水稲冷害研究チーム
2004年東北稲作動向
本情報は新聞記事等から得られる東北地域の稲作概況をお知らせするものです.
稲作の動向と冷害関連記事に注目して,概況を追跡します.
なお,記事の収集については東北農業研究センター情報資料課児玉課長さんにご協力をいただいています.
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○6月1日(火) 今年ももち苗を手植え 青森県十和田市甲東中生徒ら
十和田市甲東中学校のPTA組織、学田委員会が主催した田植え体験がこのほど、同校の学校田で行われ、生徒と教員ら約50人が、水田8アールにもち米の「あねこもち」の苗を手植えした。同委員会では、手植えによる昔ながらの田植えを体験してほしいと生徒から参加希望を募り毎年、開いている。今後は、生徒たちが収穫まで生育観察や除草作業などを行い、出来秋には、「文化祭」で、しるこにして全校生徒で味わうことにしている。
(日本農業新聞)
○6月1日(火) 農業体験で田植えに挑戦 青森県五所川原市東小の全校児童
「食と農業体験学習」の一環として、五所川原市立東小学校の全校児童50人は5月25日、大阪隆典さんの正殿で田植えを行った。指導に当たった金谷勝さんから、苗の植え方の説明を受けた児童らは、はだしで水田に入り、泥まみれになりながらも、丁寧に田植えをした。このうち、5年生10人は実際に田植機にまたがり、緊張した面持ちで約15アールの水田に「つがるロマン」もち米の「アネコモチ」の苗を植え付けた。秋には稲刈り体験をし、11月に「アフリカに米と文房具を贈る式」と収穫感謝祭(もちつき会)を行う予定。
(日本農業新聞)
○6月2日(水) 地産こまちで「おらどの酒」 1日から販売開始 秋田・JAかづの
JAかづの青年部の花輪支部と尾去沢支部が企画した、鹿角「あきたこまち」原料の、オリジナル日本酒「おらどの酒」の販売を1日から始めた。Aコープかづの店や市内の酒店で購入できる。同青年部では、2001年度の総会で自分たちの育てた米での酒造りが企画され、JAも協力し02年から地元の酒造会社で製造が始まった。会員らが収穫した「あきたこまち」約1トンを「かづの銘酒」の協力で、約1800リットル仕込んだ。5月に開かれた試飲会では、さわやか生酒編・原酒タイプと、まろやか純米編・淡麗タイプの2種類が振る舞われ、好評を得た。価格は、原酒・純米酒とも1・8リットルが1800円、720ミリリットルが900円。地方発送も受け付ける(送料別)。問い合わせはかづの銘酒、(電話)0186(23)2053。
(日本農業新聞)
○6月2日(水) 気象異変?夏へかけ足 早い梅雨 真夏日も
異例の天気が続いている。気象庁によると九州北部、四国、中国地方の梅雨入りは5月下旬で、平年より約1週間も早かった。東・西日本の各地では4月に真夏日を記録するなど、ちょっとした気象異変だ。同庁予報課は「全国的に季節の進み具合が早い傾向にある」と話している。九州、四国、中国地方が梅雨入りしたのは29日。九州南部を除き、昨年に比べると10日も早い。5月の梅雨入りは1951年の統計開始以来、10回前後しかなく、同庁は「かなり早い梅雨入り」と分析している。近畿以東の梅雨入りは、来週以降。同庁では1日、関東甲信越も梅雨入りしたとみる動きがあったが、2日以降には天気が回復するとの判断から、結局、見送った。同庁の牧原康隆予報官は「北半球上空の気温が平年より早く上昇しているため、真夏のようになったり、梅雨入りが早まったりした」と説明する。
(日本農業新聞)
○6月2日(水) 3〜5月高温多雨に 各地で記録更新
気象庁は1日、春(3〜5月)の天候を発表した。寒気の影響が少なく移動性高気圧に覆われる日が多かったため、平均気温が全国で高くなった。降水量は太平洋側の一部と南西諸島を除き、広い範囲で平年を上回った。平均気温は、東・西日本を中心に平年を1度以上上回ったところが多い。近畿から中国・四国にかけては、平年を1・5度以上上回ったところがある。降水量は、北陸や中国地方などで平年比140%以上となった。酒田(山形)、金沢、広島は3カ月間の記録を更新。逆に室蘭と大島(東京)は、記録を取り始めてから最も雨が少なかった。日照時間は北日本で平年を下回ったが、東日本以西は平年を上回った。岡山は日照時間の最大値を更新した。
(日本農業新聞)
○6月2日(水) 全国的に高温 5月の天気
気象庁は1日、5月の天候を発表した。低気圧が日本付近を通過することが多く、各地で記録的な降水量を観測した一方、太平洋高気圧の張り出しが平年より強く全国的に高温となった。羽幌(北海道)、米子(鳥取)、大分では5月の平均気温の最高記録を更新した。平均気温は、ほぼ全国で平年を上回った。北海道や東・西日本の一部では平年より2度以上高かった。価格地で真夏日を記録するなど、5月としては記録的な暑さとなった。降水量は太平洋側の一部と南西諸島を除き、平年を上回った。前線の影響などで、北日本から西日本の日本海側を中心に平年比170%以上の雨量を観測。広島(266%)など、東北から中国地方の15地点で5月の最高記録を更新した。日照時間は平年を下回った地域が相次いだ。北日本から西日本にかけて平年の80%以下になったところが多く、大船渡(岩手)、新庄(山形)、椎型、輪島(石川)では5月の最低を記録した。
(日本農業新聞)
○6月3日(木) 転作大豆の植え付けピーク 青森県倉石村の4営農組合
倉石村内の四つの営農組合では、転作用大豆の播種(はしゅ)作業がピークを迎えている。このうち、中市営農組合では、種まきと施肥を同時に行う播種機を取り付けたトラクターや、除草剤を散布するブームスプレアーに乗ったオペレーター7人が、大規模耕作を実施。向平鉄雄組合長は「休耕田をそのままにしておくと、水田に戻すことは容易ではない。水田として再生できるような状態にして置くためにも、転作大豆の植え付けが大切。今年は10アール収量2俵を目指している」と話す。同組合では、先月26日から作業を開始。品種「オオスズ」を28ヘクタール植え付け、除草や収穫などの作業を請け負う。村内4営農組合では、約50ヘクタールの休耕田で大豆の植え付け作業を行い、4日ごろまで続く予定。
(日本農業新聞)
○6月5日(土) きょう芒種 大麦 黄金に染まる 福島・原町
五日は麦を刈り稲を植える季節とされる二十四節季の一つ「芒種(ぼうしゅ)」。原町市では大麦が黄金色に染まり間もなく刈り取りが始まる。市内の北萱浜受託組合が海に近い約四十ヘクタールの畑で大麦と小麦を栽培。昨年十月に種をまいた大麦「シュンライ」と小麦「きぬあずま」は、太陽の光を浴びて色づき、水田の緑とのコントラストを描き出している。JAそうま営農センターの安川一弘さんによると、今年の出来は平年並みという。
