための工夫などについて意見交換。日差しの強い日は換気を十分に行い高温障害を避けることや、ハウス内の温度計を見ながら「ハウスの温度計は苗の高さ(地表近く)に設置を」と呼び掛けた。水管理では、「かん水する時は温度の上がらない朝のうちに」とし、根の張りを良くするためには「過湿を避け、土地の表面が乾いてきてからかん水する」ことなどを確認。根張りがよく活着の良い充実した苗作りを強調した。また、冷害に見舞われた昨年の経験を踏まえ、田植えの適期幅を広げ、危険分散への協力も呼び掛けている。
(日本農業新聞)

○4月27日(火) 新型播種機で効率的に 山形
 JA山形市育苗センターは24日から、利用申込者へ緑化苗の引き渡しを始めた。今年は80人から「はえぬき」「コシヒカリ」「ササニシキ」「ヒメノモチ」の4品種約1万400箱の申し込みがあり、3月17日から育苗箱の消毒、種もみの塩水選などの準備をし、4月16日から播種(はしゅ)した。これまで30年使用した播種機を更新したため、作業効率が上がるとともに、種子量や庄土、覆土の量が従来よりも大幅に少なくて済んだ。利用者は苗を引き取った後、各自のハウスで5月中旬から田植えに向けて硬化作業に入る。
(日本農業新聞)

○4月27日(火) 管内62カ所で現地講習会 青森・十和田市
 JA十和田市は22、23の両日、管内62カ所で水稲育苗現地講習会を開き、生産者が健苗作りのポイントなどを確認した。同地区の種もみ播種(はしゅ)作業は4月初旬に行われ、生産者の育苗ビニールハウス内の苗は2、3葉期に到達している。同JAの工藤惣史稲作指導担当は「ハウス内の温度は日中25度以下、夜間は5度以上を確保するように。散水は朝方にたっぷりかん水し、水不足による葉先が丸くなる症状が現れたら適期かん水を」と強調。直前の管理方法として「ハウスの側面は日中、全開にして外気に慣らし、丈夫な苗に育てる」など、冷夏に負けない健苗作りのポイントを呼び掛けた。同地区の田植え作業は5月初旬から始まる予定。
(日本農業新聞)

○4月28日(水) 早くも田植え始まる 青森県十和田市
 田植え作業が26日、青森県南地方のトップを切って、十和田市相坂地区で始まった。筧輪博康さんは、乗用田植え機を使用して、妻のトシさんと約20アールの水田で田植え作業に励んでいた。この日、植え付けられた「つがるロマン」の苗は、3月27日に播種(はしゅ)し、ビニールハウスで育てたもの。3葉期。圃場(ほじょう)は、2日前に植え代を仕上げた。筧輪さんは「苗の生育はまあまあ。田んぼへの入水時間などを考慮しながら水管理し、適期追肥を行って味のいい米を作っていきたい。目標収量は600キロ(10アール当たり収量)」と意気込む。筧輪さんの田植え作業は、天候を見て行われ、5月上旬まで続く。
(日本農業新聞)

○4月28日(水) 低温対策確実に 秋田県大潟村
 田植えを前に大潟村では22〜30日にかけて、水稲研究会や青年部などが次々と育苗講習会を開き、苗の生育状況や今後の管理などについて確認を行っている。参加者はJAの営農指導員や研究会の仲間とともに育苗ハウスを巡回し、それぞれの苗を比較しながら意見を交換。昼夜を通して温暖だった今月中旬に比べ、ここ数日は夜間の冷え込みが激しく、苗の生育にも多少影響が出ているとのこと。このまま低温が続けば病気の発生も心配されるため、今後のハウス管理は天候を見ながらきめ細かな作業が必要だ。気象の影響を受けやすい苗だけに、その微妙な変化を見逃さないよう、参加者はみな熱心に苗を見つめ、指導員の言葉に聞き入っていた。
(日本農業新聞)

○4月28日(水) 水稲のムレ苗に注意 秋田県防除所が病害虫発生予報
 県病害虫防除所は二十七日、農作物病害虫発生予報の第二号を発表した。四月下旬の低温により、水稲のムレ苗などに注意するよう呼び掛けている。苗立ち枯れ病は平年よりやや多い見込み。苗いもちは平年並みと予想されており、育苗ハウスの温度管理や薬剤防除を行う。アカヒゲホソミドリカスミカメのふ化幼虫が十六日に初確認されているので、除草対策に努める。
(秋田魁新報)

