NARO 農研機構 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

図説:東北の稲作と冷害

良食味米産地−東北−


度重なる冷害に苦しめられてきた東北の稲作だが、今や日本で一番おいしいお米の一大生産地となってきたことを紹介する。

良食味米産地−東北−

 東北地域は米の一大生産地帯として位置づけられている。平成12年産米についてみると、水稲の作付面積は454,800ha、10a当たり収量 570kgであり、玄米収穫量は 2,594,000 tonに及ぶ。この玄米生産量は全国で生産されるものの約27%を占める。また、おいしいお米が生産される地域としても有名である。その理由を食味ランキングの最上位に位置する産地品種から見てみる。
食味ランキングとは、(財)日本穀物検定協会(http://www.kokken.or.jp/)が昭和46年産米から、毎年全国規模の産地品種を対象として食味試験を行い発表しているものである。試験の方法は炊飯したご飯を試験官が実際に食べてみて評価する。これを官能試験と呼ぶ。このような試験では常に基準となるものが設定され、それとの比較において行われる。この基準品種には滋賀県(湖南地区)産の品種「日本晴」が使われている。なお、評価結果は次のように決められている。
  1. 「特A」:基準品種よりも特に良好なもの
  2. 「A」:基準品種よりも良好なもの
  3. 「A'」:基準品種とおおむね同等のもの
  4. 「B」:基準品種よりもやや劣るもの
  5. 「B'」:基準品種よりも劣るもの
 さて、平成12年産米においては、140の産地品種について試験が行われ、最も最上位ランク「特A」に選ばれたのは次の図の11産地品種であった。

食味ランキン

 選ばれた11産地品種のうち、東北で生産されたものが7つに及ぶ。太平洋側では、岩手県南「ひとめぼれ」、宮城県北「ひとめぼれ」、宮城県中「ひとめぼれ」、福島会津「コシヒカリ」、また日本海側では秋田県南「あきたこまち」、山形庄内「はえぬき」、山形内陸「はえぬき」である。他の4産地品種は北陸地域のものとなっている。このように、日本で一番おいしいお米の多くが東北地域で生産されており、当地域がおいしいお米の生産地として重要な位置にあることが理解できよう。
 なぜおいしい米が生産できるかは、品種特性、栽培技術、登熟条件などいろいろな要素が関係するのではっきりしたことはいえない。冷害の危険度地帯区分からみると、秋田県南、山形庄内と内陸、福島会津は高い収量で冷害の危険度の最も小さいところです。また太平洋側の岩手県南や宮城県北は太平洋側では収量が高く冷害危険度の小さいところに当たります。(参照:図説「冷害危険度地帯区分」

 
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