水稲冷害研究チーム

2004年早期警戒情報


2004年早期警戒情報(7月30日)
No.15
 仙台管区気象台が30日発表した向こう1か月予報によると、この期間の天気は、太平洋高気圧に覆われて平年と同様に晴れの日が多いが、2週目を中心に前線や寒気の影響で天気がぐずつく。
 平均気温は均してみると高い予想です。予想される気温区分確率は、第1週については、低い可能性が10%、同平年並30%、同高い60%。同じく第2週については低い可能性が20%、同平年並み50%、同高い30%です。この先2週間の天候予想は次の通りです。

第1週目(7月31日〜8月6日):太平洋高気圧に覆われて概ね晴れるが、期間の終わりは気圧の谷の影響で曇る所がある。
 平均気温は高い。

第2週目(8月7日〜8月13日):前線や寒気の影響で天気がぐずつき、平年に比べ晴れの日が少ない。
 平均気温は平年並。

 また、この先1週間における偏西風の流れの予想によると、偏西風は北上し、東北の東海域に中心をもつ高気圧に広く覆われる見込みです。



7月30日発表:1ヶ月予報(7月31日から8月30日)

 8月6日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
126.531.523.110.54.526.130.822.31.57.22.42.72.1-3.73.1
224.928.223.234.50.326.731.123.25.05.73.43.43.60.80.4
325.527.923.940.31.327.432.323.27.96.83.13.62.72.31.2
424.426.822.741.60.726.431.022.66.06.23.53.63.41.11.5
526.229.623.615.72.327.733.122.92.37.93.03.52.4-2.32.3
624.928.721.627.44.025.930.621.83.97.93.74.23.4-1.63.4
726.030.522.81.53.825.730.022.40.26.02.12.12.2-3.71.6
824.026.222.619.42.025.229.021.82.86.43.43.83.0-1.82.1
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。


                              8月6日現在
 現在、東北地域の水稲は減数分裂期から出穂期にあります。
 過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。平均気温は全般的にかなり高く推移しています。今後も平均気温はかなり高く推移すると予想されています。東北の基幹品種はこれから出穂・開花時期を迎えます。この時期はイネが最も水を必要とする重要な時期でもあります。
 また、台風第10号の進路によっては、フェーン現象が日本海側で発生しやすくなります。この先数日はフェーン現象に対する警戒が必要です。台風は日本海に抜け、その後は東北の東海上に中心をもつ高気圧に広く覆われる予想です。過去、そのような気圧配置となると、東北は猛暑に見舞われたことがあります。斑点米カメムシ類の異常発生や登熟期の高温障害の発生に警戒してください。
 このようなことから、本情報にある幼穂と玄米発育予測、葉いもち予察、高温障害に関する参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、穂いもちと斑点米カメムシ類の防除の徹底や普段の水管理などには細心の注意を払って下さい。

 ○猛暑時:出穂・開花時の深水管理の徹底。用水が制限なく利用できるところでは、掛け流し管理。

 なお、いもち病の発生予察に関しては、管内全県で注意報が出されています。また、秋田県では穂いもちに関する警報が出されました。梅雨明け前に感染好適条件が頻発し、葉いもちの発生が予想されます。上位葉の葉いもち病斑は穂いもちの感染源となるため、穂いもち予防防除を徹底するとともに、葉いもちの発生がみられたら直ちに茎葉散布剤で防除してください。
 
警戒メッシュ説明:
 右図は平均気温の過去5日間平均値を水田分布メッシュ対象で示したものです。栽培管理等の参考にして下さい。
 なお、平均気温区分には次の基準温度を参考にしています。
  ○高温障害に警戒が必要:27度以上
  ○高温障害に注意が必要:26度〜27度
 
  〜25℃
25〜26℃
26〜27℃
27℃以上

警戒メッシュ説明:
 右図は最低気温の過去5日間平均値を水田分布メッシュ対象で示したものです。栽培管理等の参考にして下さい。
 なお、最低気温区分には次の基準温度を参考にしています。
  ○高温障害に警戒が必要:24度以上
  ○高温障害に注意が必要:23度〜24度
 
  〜22℃
22〜23℃
23〜24℃
24℃以上

<特記事項>
・福島県(6月11日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・秋田県(6月17日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・秋田県(7月1日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・岩手県(7月1日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・青森県(7月5日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月7日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月7日):斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・山形県(7月9日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・岩手県(7月15日):穂いもちに関する注意報が出されています。
・秋田県(7月14日):アカヒゲホソミドリカスミカメによる斑点米の注意報が出されています。
・秋田県(7月15日):いもち病緊急情報が出されています。
・福島県(7月15日):イネ斑点米カメムシ類の注意報が出されています。
・宮城県(7月23日):穂いもちに関する注意報が出されています。
・山形県(7月23日):穂いもちに関する注意報が出されています。
・秋田県(7月23日):穂いもちに関する警報が出されています。
・岩手県(7月28日):穂いもちに関する注意報が出されています。
・青森県(7月29日):穂いもちに関する注意報が出されています。
・岩手県(7月30日):カスミカメムシ類に関する注意報が出されています。
・栽培管理上参考にすべき各種気象情報については、仙台管区気象台ホームページの「気象情報発表」コーナー(http://www.sendai-jma.go.jp/)を参照ください。

ホームページ参照:

 
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