2013年仙台管区気象台発表予報

2月25日発表3ヶ月予報


 本情報は仙台管区気象台発表の1ヶ月予報内容をお知らせします.

○2月25日発表 暖候期予報(3月から8月までの天候見通し)

<予想される夏(6月から8月)の天候>
 夏(6月から8月)の出現の可能性が最も大きい天候と、特徴のある気温、降水量等の確率は以下のとおりです。
 6月から7月は、平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。その後は、平年と同様に晴れの日が多い見込みです。
 この期間の平均気温は、平年並または高い確率ともに40%です。
 なお、5月までの予報については、最新の3か月予報等をご覧下さい。

<夏(6月から8月)の気温、降水量の各階級の確率(%)>
【気  温】東北地方
【降 水 量】東北地方
凡例:低い(少ない)平年並高い(多い)
<梅雨の時期(6月から7月)の降水量の各階級の確率(%)>
【降 水 量】東北地方
凡例:少ない平年並多い

1.夏(6月から8月)の予報
 6月から7月は、平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。その後は、平年と同様に晴れの日が多い見込みです。この期間の平均気温は、平年並または高い確率ともに40%です。
 なお、5月までの予報については、最新の3か月予報等をご覧下さい。
 暖候期予報については、3月と4月の3か月予報[毎月25日頃発表]に合わせて予報内容を再検討し、変更がある場合には修正発表します。また、5月の3か月予報発表以降、夏の予報については、最新の3か月予報等をご利用下さい。

2.予報の根拠
2.1 数値予報による海洋と大気の流れの予想
(1)熱帯域の海洋の予想
 夏平均海面水温は、インド洋熱帯域で負偏差、西部太平洋熱帯域で正偏差、中部・東部太平洋赤道域で平年値に近い予想。この夏はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生しない見込み。

(2)大気の予想
 海面水温がインド洋熱帯域で平年より低く、西部太平洋熱帯域で平年より高いことに対応して、対流活動はインドからフィリピンの東にかけて平年より活発となる。この影響でチベット高気圧の勢力は強まり、チベット高気圧の北縁を流れる亜熱帯ジェット気流は平年より北寄りを流れる。
 500hPa 高度は、低緯度帯は負偏差、対流活動活発域が平年より北寄りで、亜熱帯ジェット気流が平年より北寄りであることに対応して、中緯度帯は広く正偏差となり、日本の南東の太平洋高気圧は北側で勢力が強い。
 海面気圧は、日本付近は広く正偏差となり、太平洋高気圧の張り出しが強い。なお、東北地方に低温をもたらすオホーツク海高気圧は、予測の難しい高緯度の大気の流れの影響を受けるため、平年程度の出現を見込む。亜熱帯ジェット気流が平年よりも北寄りを流れることから、影響を受ける時期があるが一時的と見込む。

2.2 熱帯の大気・海洋と日本の天候〔フィリピン付近の対流活動〕
 夏のアジアモンスーンのうち、東南アジアのモンスーンの活動度を監視するため、フィリピン付近からフィリピンの東海上にかけての領域の対流活動の強さを指数化(以下CI2 と略記)している。CI2 は正のときフィリピン付近で対流活動が活発であり、負のとき不活発であることを意味する。フィリピン付近の対流活動と日本付近の太平洋高気圧の強まりとは相関があり、対流活動が活発なときは、日本付近で太平洋高気圧が強まる傾向がある。
 CI2 は北日本から西日本にかけての夏平均気温と有意な正の相関、沖縄・奄美の夏平均気温とは有意な負の相関がある。下図は、夏平均CI2 と北日本の夏平均気温の経年変化で、両者とも同じような変動をしている。CI2は熱帯域の海面水温変動と関連して変動しており、インド洋熱帯域の海面水温が低いときにCI2 は正の値(対流活動は活発)となる傾向がある。
 この夏CI2 は正で、フィリピン付近の対流活動は活発傾向と予想されている。日本付近で太平洋高気圧は強まる傾向と見込まれる。
夏平均CI2 と北日本の夏平均気温

