水稲冷害研究チーム

1998年早期警戒情報


1998年早期警戒情報(7月25日)

No.14

 仙台管区気象台が24日発表した予報によると、向こう1か月は太平洋高気圧の勢力が弱く、また、オホーツク海高気圧や気圧の谷の影響で太平洋側を中心に平年に比べ曇りや雨の日が多く、平均気温は低い見込みとなっています。
 なお、この先2週間の予報内容は次の通り。
 第1週目(7月25日〜7月31日):梅雨前線やオホーツク海高気圧の影響で、太平洋側を中心に曇りや雨の日が多く、平均気温は低い見込み。
 第2週目(8月1日〜8月7日):太平洋高気圧の勢力が弱く、オホーツク海高気圧や気圧の谷の影響を受け、太平洋側を中心に曇りや雨の日が多く、平均気温は平年より低い見込み。
 このように、1,2週目はオホーツク海高気圧の影響で太平洋側を中心に曇りがちの日が続き、気温は低いと見込まれています。


7月24日発表:1ヶ月予報(7月23日から8月24日)

 7月31日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
120.422.518.80.90.123.126.420.86.21.7-0.1-1.11.10.3-2.0
220.223.717.91.32.823.027.120.02.34.00.20.00.9-2.0-1.1
322.726.119.64.91.825.629.922.14.14.92.12.22.4-1.7-0.0
419.222.117.10.62.122.025.719.21.93.2-0.4-1.20.6-2.6-0.8
522.926.520.27.10.825.930.422.59.15.21.71.62.33.2-0.2
618.019.316.71.30.021.224.118.84.22.1-0.1-1.21.3-3.3-1.9
720.322.618.72.00.323.326.520.96.11.70.3-0.91.30.3-2.2
817.619.516.20.30.219.321.717.80.71.7-1.6-2.5-0.3-3.7-2.0
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。



                              7月31日現在
 現在、東北地域の水稲は幼穂形成期から減数分裂期にあります。この時期、異常な低温に長期間遭遇すると、冷害の最も大きな原因となる障害不稔が多発します。
 7月11日から現在まで、太平洋側を中心に低温傾向がかなり長く続いています。
 さらに、今後1、2週間程度は、オホーツク海高気圧などの影響で太平洋側を中心に気温が低くまた日照の少ない状態が続くと予想されています。東北地域の水稲はこれから8月上旬にかけて危険期を迎えまので、厳重な警戒が必要です。各県の技術・予察情報と左図を参考にして、適正な水管理と肥培管理を実施してください。
 特に、幼穂形成期から減数分裂期直前までの前歴深水管理(水深10cm)と危険期である減数分裂期の深水管理(同17〜20cm)は障害不稔を回避する顕著な効果があり、これらを組み合わせると回避効果が増幅されます。この効果がいかに大きいかは図説:東北の稲作と冷害「前歴深水と危険期深水の組み合わせ効果」を参照ください。

○ 低温時:深水管理(前歴深水と危険期深水管理)
○ 適正な追肥
○ 葉いもち防除
 
警戒メッシュの説明:
 図は平均気温の過去7日間平均値を水田分布メッシュ対象(白色の部分は対象外)で示したものです。冷温障害の監視ならびに水管理の参考にするために作成しています。
 なお、気温区分は下の基準温度を参考にしました。
 ○ 前歴・危険期深水管理の要実施:18度以下
 ○危険期深水管理の要実施:20度以下
 ○ 水管理に要注意:22度以下
 
       〜18℃前歴・危険期深水管理の要実施
     18〜20℃危険期深水管理の要実施
     20〜22℃水管理に要注意
     22℃以上

特記事項  ○ 青森県・岩手県・秋田県・福島県に「葉いもち注意報」が発令されています。早期発見・早期防除に努めてください。  ○ 気象庁は7月24日、低温と日照不足に関する情報を発表し、北海道と東北、関東甲信地方で今後1〜2週間、低温と日照不足となる可能性が強いとし、注意を呼びかけています。
 
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