水稲冷害研究チーム

1999年早期警戒情報


1999年早期警戒情報(7月31日)

No.16

 仙台管区気象台が30日発表した向こう1か月の予報内容は次の通りです。
 東北地方は、太平洋高気圧に覆われて、平年同様晴れの日が多い。しかし、前線や低気圧の影響を受け、一時天気がぐずつく。平均気温は高い。
この先2週間の予報内容は次の通り。
 第1週目(7月31日〜8月6日):太平洋高気圧に覆われて晴れて暑い日が続く。明日(31日)、日本海側北部では太平洋高気圧の回りをまわる南からの湿った気流の影響で、雨の降る所がある。平均気温は高い。
 第2週目(8月7日〜8月13日):太平洋高気圧に覆われて、平年同様晴れの日が多い。一時前線や低気圧の影響を受け、天気がぐずつく。平均気温は高い。
このように気温は、平年よりかなり高く推移すると予想され、また、同日に「高温に関する東北地方気象情報 第2号」も出され、『向こう一週間も最高気温の高い状態が続く』見込みです
上空の偏西風の流れ、オホーツク高気圧指数、台風の進路などの予測を参考に総合的に判断すると、今後とも太平洋高気圧が張り出し、著しい高温が続く可能性が高いと予想されます。


7月30日発表:1ヶ月予報(7月29日から8月30日)

 月5日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
126.430.722.50.03.827.032.122.70.29.53.44.12.6-5.35.8
227.531.823.70.06.727.332.322.91.48.84.04.63.4-2.32.2
328.433.623.50.07.127.733.322.51.79.63.74.72.7-3.63.7
427.832.723.10.08.327.432.922.41.49.14.55.43.4-2.63.0
528.433.623.20.06.128.234.122.70.210.43.64.72.3-4.54.7
625.930.720.80.07.626.732.421.50.610.54.35.53.2-6.36.1
726.630.823.40.03.326.831.622.90.09.03.43.92.8-4.85.2
825.029.521.00.07.626.231.121.71.08.84.55.93.2-2.83.3
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。



                              8月6日現在
平均気温最高気温最低気温
  〜26.0℃
26.0〜28.0℃
28.0〜30.0℃
30.0℃以上
  〜30.0℃
30.0〜32.5℃
32.5〜35.0℃
35.0℃以上
  〜20.0℃
20.0〜22.5℃
22.5〜25.0℃
25.0℃以上


現在、東北地域の水稲の生育は減数分裂期前後から出穂・開花・受精期にあり、作柄を左右する最も重要な発育段階にあります。
過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。気温は平年より著しく高く、また降水量は全般に少なく推移しています。高温によっても障害不稔が発生します。最も敏感な時期は開花・受精期で、次いで穂ばらみ期です。(低温の場合とは順位が逆転します。)
今後の高温(上図の警戒メッシュ)やフェーン現象の発生等に特に警戒し、また各県の稲作技術・予察情報ならびにホームページの『図説:水管理』『生育・作柄情報』−『発育予測情報』『葉いもち予察情報』頁などを参考にして、適正な水管理と用水の確保ならびに穂いもち防除を徹底して下さい。

<著しい高温の場合>
● 掛け流し灌漑による水田・稲体温度環境の制御

<高温時>
●根の活力維持のための間断灌漑
 


警戒メッシュ説明:
上図は平均・最高・最低気温の過去7日間平均値を水田分布メッシュ対象で示したものです。高温障害回避のための水管理の参考にして下さい。
なお、気温区分には下の基準温度等を参考にしています。
○ 高温障害に注意が必要な最高気温:35度以上
○ 平均(30度)と最低気温(25度)については、高温の程度を把握できるように区分した。
注)図の色分けは冷害対応となっているため、低温側が“赤”、高温側が“緑”となっています。そのため、緑の地帯が警戒の必要なことを示します。

 
○高温に関する東北地方気象情報 第2号
平成11年7月30日10時30分仙台管区気象台発表

(見出し)
 東北地方は、向こう一週間も最高気温の高い状態が続く見込みです。

(本文)
 東北地方は、太平洋高気圧に覆われ、太平洋側では23日頃から、日本海側では26日頃から最高気温の高い状態が続いています。
 今後一週間も気温の高い日が続く見込みです。
 熱射病や日射病等、特に戸外での作業には十分注意して下さい。また、農作物、家畜、水産養殖物などの管理に注意して下さい。
 
 7月23日から29日までの観測値(単位は℃)(速報値)
 
   最高気温の平均(平年差)  期間中の最高気温(平年差)  
青森  31.6(+4.2)  28日 34.4(+6.6) 
秋田  31.8(+3.7)  27日 36.4(+8.0)
盛岡  31.7(+3.2)  27日 35.3(+6.6)
山形  34.5(+4.1)  27日 37.8(+7.1)
仙台  32.9(+5.1)  27日 33.9(+6.0)
福島  34.9(+4.3)  26日 36.0(+5.3)

  なお、今後、地元気象台が発表する情報に留意して下さい。



 
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