図説:東北の稲作と冷害

長期予報に用いられる基本量:東西指数


東西流型と南北流型
 偏西風の基本型には、西風の強い東西流型と西風の弱い南北流型とがある。東西流型の時は北に寒気、南に暖気があって気温傾斜が大きく、熱の南北交換は弱い(図1)。南北流型の時は北に暖気、南に寒気があって、熱の南北交換が大きい(図2)。
 偏西風の強弱を表す指数を東西指数という。普通、等圧面高度を北緯40度に沿って平均した値から北緯60度に沿って平均した値を差し引き、その量を東西指数としている。長期予報では平年からの偏差を用いる。
 偏差が正の時は平年より西風が強く、南と北の空気は混合しない。すなわち、東西指数の大きい時は熱交換は弱く、北極地方で寒気が蓄積され、亜熱帯地方で暖気が蓄積される。
 偏差が負の時は西風が平年より弱く、流れは蛇行して南と北の空気は混合する。蓄積された寒気を放出する。
 このように、東西指数偏差が正の期間は寒気の蓄積期、負の期間は寒気の放出期ということになる。
 現在、仙台管区気象台が発表する暖候期予報や3か月予報では、“極東東西指数”という表現でこの指数は用いられている。1991年以降の極東東西指数の7半旬移動平均をみると、1991年から1994年までは冬に高指数、夏に低指数傾向であった。その後目立った傾向は現れていない。大冷害の1993年は3月から8月まで低指数、また昨年の1996年は3月から7月まで低指数が続いた。
 3か月予報の偏西風の流れの解説を読むときは、上のような指数の意味を理解する必要がある。
参照:図説:ブロッキング高気圧と異常天候
   暖候期予報、3か月予報
 
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