(福島民報)
○6月8日(火) アイガモ30羽水田に放鳥 岩手・衣川村の営農改善会
衣川村の「西の窪営農改善会」はこのほど、佐藤太吉さんの水田にアイガモ30羽を放した。今年は100アールの水田に150羽の放鳥を予定している。西の窪営農改善会は30戸で構成、受益面積31ヘクタールの中山間地域等直接支払制度の活用を検討し、アイガモ栽培米、共同育苗、EM菌(有機微生物群)、農業用無人ヘリ、作業受委託と幅広い取り組みで効果を挙げている。佐藤さんは水田170アールを営農。アイガモの効果に着目し、5年前から除草剤などの農薬を使わない米作りを実践している。ひなは茨城県の業者から購入。「始めは鳥獣や野犬の被害、飼育のミスなどで目の前で死なすこともあり、徹夜で見守ることもあった」と振り返る。アイガモの育てた米として県内外に送る予定。「除草剤を使わないので安全で安心できる米が作れ、地域の環境も良くなる」と期待している。
(日本農業新聞)
○6月8日(火) 東北、北陸も梅雨入り
気象庁は7日、東北と北陸で梅雨入りしたと発表した。梅雨のない北海道を除き、全国で梅雨入りしたことになる。東北地方は平年より5日早い。北陸地方は平年より3日早い。昨年と比べるといずれの地方も5日早い。同庁によると、前線の停滞の影響で、ぐずついた天気は北海道を除き、全国的に1週間程度続く見込み。
(日本農業新聞)
○6月9日(水) 4麦400ヘクタール減 東北・04年産
東北農政局は8日までに、東北地方における2004年産の麦類などの作付面積を公表した。4麦(小麦、二条大麦、裸麦)の作付面積は1500ヘクタールで、前年に比べて400ヘクタール(3・4%)減少した。小麦は前年並みの9630ヘクタール。3170ヘクタールだった1996年以降、前年実績を毎年上回って増えてきたが、04年は岩手、宮城、山形で大豆、牧草などへの作付け転作があり、東北地方では前年並みの作付けとなった。農政局は「宮城などで大豆の高品質栽培が本格化し、小麦などが減少傾向にある」とみる。六条大麦は1900ヘクタールで、前年に比べ350ヘクタール(15・6%)減少した。エン麦は4490ヘクタールで、同890ヘクタール(16・5%)減少。秋田で圃場(ほじょう)整備が終了し、地力増進作物のエン麦から大豆、小麦などへの作付け転換などがあった。ライ麦は985ヘクタールで、同182ヘクタール(15・6%)減少した。
(日本農業新聞)
○6月10日(木) 米のカドミ対策で消費者 「より厳しい水準に」 意見交換会
農水省、厚労省などは9日、農産物のカドミウム対策について消費者らと意見交換をした。国側は「米のカドミウムをへらす技術的な努力が可能なのは0・4ppm以上」と従来通りの主張を強調。これに対し消費者からは「技術的に難しい面があっても、0・2ppmを目標に対策をとるべきだ」と厳しい対応を求める意見が相次いだ。意見交換会は2回目。消費者や行政関係者、食品メーカー関係者ら約70人が参加した。農水省は、3月にコーデックス委員会の専門部会で米のカドミウムの基準値として日本が主張していた0・4ppmが採用されたことを報告。根拠となった国内のリスク評価の結果を説明した。農業環境技術研究所の小野信一・重金属研究グループ長は米のカドミウムの現状について、「仮に国内の基準値が0・2ppmになれば、5万ヘクタールの水田が引っかかる。今の技術ではとても対応できない」と説明。0・4ppmが基準値として妥当だと強調した。日本生活協同組合連合会の原英二さんは技術的に限界がある現状に一定の理解を示したが、「できるだけ早く0・2ppmを実現できるように対策を立てるべきだ」と要求した。
(日本農業新聞)
○6月10日(木) 水稲の生育順調 青森県が一斉調査
県は十日、県内の十四地域農業普及センターで一斉に今年一回目の水稲生育調査を行った。県内は昨年、夏場の低温と日照不足の影響で記録的冷害に見舞われたが、今年は田植え後、各地で比較的好天が続いており、今のところ生育は順調に推移している。三沢市の生育観測圃(ほ)では、三沢地域農改センターの職員がゆめあかり、むつほまれを調査した。成苗植えのゆめあかりで草丈約二十八センチ、茎数十〜十一本、葉数七・二枚で例年より生育が進んでいることが確認された。同センターの対馬勝所長は「田植え後、天候が良く生育は順調」と話し「今後は天気予報をみて水管理に努めてほしい。また、補植用の取り置き苗は、葉いもち病の発生源になりやすいので早めに処分してほしい。」と注意を呼び掛けていた。県は十一日にも調査結果を取りまとめる。
(東奥日報)
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○6月11日(金) 一週間先"気温ズバリ" やませ予測システム開発へ
独立行政法人・東北農業研究センターは10日、「やませ予測回避システム」の開発研究を今年からスタートさせると発表した。同システムは気象庁の気象予報数値データを使い、1週間先の気温分布マップがホームページ上で見られるもので、水稲の深水管理に素早く対応できる。3年後の情報発信を目指す。東北地方の太平洋側の農家は、夏場の冷たい風「やませ」による低温障害に悩まされてきた。特に水稲の穂ばらみ期は重大で、低温予想が出てから深水対応しても、水が間に合わなかったり、水温が上がらなかったりして被害を受けた。同システムは1週間先の気象分布を予想する。深水管理が必要な地域が色分けして一目で識別でき、さらに1キロメッシュで局地的にも対応する。同時に作物生育予測マップも発信する。開発研究は気象協会のほか、青森、岩手、宮城、福島、各県の試験研究機関、モデルほ場としてJAいわてが参加。今後、基礎データや予測データを使い実用化試験を進める。
(日本農業新聞)
○6月11日(金) 赤かび病を防ごう 小麦で現地指導会 JAいわて中央
JAいわて中央は9日、小麦の現地指導会を管内5カ所の圃場(ほじょう)で開いた。穂揃(ほぞろい)期を迎え順調に生育している小麦の最後の仕上げとして、赤かび病に罹病(りびょう)している穂の抜き穂作業の徹底を呼び掛けた。紫波町の会場には、生産者60人が出席。出穂期が昨年より2日程度早く、穂長やや短め、穂数やや多めの今年の生育状況を報告。今後の作業では、圃場に入り、赤かび病に罹病している穂や異品種、ソバを抜くよう指導した。集まった生産者は、実際に圃場から採種した赤かび病のサンプルを注意深く見つめ、不稔(ふねん)穂との分別の方法を学んだ。赤かび病の混入割合は、昨年度から検査規格の改正で0・0%と設定。管内の小麦の生産はほぼ生産組合などの集団組織で作付けされており、先月下旬に各組織が一斉防除を行った。刈り取り適期は平年よりやや遅めの来月初めとみられる。同JAでは、昨年並みの約230トンの「ナンブコムギ」の出荷を見込んでいる。
