水稲冷害研究チーム

1999年早期警戒情報


1999年早期警戒情報(8月7日)

No.17

 仙台管区気象台が6日発表した向こう1か月の予報内容は次の通りです。
 東北地方は、太平洋高気圧に覆われて、平年同様晴れの日が多い。前半を中心に雨の少ない状態がつづく見込み。後半は低気圧や前線の影響を受け、一時天気がぐずつく。著しい高温はこの先一週間程度つづく見込み。その後も、平年並から高めで経過する。この期間の平均気温は高い見込み。
 第1週目(8月7日〜8月13日):期間の中頃までは太平洋高気圧に覆われて晴れて暑い日が続く。期間の終わり頃は気圧の谷の影響で曇る日がある。平均気温は高い見込み。
 第2週目(8月14日〜8月20日):太平洋高気圧に覆われて、平年同様晴れの日が多い。
 平均気温は高い見込み。
 このように気温は、平年よりかなり高く推移すると予想されます。
 上空の偏西風の流れ、オホーツク高気圧指数などの予測を参考に総合的に判断すると、今後とも東北地方では太平洋高気圧が張り出し、著しい高温が続く可能性が高いと予想されます。



8月6日発表:1ヶ月予報(8月5日から9月6日)

 月11日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
126.731.423.70.04.226.731.422.70.16.72.93.22.4-5.52.1
227.132.521.40.011.027.932.723.40.09.24.34.73.6-3.73.9
328.133.323.00.79.828.534.123.10.19.84.35.33.0-4.84.7
425.831.321.10.06.827.533.022.70.08.94.45.23.4-4.54.3
528.633.623.90.08.728.734.423.10.09.53.94.62.4-4.44.2
624.628.221.20.03.925.830.821.10.18.03.13.72.4-6.83.6
727.231.724.10.04.926.831.223.10.06.73.03.22.7-5.22.2
824.927.622.70.02.125.629.721.80.08.13.64.12.9-4.23.8
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。



                              8月13日現在
平均気温最高気温最低気温
  〜26.0℃
26.0〜28.0℃
28.0〜30.0℃
30.0℃以上
  〜30.0℃
30.0〜32.5℃
32.5〜35.0℃
35.0℃以上
  〜20.0℃
20.0〜22.5℃
22.5〜25.0℃
25.0℃以上


現在、東北地域の水稲の生育は出穂・開花・受精期から乳熟始めにあり、作柄を左右する最も重要な発育段階にあります。
過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。気温は特に日本海側の地帯3と5では著しく高く、また降水量は全般に少なく推移しています。高温によっても障害不稔が発生します。最も敏感な時期は開花・受精期で、次いで穂ばらみ期です。(低温の場合とは順位が逆転します。)
また、乳熟期から糊熟期の期間に著しい高温に遭遇すると、小粒化や乳白・腹白・心白・背白・基白粒などが多発し玄米の粒質が著しく低下することがあります。このことは、平成6年度に一等米比率が著しく低下したという苦い経験を思い起こして下さい。
今後は日本海側を中心に著しい高温(上図の警戒メッシュ)やフェーン現象の発生等に特に警戒し、また各県の稲作技術・予察情報ならびにホームページの『図説:水管理』『生育・作柄情報』−『発育予測情報(穂の発育編)』頁などを参考にして、適正な水管理と用水の確保ならびに穂いもち防除を徹底して下さい。

<著しい高温の場合>
● 常時深水で湛水。可能ならば掛け流し灌漑による水田・稲体温度環境の制御
● 灌漑用水の確保と計画的利用

<高温時>
●根の活力維持のための間断灌漑

 


警戒メッシュ説明:
 上図は平均・最高・最低気温の過去7日間平均値を水田分布メッシュ対象で示したものです。高温障害回避のための水管理の参考にして下さい。
 なお、気温区分には下の基準温度等を参考にしています。
 ○ 高温障害に注意が必要な最高気温:35度以上
 ○ 平均(30度)と最低気温(25度)については、高温の程度を把握できるように区分した。
 注)図の色分けは冷害対応となっているため、低温側が“赤”、高温側が“緑”となっています。そのため、緑の地帯が警戒の必要なことを示します。

 
 
ホームページ参照:

 
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