2.3 最近の夏(6〜8 月)の天候
 東北地方の最近10 年の天候の特徴を下表に示す。

平均気温
平年差℃
降水量
平年比%
日照時間
平年比%
夏の特徴
2003-1.4(--)115(+)68(--)低温寡照 東北南部・東北北部とも梅雨明け不明瞭
20040.7(+)93(0)120(++)高温多照 梅雨末期の豪雨(平成16 年新潟・福島豪雨など) 台風6 個上陸
20050.6(+)97(0)94(0)高温 7 月低温 遅い梅雨入り・梅雨明け
20060.1(0)91(-)89(-)7 月低温8 月高温 7 月寡照 遅い梅雨明け 東北北部少雨
20070.4(+)95(0)111(0)高温 7 月低温 6 月8 月高温 遅い梅雨入り・梅雨明け
2008-0.2(0)114(+)93(-)7 月高温 8 月低温 平成20 年8 月末豪雨 遅い梅雨入り・梅雨明け
2009-0.3(0)111(+)81(-)8 月低温 早い梅雨入り・東北南部・東北北部とも梅雨明け不明瞭
20102.1(++)95(0)112(+)高温 早い梅雨明け
20111.1(+)86(-)106(0)高温 遅い梅雨入り・早い梅雨明け
20120.8(+)67(--)122(++)高温少雨多照 厳しい残暑

++:かなり高い(多い) +:高い(多い) 0:平年並 -:低い(少ない) --:かなり低い(少ない)

2.4 夏(6〜8 月)の気温と降水量の経年変化
 東北地方の夏(6〜8 月)の平均気温は、1970 年代後半以降、年々の変動が大きい。最近10 年間程度は平年並か高温の年が多いが、2003 年の冷夏、2010 年の暑夏など極端な天候が現れている。なお、極端な冷夏は1983 年、1993 年、2003 年と10 年周期で現れている。

東北地方の夏(6〜8月)の平均気温平年差の推移

 東北地方の6〜7 月の2 か月間降水量(概ね梅雨の時期の降水量に相当)は、1990 年代後半から平年並か多雨の年が多くなっているが、東北北部では2007 年、2011 年に平年比70%台の少雨、東北南部では2008 年に平年比60%台の少雨となった。

東北地方の6〜7月の2か月間降水量(概ね梅雨期間の降水量に相当)平年比の推移

3.まとめ
 この夏は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生しない見込み。海面水温がインド洋熱帯域で平年より低く、西部太平洋熱帯域で平年より高いため、インドからフィリピンの東で対流活動が平年より活発となる。この影響で、チベット高気圧の勢力が強く、太平洋高気圧の張り出しが強い。東北地方に低温をもたらすオホーツク海高気圧の出現は平年程度で、影響を受ける時期があるが一時的と見込む。

3.1 東北地方のこの夏(6〜8 月)の気温
 太平洋高気圧の張り出しが強い予想で、気温は高い傾向を予報した。地球温暖化等の影響により近年は高温傾向となっていることも考慮している。1983 年以降10 年ごとに冷夏が現れている。1983 年はエルニーニョ現象発生中、1993 年はエルニーニョ現象に近い状態、2003 年はエルニーニョ現象が終わってすぐの夏だった。今年は熱帯の海洋の状態がこれらの年とは異なっている。今夏はオホーツク海高気圧の影響を受ける時期があるが一時的と見込んだ。

3.2 東北地方の夏(6〜8 月)の降水量と梅雨の時期(6〜7 月)の降水量
 梅雨前線の活動に関して平年からの偏りを大きくするような特徴的な傾向は見られない。平年並を基調とするが、太平洋高気圧の張り出しが強い予想のため、降水量はやや少ない傾向を予報した。

 
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