(日本農業新聞)
○6月11日(金) 成熟期21〜29日ごろ 小麦栽培で指導会 JAいわて南
刈り取り適期を逃さず質の良い小麦を生産しようと、一関農業改良普及センターとJAいわて南は4日、一関市の圃場(ほじょう)で小麦の栽培指導会を開いた。管内から集まった生産者20人は今後の管理や刈り取り、出荷時の注意点をメモを取りながら聞いていた。今年の生育状況は、3、4月に掛けて高温で推移したためおおむね良好で、茎数がかなり多かったことから穂数も全般に多い。出穂後、ぐずついた天候が続いたことで5月17〜20日ごろの開花が目立った。指導した同センターの氏橋明子普及員は「開花期から成熟期(穀粒水分35%)までの機関は約35〜40日。開花期を5月17〜20日とする成熟期は6月21〜29日ごろです。適期を逃さないように」と、注意を促した。さらに赤かび病防除について触れ「各圃場で適期に実施しているが、発生が見られた場合は販売価格や来年の作柄に影響するので確実に抜き取ること」など圃場管理の徹底を指導した。同JAの担当者は「赤かび感染粒が入ったものは格外となるので、圃場をよく見回ってください。収穫も梅雨の合間を縫って適期に進めてほしい」と話した。
(日本農業新聞)
○6月15日(火) 冬まき小麦の技術確立 越冬前の作業不要 岩手・北上の県農業研究センター
北上市の県農業研究センターは、小麦の種を十二月にまく冬期播種栽培の技術を確立した。本県では九月下旬から十月中旬にかけて種をまく秋播種栽培が主流だが、水田転作作物として栽培する場合、水稲の収穫時期と競合するため、排水対策など不十分なケースが多い。同センターは「冬期播種は越冬前の麦踏みなどの作業が省けるうえ、収量、品質も安定する」と成果を説明している。冬期播種栽培は、同センター野菜畑作研究室の荻内謙吾主任専門研究員が中心となって試験研究を重ねてきた。この栽培は十二月上旬から中旬に種をまき、越冬後の春先に出芽させる方式。越冬前の作業が不要で、栽培農家は水稲収穫後に余裕を持って取り組める。九月中旬から十月上旬に種をまく量を多めにし、窒素肥料を播種と同時に与えることで、土中で過ごす冬期間の「体力低下」を防ぎ、ほぼ安定した収量を確保できるようにした。同センターの実証試験によると、〇三年度までの過去三年間の平均データは秋播種小麦の収量が400キロ(10アール当たり)だったのに対し、冬期播種小麦は379キロ(同)。成熟期も秋播種より一週間程度遅いため、登熟期の降雨による被害も分散。最近多発している縞(しま)萎縮病にかかる割合も極めて少ないという。県内での小麦作付面積は約3800ヘクタールで、このうち水田転作の占める割合は約86%。荻内主任研究員は「冬期播種はコストはややかかるが、種をまく適期を逸した状態で秋播種に取り組むより、リスクは極めて少ない」と話している。
(岩手日報)
○6月15日(火) 2年続けて失敗できぬ 「冷害」前提に作業 宮城・仙南
仙南地方の昨年の作況指数は、県内の地域別で最も低い五九。県平均を十ポイントも割り込む散々な結果に終わった。七月の異常低温の影響で、障害不稔(ふねん)が多発したのが原因だった。四月下旬からゴールデンウィークにかけての田植えが定着し、低温に弱いとされる幼穂形成期から出穂期に、冷夏の直撃を受けた。早植えが被害を拡大させたとして、市内では今年、二つの土地改良区が揚水時期を十日ほど遅らせ五月一日に設定した。五月中旬に田植えがピークを迎えるようにする配慮だ。角田土地改良区の佐藤理事長は「コメ産地として二年続けての失敗は許されない。安定生産は、産地ブランドを守ることにつながる」と力を込める。ひとめぼれを中心とした角田市渡辺さんの水田も、昨年の収量は平年の半分以下にとどまった。大冷害となった一九九三年をも下回る厳しい現実に、迷うことなく田植え時期を遅らせた。「低温対策の知識はあっても、大丈夫だと、どこかで高をくくっていた。今年は冷害を前提に作業を進めている」。仙南地方の西部に当たる川崎町川内。標高二百五十メートルの耕地では、日下さんが水田管理に神経をとがらせる。単純に田植えを遅らせれば、今後は霜の影響で収量低下につながりかねない。「収穫量の確保だけでも平野部より手間がかかる。山間部は難しいよ」。今年はあぜの整備に力を入れ、水を管理して稲を守る腹積もりだ。コメどころとしての失地をどう回復するか。冷害直後の今年、産地全体の真価が問われる。
(河北新報)
○6月16日(水) 減減米の生育順調 4カ所で現地指導会 JAいわて中央
JAいわて中央は14日、減農薬減化学肥料栽培米の現地指導会を管内4カ所の圃場(ほじょう)で開いた。生育は慣行栽培と比較しても遜色(そんしょく)はなく、来年度からの全面的な取り組みに向け、生育調査と指導会を適期に行う。矢巾町内の会場には、生産者40人が出席。現在の生育状況や追肥の時期、施肥量などについてJA担当者らが指導を行った。今年の生育状況は、好天に恵まれ平年並みに経過しているが、茎数が若干不足気味。減農薬減化学肥料栽培では、特に葉色を落とさないように、稲の"顔"を見て追肥を行うよう呼び掛けた。今年から特別栽培農産物のガイドラインは、農薬の使用回数と化学肥料の窒素成分を慣行栽培の5割以下とした栽培に定められた。同JAでは今年度、農薬を8成分、化学窒素を4キロ以下と使用基準を定めた。「ひとめぼれ」を中心に有機質が入った専用の肥料を使い、約250ヘクタールで取り組んでいる。今年の生育経過を基に、来年度からは管内全域で減農薬減化学肥料栽培に移行する見込みだ。
(日本農業新聞)
○6月16日(水) ツバキ、ウメ、フジ… 今年の開花軒並み早く 青森気象台季節観測
今年の桜の早咲きはまだ記憶に新しいが、全国の気象台が開花日を調べている植物は桜だけではない。青森地方気象台が観測対象に定めている植物は今年、軒並み平年を十日前後上回る早咲きとなった。冬から春に気温が高めに推移したことを裏付ける温暖化の証人≠ニなっている。生物季節観測といわれ、植物の発芽や開花、落葉や、動物の初鳴きなど全国共通の動植物の現象について、年間を通して調査している。植物はウメやソメイヨシノなど十二種目、動物はヒバリやツバメなど十一種目が共通種目に定められ、総合的な気象状況の把握に役立てている。同気象台の今年の観測によると、ソメイヨシノの開花は平年より八日、ツバキの開花は十二日、イチョウの発芽は十日それぞれ早かった。動物では、ヒバリが例年より二十一日も早い初鳴きを記録した。同気象台防災業務課の高谷芳夫調査官は「今冬は冬型の気圧配置が長続きせず、雪解けは例年より早かった。四、五月も気温が平年より高い日が多く、このような気候が植物にも影響している」と説明する。
