図説:東北の稲作と冷害
エルニーニョ現象を監視する(定置ブイ観測)
エルニーニョ現象は太平洋赤道域の海水温の状態変化に現れる。その情報をリアルタイムに提供するホームページを紹介する。
エルニーニョ現象と関係する太平洋赤道海域の動態を観測している米国海洋大気庁の熱帯大気・海洋プロジェクトのホームページ(
http://www.pmel.noaa.gov/tao/
下図)を紹介する。
エルニーニョ現象は、世界的な異常気象を引き起こすものとして知られている。そのため、熱帯太平洋の海洋や大気の状態を観測することは、比較的短期間(数ヶ月〜1年)先の気象を予測するための基本となる。それに必要なデータを提供するため、米国海洋大気庁は太平洋赤道海域に定置ブイ観測網を運用している。定置ブイを用いて、温度、海流や風に関する情報が集められ、世界中の研究者や気象予報を専門とする関係者にリアルタイムに提供されている。
この定置ブイは、水温や塩分、海流や風の変化を観測するもので、ATLAS(Autonomous Telemetering Line Acquisition System)ブイと呼ばれるシステムで、米国海洋大気庁の太平洋海洋環境研究所が運営している。ブイの上には風向・風速計、日射計、温度計、湿度計、気圧計が搭載され、データは気象衛星NOAA経由でリアルタイムに電送される。ブイの配置は図1の通りである。これと連携・協力して、日本の海洋科学技術センターは同海域西部にTRITONブイと呼ばれるATLASブイに似たものを定置・運用している。
図1 太平洋赤道域のATLAS, TRITON, Subsurface ADCPブイの配置図
(ホームページより引用)
このホームページには、日々観測されているデータを基に、対象海域の海面水温と風向と風速の図が提供されている(図2)。上図は、海面水温と風の向きとその強さを、下図はそれらの平年偏差をそれぞれ示している。この情報は毎日更新されている。
図2 赤道海域の海面水温と風の状況 (ホームページより引用)
参考図書:佐伯理郎(2001)『エルニーニョ現象を学ぶ』成山堂書店。
reigai@ml.affrc.go.jp