図説:東北の稲作と冷害
苗いもち
育苗期の主要病害である苗いもちの診断・生態・防除を概説する。
苗いもち
いもち病菌は乾燥、低温条件では長期間生存できる。菌糸はわらや籾が室内で乾燥状態に保たれた場合、葉では約1年、節や籾では2年以上生存できる。屋外に放置した被害わらでは、いもち病菌は5月下旬まで高率に生存し、乾燥状態では6月中旬まで生存する。
本病の主要な第1次伝染源は被害わらと保菌種籾である。保菌籾による種子伝染は、箱育苗では特に注意が必要である。
育苗箱での苗いもちの発生様相は2つの型がある。
@ 播種後1週間目頃から鞘葉全体が暗灰色ないし褐変し、ときに菌糸がまとったり、分生子の形成がみられる。次いで、不完全葉や第1本葉に灰緑色で周縁褐色の紡錘形ないし不正形の病斑が現れる。
A 播種後2週間目ごろ、1.5葉期ごろになって苗が突然萎ちょうするもので、地際部は褐変し、後に苗は枯死する。
@ の症状は、病原菌が内外穎や護穎などに侵入あるいは付着している種籾の場合に、Aの症状は、病原菌が胚や玄米等に侵入している種籾の場合に、それぞれ発生しやすい。
本病の伝染環、誘因ならびに防除のポイントは下図の通り。
参考資料:大畑貫一(1989)稲の病害−診断・生態・防除−。全国農村教育協会。
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