(東奥日報)
○6月18日(金) 売れる米へあぜみち相談会 25日から中干しを JAいわて南
作って売れる米作りに一丸となって取り組むJAいわて南の第3回あぜみち相談会は11〜15日、同JA管内172会場で開かれ、参加した生産者は、中干し、いもち病対策などについて研さんを深めた。14日、一関市中里の同JA農業機械課会議室には同地区内の生産者約20人が今後の管理ポイントを学ぼうと集まった。指導した同JA農産課の千葉英久営農指導員は、田植え後、ぐずついた天候が続いたため初期生育の遅れが見られたことなどを挙げながら、今後の気象動向、追肥、中干し、病害虫防除について説明した。中でも中干しの効果について「稲の健全化、地耐力の向上、過剰分げつを防ぐなどの観点からぜひ中干しを、さらに溝切りをすることこれらの効果が一層高まる。おおむね25日〜7月10日ごろまでに行うように」とした。また減農薬・特別栽培米について触れ、指定された除草剤以外の使用は同米から外されるので気をつけるよう注意を促した。
(日本農業新聞)
○6月18日(金) 水稲減農薬栽培に町一丸 2年目迎え面積拡大 山形・JAみちのく村山
山形県JAみちのく村山の大石田営農ふれあいセンターは、売れる米作りの一環として大石田町内全域で取り組む水稲の減農薬栽培が2年目を迎え、実施面積を拡大して前年を上回る集荷量を計画する。品種を絞り込むなど生産技術の向上に力を入れ、高品質・良食味・安心にこだわる優良米産地として体制強化に努めている。1年目の2003年は、生産者約800人が参加して町内全水稲作付面積950ヘクタールのうち約900ヘクタールで減農薬栽培を始めた。殺菌剤や除草剤などを集約し、使用農薬を慣行の22〜23成分以内に制限。冷害によりいもち病が発生し、一部が減農薬栽培の対象とならなかったが、ほとんどの生産者が達成した。早稲種ほど減収となったり、斑点米カメムシなどの被害も見られた。今年は水稲作付面積1000ヘクタールのうち、減農薬栽培を940ヘクタール(前年比約40ヘクタール増)に広げる。品種は中・晩生種の「ひとめぼれ」と「はえぬき」が主力となる。種子消毒剤を生物農薬に切り替えるなどして、使用農薬を10成分以内にする。出荷契約数量は、前年実績を1万俵(1俵60キロ)ほど上回る6万5000俵を見込む。同センターの芳賀新一次長は「いもち病と倒伏防止対策の2点を徹底し、高品質・良食味米にこだわりを持ってくれる小売店などに継続出荷していく」と意気込む。東京の米小売店が導入する、二次元バーコードを活用した生産履歴追跡システムを一部の米で採用。圃場(ほじょう)ごとに土づくりから栽培履歴、精米日まで、インターネットでリアルタイムに追跡できるのが特徴だ。06年までには町内全農家で減農薬・減化学肥料栽培に取り組む予定。
(日本農業新聞)
○6月18日(金) 葉いもち多発 過去5年平均の3倍 秋田
秋田県は十七日、水稲の葉いもち病の多発注意報を発令した。県病害虫防除所は十五〜十七日にかけて、余り苗のいもち病を県内七十五地点で調査。県全体の発病地点率が、過去五年の平均値(11・7パーセント)の三倍近い34・7パーセントとなった。県作況指数が「やや不良」の九六となった一九九〇年(36・7%)以来の水準。地域別では、県北の18・8パーセントに対し、県央が36・0パーセント、県南が41・2パーセントと高い。いもちの菌は、気温が一五度以上で活動を開始する。秋田県では田植え期に当たる五月の平均気温(秋田市)が、一五・九度と平年より一・七度高く推移した。「蒸し暑さも加わり、菌の胞子が付着しやすい気候だった」(県病害虫防除所)という。菌は密着している余り苗で発生しやすく、そこから植えられた苗に伝染する。県病害虫防除所は、早急に余り苗を処分し、苗の抵抗力を高めるプロべナゾール成分の粒剤を散布するように各農家に対して指導している。東北では、福島県が十一日に県全体の余り苗の発病地点率は3・7パーセントながら、平年(1・4パーセント)を上回ったため、葉いもちの注意報を発令した。青森、岩手、宮城、山形各県は発令していないが、「発生確認が平年より九日早かった。早めに薬剤散布を行ってほしい」(山形県)と話している。
いもち:カビの一種の「いもち病菌」によって発生し、空気伝染する。葉に斑点をつくる「葉いもち」が出穂後の稲の穂に伝染すると「穂いもち」と呼ばれ、収穫量が大幅に減少する。
(河北新報)
○6月18日(金) 早急に粒剤散布を いもち病注意報発令 秋田県病害虫防除所
県病害虫防除所は十七日、農作物病害虫注意報(第三号)を出し、水稲の葉いもちの多発生に備え、早急にプロべナゾール粒剤を三桜するなど防除対策を施すよう呼び掛けた。注意報によれば、十五〜十七日に全県七十五地点で補植用余り苗の調査を行ったところ、34・7パーセントに当たる二十六地点でいもち病を確認した。この時期の発病地点率としては、平年(11・7%)の三倍を記録し、大発生した平成二年(36・7%)と同等となっている。一部地域では補植用余り苗から水田に伝染した葉いもちを確認。伝染が確認されていない水田でも、発病苗を水田に移植している可能性があり、梅雨に入って、水田で葉いもちが急速に増加することが予想される。防除対策は▽箱施用剤や側条剤で防除していない場合、二十日までに必ずプロべナゾール粒剤を散布する▽補植用余り苗は発病の有無にかかわらず、早急に水田内に埋没処分するなど。同所は「育苗期間の中〜後期に最低気温の高い日が多かったことが多発生の原因ではないか。粒剤の効果が出るまで散布から一週間を要するので、必ずこの週末に散布してほしい」としている。
(秋田魁新報)
○6月19日(土) 昨年の冷害分析報告書まとめる 東北農研センター
