図説:東北の稲作と冷害

品種解説:「出羽燦々」


本品種の障害型耐冷性は「美山錦」より優り"強〜やや強"である。名前の由来は「山形県が生んだ酒造好適米にふさわしく、印象の強い名前にしよう」と選ばれたのが、「出羽燦々」です。

品種解説:「出羽燦々」

1.来歴の概要
 「美山錦」を母とし、「青系酒97号」(のちの「華吹雪」)を父として、1985年に山形県農業試験場庄内支場で人工交配された。1991年に「山形酒49号」の系統名が付けられ、1997年に「出羽燦々」として登録された。

2.形態的特性
・稈 長:「美山錦」より短い。
・穂 長:「美山錦」並み。
・穂 数:「美山錦」よりやや少ない、"中稈穂重型"のうるち種である(下図参照)。
・粒 大:「美山錦」並み、粒厚は「美山錦」並みである。
・千粒重:「美山錦」より重い(下図参照)。

「出羽燦々」の特徴

3.生態的特性
・出穂期:「美山錦」より2日遅い。育成地では"中生の大粒心白品種"である。
・収量性:「美山錦」並みかやや劣る。
・耐倒伏性:"中"
・葉いもち抵抗性:"やや弱"
・穂いもち抵抗性:"中"
・耐冷性:"やや強"
・穂発芽性:"やや難"

特 性出羽燦々美山錦ササニシキ
耐冷性やや強やや強やや弱
耐倒伏性
葉いもち抵抗性やや弱
穂いもち抵抗性
穂発芽性やや難やや易

4.品質・食味特性
・心白発現率が高いため酒造用(もと米)に適する。
・蒸米吸水性は美山錦より優り、粗タンパクはやや低い。消化性も良く醸造適性が優れる。

5.適地等
・平坦の中山間寄り、中山間の平坦寄りの地帯。

6.栽培上の注意
・平方メートル当たり籾数が約3万粒を超すと、玄米千粒重、心白発現率、心白率が低下する傾向がみられる。
・タンパク質含有率は平方メートル当たり約2.8万粒を超すと増加する傾向にある。
・このようなことから、高品質の酒米を生産するためには、平方メートル当たり籾数は約2.7万粒程度が最適である。
・目標とする平方メートル当たり穂数は320本で、収量は10a当たり560kg程度である。


<参考資料>
・平成11年3月発行、山形県「稲作指針」など。

 
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