水稲冷害研究チーム

2001年早期警戒情報


本情報は警戒担当者が現在注目している点をお知らせするものです。

2001年早期警戒情報(10月13日)
No.25
  - 早期警戒態勢解除のお知らせ -

 2001年産水稲の冷害警戒態勢を本日で解除いたします。
 本年の稲作は7月上旬までは比較的高温傾向で順調に進んでいました。しかし、7月中旬には葉いもちの多発と低温による影響が心配され始め、7月下旬〜8月にかけてかなりの低温と日照不足となり、減数分裂期から出穂・開花期の低温が作柄にどのように影響するかが早期警戒のポイントとなりました。
 8月上旬にモニター圃場において葉鞘褐変病とそれとは異なる褐変籾の多発に気づき、その後は各地を回り穂のサンプルを集め、不稔籾と褐変籾の発生状況、登熟歩合への影響などの調査・分析・診断に追われる日々が続きました。その間、わが子のように育てた稲を青刈りする生産者の姿や青刈りされた稲に、生産調整の現実の厳しさを痛感したこともあります。また傾穂しない稲を見ながら、おばあさんが“あ、穂がゆらいだ!”とうれしそうに声をもらした場面にも遭遇しました。そして、9月22,23日の最低気温の極端な低下には緊張させられ、その影響が26日にほぼ全域で葉の黄化として突如現れたことも忘れることができません。地域によってはあまりにも早い秋冷となり、登熟の停止が懸念されました。10月4日の青森県モニター圃場の坪刈りと現地調査、9日の生育作柄診断試験区の坪刈りをもって、本年度の活動をほぼ終えたといえます。この間緊張の続く約2か月を費やしました。
“冷害”という言葉は安易に使うべきではないと思いますが、現実の被害の実態と向き合ってきた水稲冷害研究チームにとっては、今シーズンは地域的に限定されるものの冷害年であったといえます。本年度の作柄は出穂・開花期の低温と日照不足に特徴づけられます。今後時間をかけてこの低温と日照不足の影響を精緻に分析したく考えています。
 さて、本システムの運営を支えて頂いた東北地域水稲安定生産推進連絡協議会の関係機関(仙台管区気象台、東北農政局、管内6県、東北農業研究センター)、東北大学・岩手大学の研究者やアメダス気象情報の提供とシステムの維持管理をして頂いた民間の方々に厚く御礼申し上げます。また、チームと生産現場との接点にある早期警戒モニターの方々、本年も技術的なヒントとたくさんの思い出を頂きました。また一般の方々からは難問を頂き、返事に困ったこともあります。それぞれの方々に感謝申し上げます。
最後になりますが、研究と実態調査・分析などのハードな活動を支えてくれたチームメンバーとその支援関係者には“本当にご苦労様でした”と申し上げたい。





 
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