東北農業研究センター(盛岡市)は、昨年の冷害の実証と課題を分析した報告書「東北地方における平成15年異常気象による被害の実態と解析」(A4判、百七十一ページ)をまとめた。「昨年の気象経緯と各作物の被害実態」「水稲被害の解析と今後の対応」の二章で構成。不作に至った東北各県の状況について、各種データの分析や過去の冷害年との比較対象によって詳細に説明している。研究センターのホームページで運用した「水稲冷害早期警戒システム」の検証を行い、栽培管理に一定の役割を果たしたことを確認。いもち発生調査では、空撮による被害分析が実態把握と対応に有効だったことなどを強調した。センターでは「今後の冷害回避対策や営農技術向上に生かしてほしい」としている。千二百部作製。行政機関、農業団体などに配布する。
(河北新報)
○6月20日(日) 今年産麦平年並み 5月末の検査 農水省
農水省は19日までに、2004年産麦の検査結果(5月末現在)を公表した。同年産で初めてまとめた検査数量は、大麦と小麦、裸麦合わせて7860トン。前年同期比で不作だった前年産より15%増え、平年並みに持ち直した。検査対象は九州の産地が中心。普通小麦の検査数量は177トンで前年産の4倍となった。1等比率も98・9%で7・5ポイント上がった。「低温と雨続きが品質に影響した前年産に比べ、作柄は平年並みに戻ってきた」と同省は話す。
(日本農業新聞)
○6月20日(日) 高品質の酒米作り 体制確立へ全力 秋田・湯沢市研究会が総会
湯沢市酒米研究会は15日、湯沢市で通常総会を開き、良質米安定供給基地「酒米の里」として、高品質・高均質酒造好適米の生産体制の確立を図ることを決めた。同会には、会員、酒造、関係団体、JAなど80人が主席。高橋輿志幸会長は「日本酒の需要低迷により、酒造好適米を取り巻く環境は依然として厳しいが、品質の均一化、秋田酒こまちの販路拡大に向けて取り組んでいこう」とあいさつ。今年度は@契約栽培を基軸とした生産体制の確立A1等米以上比率米100%運動の展開B県内外への販路拡大に向けたPR運動の実施などを決めた。同会は「秋田酒こまち」を含む317・49ヘクタールの酒造好適米を366人で栽培している。2003年度全国新酒鑑評会で「あきた酒こまち」は@口当たりの良さA秋田と特徴が出ている良い酒造好適米とされ、金賞に輝くなど県内酒造会社から高い評価を得ている。今後、作付面積の拡大を図り、県外への販路拡大に向けて取り組んでいく。
(日本農業新聞)
○6月20日(日) 葉いもちに注意報 取り置き苗処分徹底を 秋田・福島
秋田県や福島県では、水稲の補植用取り置き苗でいもち病の多発が確認されたことから、異例の早さで葉いもちに関する注意報を相次いで発令している。各県の病害虫防除所では、本田のいもち病の発生源となる取り置き苗の処分の徹底や予防粒剤の早期散布を呼び掛けている。秋田県では、15〜17日の取り置き苗の調査で発病地点率が34・7%と平年値(11・7%)を大きく上回ったため、17日に注意報を発令した。昨年より25日も早い。「葉いもちが大発生した1990年の発病と同等の発生で、極めて危険な状態にある」(県病害虫防除所)。一部地域では本田への伝染が確認された。福島県は、葉いもち注意報を11日に発令した。取り置き苗で葉いもちの発病が県内全域で確認され、初確認日は平年より6〜11日早かった。対策としては、箱施用剤や側条施用剤による防除をしていない場合にはオリゼメート粒剤などを水面施用する。施用適期は秋田、宮城、山形、福島が20日ごろまで、岩手は20〜25日、青森は6月末までなどとなっている。
(日本農業新聞)
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○6月21日(月) DNAがいつの間にか… 王者コシヒカリに異変
断トツの人気を誇るブランド米、コシヒカリに異変が起きつつある。消費者が知らないうちに、違う品種が食卓に出回るらしい。遺伝子に秘密があるというのだが。
「これは偽物だ」。昨秋、富山県庁に一本の電話がかかってきた。富山産コシヒカリを買い、遺伝子レベルでコメの銘柄を調べるDNA(デオキシリボ核酸)鑑定を実施したところ、コシヒカリではないとの結果が出たという。実はこの品種の正式名称は「コシヒカリ富山BL」。BLとは「いもち病抵抗性」という意味で、味や見た目はコシヒカリと同じだが、葉や穂を枯らす「いもち病」という病気に強い遺伝子を持つ別品種だ。病気に強い品種とコシヒカリを掛け合わせ、できた稲に何度もコシヒカリを掛け合わせた。遺伝子組み換えではなく、通常の品種改良だ。「病気に強く、農薬を減らせる」(富山県農業技術センター)。コストが下がり、消費者の安全志向にもかなうわけだ。そこに立ちはだかったのがDNA鑑定。偽装表示を防ぐため、スーパーなどはDNA鑑定を調べて品種を確認することが多い。富山県が昨年、減農薬の特別栽培コシヒカリとして全国で初めてBLを売り出したところ、いきなり偽物と疑われたのだ。農水省は「外観などが同じなので違う品種だと表示する必要はない」(消費・安全局)との立場。しかし、従来型とDNAが異なるのは確かだ。富山県ではコシヒカリを栽培する約三万三千ヘクタールのうち、BLは昨年わずか四百ヘクタールだった。今年はさらに減って三百ヘクタール。「DNA鑑定の問題に加え、同じ名前で違う品種を売ることに消費者の理解を得る必要がある」(食糧政策課)と、当面は従来品種とは分けて慎重に販売する方針だ。
富山の一部で栽培に終われば影響は小さかったろう。しかし、主産地の新潟県が本格的に動き出し、情勢が一変した。「来年の作付けから県内すべてのコシヒカリを一斉にBLに切り替える」(新潟県農産園芸課)というのだ。新潟県のコシヒカリ栽培面積は九百五千五百ヘクタール(二〇〇三年)と日本最大。それだけに他産地の関心も高い。新潟で成功すれば、あきたこまちなどの有力銘柄にも続々とBLが登場する可能性が高い。なぜ、王国・新潟が動いたのか。実は、富山県が気にするDNAの違いを逆手にとって、王家の系統を守る狙いが隠されているという。新潟県にはコシヒカリの最高級ブランド、魚沼産がある。魚沼産と偽装表示したものが大量に出回っているのが悩みだ。従来のコシヒカリの遺伝子は生産県にかかわらず同じだから、県外産が混ざってもDNA鑑定では見抜けない。これに対し、新潟BLは従来型はもちろん、富山BLとも遺伝子が違う。さらに、いもち病には多くの型があるため、それぞれに抵抗性を持つ遺伝子を組み込むことで一号、二号と異なる品種をつくっている。新潟は六号、富山は四号まで登録済みだ。このため、新潟で生産するコシヒカリがすべてBLになると、「県外産が入ってきてもDNA鑑定で見分けがつく」(新潟県)。偽物を摘発しやすくなるわけだ。
