図説:東北の稲作と冷害

最近の暖候期天候の特徴


 東北地方の暖候期天候は次のような特徴があります.
 表1は1980年以降の暖候期の天候を春,梅雨,盛夏ならびに初秋の時期別に要約したものである.このように各年次の特徴を表現できる.

表1 東北地方における1980年以降の暖候期の天候(仙台管区気象台提供)

(作況)
春(4月〜5月)梅雨期(6月〜7月)盛夏期(8月)初秋(9月)
1980
( 78)
4月低温,晩霜前半不活発,後半活発低温,多雨,寡照低温
1981
( 85)
5月低温低温,寡照短い夏,多雨,水害低温,早冷
1982
( 96)
4月低温,霜低温,出梅遅短い夏,多雨,水害台風
1983
( 98)
暖春,山林火災低温,7月寡照,出梅遅大雨台風,秋雨
1984
(108)
寒春,大雪高温,少雨猛暑,少雨少雨
1985
(108)
並春梅雨活発猛暑,少雨秋雨顕著
1986
(104)
3月5月低温梅雨活発,低温短い夏,台風,多雨少雨,残暑
1987
(104)
寒暖変動大一時高温,出梅遅低温,天気不安定少雨
1988
( 85)
寒暖変動大梅雨活発,低温熱低多発,不安定秋雨活発
1989
( 98)
暖春,雷雨梅雨活発,6月低温雷多,台風,不安定残暑,秋雨,寡照
1990
(104)
暖春6月高温残暑,少雨残暑,秋雨,台風
1991
( 91)
暖春活発,高温,出梅遅低温,多雨台風多,長雨
1992
(100)
5月低温6月低温,中休み顕著寒暖変動大,少雨残暑,少雨
1993
(56)
寒暖変動大低温,多雨,寡照低温,寡照,台風秋雨一時活発
1994
(107)
暖春,4月少雨梅雨不活発,少雨猛暑,少雨高温,多雨
1995
( 96)
暖春,寡照,多雨低温,寡照,梅雨活発多雨,水害,寡照早冷,寒暖変動大
東北地方の夏期間(6月〜8月)の平均気温の平年偏差
図1は1946年以降の東北地方の夏期間(6月〜8月)の平均気温の平年偏差を図示したものである.これによると,1960年頃までは暑い夏と寒い夏とが頻繁に現れたが,1961年頃から約15年間は安定してあまり変動のない期間となっている.しかし,1976年以降再び暑い夏と寒い夏とが頻繁に現れるようになり,変動の大きな期間となっている.

東北地方の夏の気温階級出現頻度
 また,図2は1961年〜1975年と1976年〜1994年までのそれぞれの期間で,平年偏差による3階級(平年より高い,平年並み,平年より低い:平年並みの範囲は東北地方の平均気温平年偏差が-0.5〜+0.3度である)に分類したものである.これによると,1961年〜1994年の期間は平年並みの頻度が高かったが,1976年以降最近では平年並みの夏が少なく,寒い夏と暑い夏の頻度が平年並みより高くなっているのが特徴である.
 このように,最近の暖候期の天候は変動が大きくなっている.

 
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