○4月29日(木) 04年産大豆 作付面積15万ヘクタールに
 大豆の需給・価格情報に関する委員会は28日、2004年産大豆の作付面積が03年産に比べ200ヘクタールほど少ない15万ヘクタール、予想収量が前年比1割増の26万トンになるとの生産予想を発表した。一部地域で、水稲への移行があるため大豆の面積に影響が出たとみられる。JA全農・全集連の集荷量は17万4000トンを見込む。用途別では豆腐用が13万2000トンで、3000トンほど少なくなるが、納豆や煮豆用はそれぞれ1万1000トン、1万7000トンで、ほぼ前年数量を確保する。みそ、しょうゆ、豆乳などのその他用途は1万4000トンとした。銘柄別では北海道の「とよまさり」など一部銘柄で集荷・販売予定数量が減っているが、ほぼ業者の了解を得られた。03年産の取引状況は、3月末で前年比140%の11万6000トンを販売。残りは3万トンほどになった。入札取引では夏までに月々5000トン程度を販売していく。3月の平均落札価格は60キロ1万2000円を超えており、高騰が続いている。
(日本農業新聞)

○4月29日(木) 適期田植えを励行 ちらしで呼び掛け 宮城・石巻地域
 石巻地域米づくり推進本部は27日、石巻合同庁舎で開かれた石巻地域農政担当課長会議で、2004年度の米作り推進の基本方針などを説明、関係者への趣旨徹底を行った。また、当面の対策として田植え適期の再確認へ「適期田植えを励行しましょう!」と題したちらしを作成し、JAや関係機関を通じ農家への周知を図っている。ちらしでは、田植えは苗が十分活着できる気温になってからとし、田植えの早限(早植えの限界)では、稚苗で5月4〜7日ごろ(13度出現初日)、中苗で5月12〜15日ごろ(14度出現初日)としている。限界を超えた「早植え」は、活着時の低温による植え傷みの発生や、逆に生育が早まった場合には、穂ばらみ期に低温に遭遇し、冷害の被害を受ける確立が高まるとし、十分な留意を呼び掛けている。石巻地域の米作り重点推進事項は、@「気象変動に強い稲作」の推進A「売れる米づくり」の推進B「安全・安心な米づくり」の推進など4項目となっている。
(日本農業新聞)

○4月29日(木) 消費者招いて水稲育苗講習 宮城・JAみどりのと生協
 JAみどりの田尻町井産直委員会とみやぎ生協は、24日、仙台市の生協ウィズでみやぎ生協のメンバーと「わが家の味噌(みそ)作り体験」の1回目として水稲育苗の栽培講習会を行った。農作業体験を通じて、消費者と生産者との相互理解や、食への知識を深めることを目的として行われているもの。当日は、育苗箱を使って「ひとめぼれ」の種まきを実演。参加者はその様子を注意深く観察した。参加者は育苗箱と培土、種もみを持ち帰り、各家庭で育苗を実施。その苗を5月22日、田尻町で行われる田植え体験に持参し、品評会の後、田植えを行う予定だ。今後は、12月に行う味噌作り体験を目指して、7回にわたり、その原材料となる大豆や米をはじめとする農作物の栽培を体験。それを通じ、安全で安心できる同JA産農産物の信頼獲得に向け、生消一体となり取り組みを展開する。
(日本農業新聞)

○4月30日(金) 原料の大豆高騰 豆腐、納豆悲鳴=@業者、価格設定で板挟み 秋田
 十五年産大豆が昨年の冷夏による不作のために高騰し、豆腐や納豆などの県内食品加工メーカーが頭を痛めている。国産全銘柄の入札価格(今年三月の一カ月平均)は前年の三倍にアップし、県産大豆の主力である「リュウホウ」も前年の二倍以上の高値が続く。大豆の国際市況も北米の干ばつの影響で、二倍に跳ね上がる始末。価格競争の激しさから、メーカーが原価上昇分を商品価格に転嫁するのも容易でないなど、厳しい状況に見舞われている。納品価格の値上げを小売店に申し出ると、契約を打ち切られるといったケースが後を絶たないという。逆に、現行価格で納品すると、原料費の値上がり分が利益を圧迫するため、価格の設定で板挟みになっているのが実情だ。県産リュウホウは、二月入札で八千九百六十円(六十キロ当たり)と、前年に比べて四千七百七十五円高い。県外大手メーカーから輸入大豆を使用した一丁四十〜五十円の豆腐が出回る中で、県産リュウホウを100%使った一丁百円前後の「秋田地豆とうふ・りゅうほうもめん」は、安全と品質の高さで好評を得ていただけに、県内業界の痛手は大きい。県産リュウホウが手に入らず、製造を止めているメーカーが少なくない。一方、納豆製造大手のヤマダフーズ(仙南村)は、五月にも一部商品の値上げに踏み切る構え。同社が十四年に原料として買い入れた大豆は、国産と輸入を合わせて八千トン。このうち、県産リュウホウが三千トンを占めていたが、十五年産は県産を二百二十トンにまで大幅に減らし、多くは国産の半値程度のカナダ産に切り替えた。県内の味噌(みそ)・醤油(しょうゆ)業界では、中国産大豆を使用しているメーカーが多い。中国産の値上がり幅は前年の二割程度だが、世界的な品薄感からさらに高騰するとの見方も出ている。
(秋田魁新報)

 
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