しかし、消費者の立場では、同じコシヒカリという名の下で遺伝子の異なる複数の品種が出回ることに抵抗感があるかもしれない。どうして違う名前で勝負しないのか。「BLが一般的になれば、いつでもひとめぼれBLを出す用意はあるのだが」。ひとめぼれやササニシキを生んだ宮城県古川農業試験場の永野邦明上席主任研究員は慎重に語る。脳裏をよぎるのはササニシキBLの失敗だ。一九九五年に登場したササニシキBLは、「ささろまん」の名で売り出した。ササニシキとしても販売できたが、農薬を減らしたことを強調するため、あえて別名にした。しかし、消費者に受け入れられず、昨年ついに消滅。全国農業協同組合連合会(全農)宮城県本部は「消費者がササニシキではないと誤解したこと」が失敗の一因と見る。食味研究の第一人者、食品総合研究食品素材部の大坪研一室長は「分析した結果、ささろまんはササニシキと同じ味だった」と語る。しかし「消費者からは味が違うとの声も出た」(全農宮城県本部)。同じ味でも名前が違うと別物と見られるのが現実なのだ。
来年秋にはいよいよ全国にコシヒカリBLが行き渡る。DNAの違いに流通業者や消費者がどんな反応を示すか、関係者は固唾(かたず)を飲んで見守っている。
(日本経済新聞)
○6月23日(水) 前年の5.1%高で終了 年明け以降下げ 自主米入札
全国米穀取引・価格形成センターは22日、2003年産米で最終となる第14回入札取引を行った。全銘柄の落札平均価格は、60キロ1万7872円で前回比4・6%安となった。前年同期と比べると5・1%高い水準。03年産の取引は、10年ぶりの不作による供給不安から一時、前年の5割高まで急騰したが、年明け以降は高値反動の影響で続落していた。今回の価格は、10月までの03年産の取引価格として準用されるため注目されていた。買い手の米卸は、政府米古米など過剰在庫を抱える一方、早期米をはじめ04年産米の流通も迫っていることから、必要最小限の応札に終始した。下げ幅が前回の0・1%安より大きいのは、全体相場を引き上げる新潟「コシヒカリ」の上場がなかったためとみられる。最終入札には全国から38銘柄、5万500トンが上場。全量落札された。上場数量に対する卸の申し込み率は、前回の2・1倍から1・6倍に下がり、卸の調達意欲の低さを映した。前回に比べ価格が上昇したのは3銘柄。地元需要が強く前回、急騰していた福岡「夢つくし」が、1・7%高の2万550円。大半の銘柄は横ばい、または下げた。新潟「コシヒカリ」に次ぎ評価が高いとされる福島・会津「コシヒカリ」が、前回並みの2万456円、宮城「ひとめぼれ」が前回並みの1万8001円などとなった。秋田「あきたこまち」は4・5%安の1万7520円となった。
(日本農業新聞)
○6月24日(木) 復元水田の対応学ぶ 現地講習会に30人 青森・JA津軽尾上
JA津軽尾上はこのほど、水稲現地講習会を尾上町の水田で開き、参加した生産者ら約30人が復元水田の生育管理や対応を学んだ。同JAでは、生産者の生育意欲と所得向上を図ろうと、市町村間調整などを活用し転作田130ヘクタールを復元した。復元された水田の稲は、生育過剰傾向のため、ほとんどが無肥料で栽培される。前作の転作作物や転作年数に応じて生育が異なることから、指導に当たった平賀地域農業改良普及センターの黒滝和幸技師が、今後の生育管理について、昨年度までの状況に合わせ、それぞれアドバイスした。
(日本農業新聞)
○6月24日(木) 農業情報のメール配信開始 岩手県一関普及センター
一関農業改良普及センターは携帯電話やパソコンを活用し、農業技術などの情報を電子メールで提供する「緑のモバイル」を始めた。現在の利用者数は一般農家33人を含む74人。提供情報は、@農作業情報(農作業のポイント、病害虫の発生状況や防除方法、気象情報)Aイベント情報(一関地方のイベントや講習会情報)B耳寄り情報(補助・融資制度)など。このサービスは電子メールで配信され、インターネットサービスに契約していれば利用でき、情報料は無料。同センターでは今後も募集を継続していくという。問い合わせは同センター、(電)0191(26)1417。ファックス0191(32)5437。メールアドレスはCE0019@pref.iwate.jp
(日本農業新聞)
○6月24日(木) コメ業界、新米の作柄にピリピリ 高値在庫抱え逆ザヤ懸念 豊作なら長期下落も
コメ業界が早くも新米の作柄に神経をとがらせている。卸は相場高騰時に仕入れた二〇〇三年産米の在庫を抱え、七月下旬の九州産から本格的に出回る新米が安値になれば逆ザヤ販売になるのは必至。産地も新たに始まった需給調整制度に不安を抱える。豊作ならコメ価格は再び長期下落基調に戻りかねない。「このままでは五年前を上回る逆ザヤが発生する」。ある大手卸のトップは苦渋の表情を見せる。五年前の一九九八年産米は〇三年産米と同様に不作で高騰した。翌九九年産は天候に恵まれ生産が回復。高値を消化しきれないうちに新米が安値で出回った。当時、全国農業協同組合連合会(全農)と仕入れ契約をしたものの相場下落で現物を引き取れなくなった卸が続出。全農は引き渡しを猶予する救済措置をとった。それでも耐えきれず解散する卸が現れるなど業界は混乱を極めた。この現象は今年も起こりうる。〇三年産の生産量は前年より約百十万トン(一二%)減った。卸はコメ価格センターの入札に殺到。〇二年は平均六十キロ一万六千円だった落札価格は一時二万三千円台に高騰した。価格上昇は小売りにも波及し、消費者は高値の銘柄米などの購入を抑制。新米に比べ二割前後安く店頭に並んだ、政府備蓄米を配合したブレンド米の購入に動いた。卸自身の読み違いから、卸の手元には大量の高値在庫が残った。農水省によると卸の保有在庫は現在、六十八万トンと適正規模の二倍強に上がる。さらに全農と仕入れ契約を結んだが引き取りを終えていない〇三年産米の引き取り期限が控える。業界推計では今月末期限分が約三十万トン、十月には六十万トン。新米が安値で出回り逆ザヤ販売を余儀なくされれば、中小企業が多い卸業者にとって大きな負担だ。新米の作柄には産地も神経をとがらせる。コメ価格は不作による一時的な高騰を除き、過去十年で二割強安くなる長期下落基調が続く。生産・販売の規制緩和による競争激化が一因で、農家の採算は悪化の一途。業界では〇四年産が平年作の場合、〇二年までの相場低迷時の価格に逆戻りするとの予想が大勢だ。豊作なら状況はさらに厳しくなる。政府は豊作時の余剰米を農家が市場から隔離して保管する制度を四月に導入した。しかし市場は「全農が調整保管する従来の制度に比べ隔離が徹底しにくい」(全農関係者)との見方が目立つ。不作の翌年は土壌に養分が多く残るうえ、産地が教訓を生かして田植えや収穫時期を分散するため豊作になりやすいといわれる。新米の作柄によっては、新たな需給調整制度が初年度から効力を問われることになる。
