図説:東北の稲作と冷害

品種解説:「じょうでき」


本品種の障害型耐冷性は「こころまち」「ササミノリ」より明らかに強く、耐冷性極強の基準品種「中母35」、「トドロキワセ」に優る“極強”である。名前の意味は、“(作り手側の)プライド、思いをみなさんに食べて欲しいとの思い”を表現する。

品種解説:「じょうでき」

1.来歴の概要
 耐病、良質、良食味系統「東北141号」(後の「こころまち」)を母とし、耐冷、耐病系統「東北142号」を父として、1988年に宮城県古川農業試験場で交配された。1994年に「東北157号」の系統名が付けられ、1997年に水稲農林352号として登録された。

2.形態的特性
・ 稈 長:「こころまち」「ササミノリ」並みである。
・ 穂 長:「こころまち」よりやや短く、「ササミノリ」よりやや長い。
・ 穂 数:「こころまち」と同程度で、「ササミノリ」よりやや少ない。。
・ 粒 大:「こころまち」よりやや大きく、「ササミノリ」並みである。
・ 千粒重:「こころまち」より大きく、「ササミノリ」並みである(下図参照)。

「じょうでき」の特徴

3.生態的特性
・ 出穂期:「こころまち」よりやや遅く、「ササミノリ」と同程度である。
・ 成熟期:「こころまち」よりやや遅く、「ササミノリ」と同程度であり、育成地では“中生の早”である。
・ 収量性:「こころまち」「ササミノリ」に優る(上図参照)。
・ 耐倒伏性:「ササミノリ」より強い。
・ 葉いもち抵抗性:“強”
・ 穂いもち抵抗性:“強”
・ 耐冷性:「こころまち」「ササミノリ」より明らかに強く、耐冷性極強の基準品種「中母35」、「トドロキワセ」に優る“極強”である。
・ 穂発芽性:“やや難”

特 性じょうできこころまち
耐冷性極強
耐倒伏性やや強
葉いもち抵抗性
穂いもち抵抗性
穂発芽性やや難やや難

4.品質・食味特性
・腹白、心白、乳白は「ササミノリ」と同程度である。
・ 玄米の外観品質は「こころまち」よりわずかに劣るが、「ササミノリ」より優れる。
・ アミロース含量は「こころまち」「ササミノリ」と同程度である。
・ タンパク質含量は「こころまち」並みで、「ササミノリ」よりやや低い。
・ 食味は「ササミノリ」より明らかに優り、「こころまち」並みかやや良好で、「ササニシキ」並みの“上の中”である。

5.適地等
・ 東北中南部の丘陵地帯および山間地帯に適する。

6.栽培上の注意
・ 耐倒伏性は「初星」並みであり、草姿が乱れ倒伏する可能性があるため、肥培管理に留意する。


<参考資料>
 農林水産省農林水産技術会議事務局(平成9年8月):平成9年農林水産省育成農作物新品種(夏作物・園芸作物)。

 
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