図説:東北の稲作と冷害

梅雨期の主役オホーツク海高気圧とヤマセ


オホーツク海高気圧とヤマセ
梅雨期の主役オホーツク海高気圧とヤマセ
 オホーツク海高気圧が日本列島に張り出すと,北海道から関東までの大平洋側では冷たく湿った北東気流が吹きつける(右図参照)。 霧に覆われ,冷たい雨を降らせる。長く続くと稲をはじめ,野菜や果実の生長を著しく抑える。 冷害の原因となり,東北地方では「ケガジ(飢饉)」は海から来る」という諺がさえもある。
 北東気流を「ヤマセ」とも言うが,このヤマセが吹くと海岸から5〜10kmぐらいまでの地域では,低い雨雲に覆われて霧雨が降る。 この霧雨が生活の基盤である大地を冷やし,夏といえどもストーブが必要となる。
 ヤマセはもともとこの冷涼な風のことではない。 山の背(尾根)から吹いてくる風,山を越えて吹き下ろす風をいう。日本各地で山からの風をやませという所が多く,山形県飽海郡や愛媛県伊予地方,石川県白峰村,島根県出雲地方,京都府竹野郡網野町などではやませを山から吹き降ろす風といい伝えている。
 しかし,東北では山とほとんど関係ないのに「ヤマセ」が冷涼な海風をさすのにはいろいろな説がある。 悪天のくらい海から吹いてくる闇風がなまったものとか,やんでほしいという気持ちから「ヤマセ」という説もある。
 東北の大平洋側でヤマセが吹くと,反対側の日本海側ではフェーン現象で「だし」という乾燥した高温な風が吹く。
 (日本農業新聞,1996年6月8付け,森羅万象より引用,作図:鳥越 洋一)

 
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