(日本経済新聞)
○6月25日(金) 全国的に暑い夏 降水量は平年並み 3カ月予報
気象庁は24日、7〜9月の3カ月予報を発表した。平均気温は東・西日本で高め、北日本、南西諸島でやや高めに推移する。今年の夏は「太平洋高気圧の張り出しが強く、オホーツク海高気圧の勢力が弱い」(同庁気候情報課)ため、全国的に"夏らしい夏"になりそうだ。降水量は北日本でやや多いほかは、平年並みの見込み。7月は全国的に気温がやや高めに推移する。北日本の天気は数日の周期で変わり、東北地方は梅雨前線の影響を受けやすく降水量が多くなりそう。東・西日本は、前半は熊内や雨の日が多く、後半は晴れる。降水量は平年並み。8月は全国的に晴れる日が多くなり降水量は平年並み。気温は北日本で平年並みで、そのほかはやや高めになる見込み。9月は、数日の周期で天気が変わり、残暑が厳しくなりそう。気温は北日本と南西諸島でやや高く、東・西日本で高い。
(日本農業新聞)
○6月26日(土) 大豆6月入札 10%安も高値圏
日本特産農産物協会が6月に実施した2003年産大豆の入札取引の平均落札価格は、60キロ12336円(税込み)で、前月比10%安となった。前月に続いての下げで、03年産では初めて特定加工用の1銘柄で落札残があった。価格は前月同期の2・6倍と依然高値圏にある。03年産大豆は不作の影響などから高値を続けていたが、実需が高値の大豆を使いづらくなり、その反動で下げたとの見方が強い。6月の入札は2回開かれ、上場数量は3276トン。普通大豆のほとんどの銘柄が1万円を超え、高値圏にあるが、納豆用の北海道・小粒「スズマル」が前回入札に比べ53%安の7568円、三重・中粒「タマホマレ」(前回上場なし)が9160円と、2銘柄が1万円台を割った。そのほかの主要銘柄では、納豆向けの秋田・大粒「リュウホウ」が13%安の1万1164円、栃木・大粒「タチナガハ」が5%安の1万2410円、新潟・大粒「エンレイ」が10%安の1万1957円などとなった。
(日本農業新聞)
○6月26日(土) 水稲 遅植え傾向 一部で茎数やや少ない 15日現在生育状況
農水省は25日、今年産水稲の生育状況(6月15日現在)を発表した。5月中におおむね田植えを終えた北海道、東北、北陸、関東では、日照不足から一部茎数がやや少ない。また、登熟期の高温による品質低下を避けるため、昨年に続いて各地で遅植えの傾向がみられる。茎数のやや少なかったのは岩手、山形、茨城、新潟、富山。5月中旬に雨や曇りの日が続いたため。ただ、「生育の初期段階での茎数は、晴天が続けば回復する」と同省はみている。6月15日までに田植えを終えた面積割合は全国平均で93%と平年並み。2002年、猛暑による高温障害で乳白粒の発生が目立ったことを受け、県や農業団体は昨年から遅植えの指導を徹底している。今年産は富山、福井、滋賀、鳥取の各県で田植えの最盛期は平年より2〜4日遅かった。今後の生育について同省は「前年産の不作にもつながった7月の低温と日照不足には、今年も注意が必要だ」と呼び掛けている。
(日本農業新聞)
○6月26日(土) 水稲生育は平年並み 田植え後の好天で回復 東北地方
東北農政局は25日、15日現在の水稲生育状況を発表した。田植え後、日照が平年を下回ったことなどから茎数が平年に比べてやや少なくなったものの、活着が平年並み、草丈がやや長くなったため、東北全体の生育の良否は「平年並み」となっている。稲の活着は、5月下旬の低温で一時停滞した県も見られたが、全般的に田植え後の気温が平年並みから平年を上回って経過したことで、各県とも「平年並み」となった。草丈は、田植え後の気温が高めに経過した秋田、山形、福島でやや長くなったことから、東北平均では「やや長い」となっている。茎数は、5月全般の日照が平年を下回ったことや、5月下旬の低温で初期の分けつが緩慢となり、それ以降は高温・多照で経過し、分けつが促進されたものの、東北平均では「やや少ない」となっている。昨年の冷害を踏まえ晩期栽培に取り組んだ宮城県では、生育ステージそのものが後ろにずれたことから「少ない」となっている。宮城全体の生育は平年並みだが、晩期栽培に取り組んだ水田の生育は、現時点では約1週間遅れで推移している。また東北全体で心配される葉いもちには、「苗の時点で粒剤散布するケースが多いため、本田での発生は、さほど多くない」(統計部)と見ている。
(日本農業新聞)
○6月28日(月) 栽培技術確立し安心米&°yへ 減農薬・減化学肥料 平鹿の水田で実験中 秋田県農試
県農業試験場は本年度から五カ年計画で、JA秋田ふるさとなど七機関と連携し、農薬や化学肥料を朝得た特別栽培米の産地化を目指す「安全・安心あきた米プロジェクト」に取り組んでいる。平鹿町に三十ヘクタールの大規模実験田を設置。実証実験を通じて、減農薬・減化学肥料の栽培技術を確立し、全県的な普及を図りながら安全・安心米の産地化推進を図る。「コメに対するニーズが安全・安心、しかも安くておいしいものへと変わってきている。県の事業も変わらなければならない」と同試験場の児玉徹次長。プロジェクト推進のため同試験場は、明沢水稲農事組合、同JA、平鹿町などと現地推進協議会を結成した。生産者、農業団体、行政が一体となって生育状況や実験成果の検証などを行う。実験田は、明沢地区の農家三十戸の圃場を集積。同JA平鹿町営農センター、平鹿町、平鹿共済組合の三団体が五年前から、同試験場が三年前から、ともに減農薬栽培実験を行っていた。集落単位の協力体制が整っており、規模の大きさと相まって確証の高いデータを得ることが期待されている。実験田で行う実証は、病害虫や雑草の減農薬防除技術、減化学肥料栽培技術など。県の特別栽培農産物認証制度による農薬使用基準よりも、さらに減農薬を徹底する予定だ。いもち病については育苗期の防除を徹底する。プロべナゾール粒剤で葉いもちを防除した場合は穂いもちが発生しないことが明らかになっており、実験田で実証しながら減農薬栽培技術として確立する。同試験場の深谷富夫プロジェクトチーム長は「被害の軽減ではなく、元から絶つという発想の転換を図りたい」と話す。実験田における減農薬・減化学肥料栽培マニュアルは、本年度中に作成する。プロジェクトで得られた成果や課題は、単年度ごとに報告会などを通じて、地域振興局やJAなどに紹介。確立された栽培技術については、実用化に向けたアドバイスも行いながら、全県的な普及を図る。プロジェクトでは、販売状況や栽培技術の経済性の検証も行う。収穫されたコメは、同JAを通じて大手外食チェーンに販売し、食味などに関する消費者の感想を提供してもらう。栽培技術のコストと労力に対して販売額が見合っているかどうかも検証し、生産者の所得向上を目指す。児玉次長は「実験田を平鹿町内の他の圃場などに拡大していくことも考えている。減農薬・減化学肥料栽培のモデル地域として、技術を全県的に普及させていきたい」と語っている。本県の十六年産特別栽培米の作付面積は四千五百二十五ヘクタールと、コメ全体の5%程度となっており、低コストで省力化された栽培技術の確立に期待がかかる。
