水稲冷害研究チーム

1998年早期警戒情報


1998年早期警戒情報(7月11日)

No.12

仙台管区気象台が10日発表した予報によると、向こう1か月は前半にオホーツク海高気圧や梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多くなり、後半には太平洋高気圧に覆われ晴れる日が多く、平均気温はならしてみると平年並の見込みとなっている。しかし特記すべきは、第1週目にはオホーツク海高気圧の影響で寒気が入り気温の低い日が続く予想となっていることです。
なお、この先2週間の予報内容は次の通り。
第1週目(7月11日〜7月17日):オホーツク海高気圧の影響で、太平洋側では曇りの日が多いが、日本海側では晴れる日もある。平均気温は低い見込みです。
第2週目(7月18日〜7月24日):梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多く、平均気温は平年並。
このように、今後1週間は気温がかなり低く、太平洋側を中心に日照の少ない状態が続くと見込まれています。


7月10日発表:1ヶ月予報(7月9日から8月10日)

 7月16日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
116.619.613.80.21.518.823.015.52.13.2-2.2-1.9-2.4-3.11.2
218.124.112.30.011.219.024.014.70.26.9-1.6-0.5-2.6-4.43.7
320.126.314.60.010.720.224.716.20.46.9-1.3-0.8-1.7-5.93.6
417.222.911.00.010.117.722.213.60.46.3-2.3-1.9-3.0-4.03.3
520.527.015.30.09.821.126.017.21.06.7-1.1-0.5-1.4-5.13.4
614.617.711.80.11.916.119.912.81.43.7-3.5-3.3-3.4-3.51.6
716.820.014.00.11.719.123.515.72.24.1-1.8-1.2-2.2-3.22.2
816.120.011.70.09.516.219.412.80.75.2-1.9-1.7-2.8-3.62.8
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。


                              7月16日現在
 現在、東北地域の水稲は全般的には最高分げつ期〜幼穂形成期にあります。ただ、7月25日前後に出穂が見込まれる早生品種では危険期である減数分裂期に入り始めます。
 今後1週間程度は、「やませ」の影響で太平洋側を中心に気温が低くまた日照の少ない状態が続くと予想されます。穂数と1穂籾数確保の重要な時期に当たります。各県の技術・予察情報と左図を参考にして、適正な水管理と肥培管理を実施してください。
 特に、幼穂形成期から減数分裂期直前までの前歴深水管理(水深10cm)と危険期である減数分裂期の深水管理(同17〜20cm)は障害不稔を回避する顕著な効果があります。

○ 低温時:深水管理(前歴深水と危険期深水管理)
○ 葉いもち防除
○ 適正な追肥
○ 計画的な水利用
 
警戒メッシュの説明:
 図は平均気温の過去7日間平均値を水田分布メッシュ対象(白色の部分は対象外)で示したものです。冷温障害の監視ならびに水管理の参考にするために作成しました。
 なお、気温区分には下の基準温度を参考にしました。
  ○ 前歴・危険期深水管理の要実施:17度
  ○前歴・危険期深水管理の要実施:19度
  ○ 水管理に要注意:21度
 
       〜17℃前歴・危険期深水管理の要実施
     17〜19℃前歴・危険期深水管理の要実施
     19〜21℃水管理注意
     21℃以上

 オホーツク海高気圧の発達が始まった7月10日以降、現在までの平均気温の平均値に基づいて冷温障害発生に警戒の必要な地域を左図に示します。
 気温の区分は次の通りです。
 
       〜17℃冷温障害要警戒
     17〜19℃冷温障害警戒
     19〜21℃冷温障害注意
     21℃以上

特記事項  ○ 秋田県・福島県に「葉いもち注意報」が8,9日に相次いで発令されました。早期発見・早期防除に努めてください。  ○ 気象庁は10日、北海道、東北の低温と日照不足に関する気象情報を発表し、「北海道は11日頃から、東北地方は12日頃から1週間は低温と日照不足が続くとみられる」と農作物の管理に注意を呼びかけています。
 
ホームページ参照:

 
Home Back Next Return Iken
 

reigai@tnaes.affrc.go.jp