(秋田魁新報)
○6月29日(火) 環境保全型稲作 実益に高い評価 秋田で日韓中技術会議
中国東北部や韓国で取り組まれている環境保全型稲作の技術が、このほど秋田県大潟村で開かれた第5回日韓中環境保全型稲作技術会議で報告された。日本同様、米ぬかを使った除草技術や疎植による病害虫対策などが入っている。トウモロコシを使った発酵肥料や木星の力を借りるというユニークな技術も紹介された。冷害でも被害が少ない、一般の米の倍の値で売れるなど、環境保全型稲作への評価が高い。
冷害年でも収益確保 米ぬか+コーン活用 中国
中国吉林省延辺で有機稲作を指導する、図們市農業技術普及所の金吉洙(キム・ギルス)氏は「昨年のような冷害年でも農家の多くは収益を確保できた」と強調する。地域の平均収量が例年の30〜40%だったのに対し、3割程度の収量減で済んだ。米が高く売れたため、平年より手取りが多かったという。種もみは、独自に開発した器具でポットに薄まきする。5葉前後まで育苗。これを"人力田植機"で移植する。これは導入した日本製田植え機の移植部分を外し、作業者が乗る場所を作り、手植えする方式。1平方メートル当たり12〜13株の疎植に対応するためだ。田植え後3日以内に、1ヘクタール当たり米ぬかペレット400キロと、割れたトウモロコシで作ったペレットを同400キロを散布。水管理をしてやすと、ほとんど雑草が生えなかったという。地域は、冷涼で乾燥した気候のため、もともと病害虫が少ない。疎植で風通しが良くなるため、ほとんど問題ないという。肥料は、米ぬかやトウモロコシを発酵させたものを使う。同市では今年、有機稲作の面積が70ヘクタール以上になった。課題は、米ぬかやトウモロコシの価格が高いこと。飼料用の需要が増え、どちらも1キロ10円以上するという。金氏は「トウモロコシや大豆の収穫残さや、落ち葉の利用も検討中」とした。
疎植で病害虫知らず 値段は一般の倍以上 韓国
韓国で環境保全型稲作(親環境農産物)を実践するポソン正農会の姜大寅(カン・デーイン)代表は、米ぬか稲作について報告した。米ぬか散布は@雑草対策A化学肥料の代替B食味向上の効果があるという。収穫直後と田植え後に散布する。秋は10アール当たり200〜300キロまき、ロータリーをかけて水を入れる。春は雑草が発芽する前、10アール当たり70〜100キロ散布する。姜代表は7ヘクタールで有機稲作に取り組む。温湯で種子消毒し、浸種には松の葉やコチュジャンなどが入った酒「百草(ひゃくそう)液」を使う。種まきの日程は暦を重視。地中に炭を埋めたり、「木星の力を借りるため」(姜代表)に6本の竹を六角形になるように植えるなど、独自の農法を続けている。密植を避け、3・3平方メートル当たり70株にする。姜代表は「始めは大変だったが、今では病害虫に悩むことはない」という。課題は、米ぬかの手散布がやりにくいこと。米は一般の倍以上の値段で直売している。韓国自然農業協会の崔萬根(チェー・マングン)理事は、韓国南部の干拓地6ヘクタールでの無農薬栽培を紹介した。アイガモと米ぬかを除草に利用する。湛水(たんすい)土壌中直まき栽培。赤土でコーティングした種もみを、株間30センチになるように溝を切って3センチの深さでまく。湛水直まきでも密植を避けることができ、倒伏も防ぐことができるという。
(日本農業新聞)
○6月29日(火) 地図で圃場管理 画面上、色分け 日立ソフト
日立ソフトは28日、コンピューター上の地図で、圃場(ほじょう)ごとに生産履歴や生産者情報が管理できるシステム「GeoMation/Farm(ジオメーションファーム)」をJAや農業共済組合向けに販売すると発表した。土壌分析の結果や作付け状況などを画面上で色分けして表示できる。拡張性が高く、JAが使っている購買管理システムなどと接続できるところも特徴。農家ごとの情報もまとめられる。コンピューター上の地図で、必要な情報を色で区分して見やすくしている。地図は、行政などで持っている地図以外に、航空写真や衛星写真を使って作成する。生産履歴や病害虫の発生状況のほか、土壌分析結果や、作物の連作年数なども色分けできる。ウェブでの利用もでき、各組合員に最新情報をインターネットで配信したり、生産者から直接、情報入力をするようにもできる。各JAに合わせて、運用方法を変えられる。価格は、圃場を管理する基本システムソフトで200万円。地図作製や、当初データの入力、システム拡張などを含め、導入費用は700万円から。
(日本農業新聞)
○6月29日(火) 新潟産<uランドを守ろう コシヒカリ 6品種を開発 新潟県内限定栽培
「魚沼産」「佐渡産」などのブランド米を誇る新潟県が、稲に被害を与える「いもち病」に強いコシヒカリ六品種を開発した。農薬を減らして安全性や味をPRするとともに、新品種の栽培を県内限定にして「新潟産コシヒカリ」のブランドを守る考えだ。新潟県は十数年前から、いもち病に強い品種とコシヒカリとの交配を繰り返す方法で品種改良に取り組み、新たに六品種が完成。県は各品種が独自のDNAを持つことに着目し、分析機器で見分ける技術も開発した。県にとっては、新潟産コシヒカリの人気に乗じた偽装表示が悩みの種だったが、DNAで識別できるようになるため、県内で来年栽培するコシヒカリをすべて新品種に切り替える。財団法人全国米穀取引・価格形成センターが最近実施した入札によると、水稲うるち米六十キロの落札価格の平均は約一万八千七百円だったが、新潟産コシヒカリ全体で約二万千八百円、魚沼産コシヒカリは三万千三百円と高値を維持。県によると、農家から新品種について「農薬を減らせるので生産コストが下がる」「安全をアピールできる」と評価の声が相次いでいるという。
(秋田魁新報)
○6月30日(水) いもち病の防除を 秋田県農作物病害虫発生予報
県病害虫防除所は二十九日、農作物病害虫発生予報の第四号を発表した。水稲のいもち病が補植用余り苗で多発し、水田の葉いもちも多発する恐れがあることから、発病を確認した場合は直ちに防除するよう呼び掛けている。
(秋田魁新報)
reigai@ml.affrc.go.jp