水稲冷害研究チーム

1998年早期警戒情報

1998年早期警戒情報（8月1日）

No.15

	8月7日現在
現在、東北地域の水稲は減数分裂期直前から出穂期にあります。この時期、異常な低温に遭遇すると、障害不稔が多発します。また低温が長期にわたると生育遅延やいもち病の発生が懸念されます。 オホーツク海高気圧の影響で７月２９日から、太平洋側を中心に低温が続いています。 　さらに、今後１、２週間程度は、オホーツク海高気圧や前線の影響により東北全域で気温が低くまた日照の少ない状態が続くと予想されています。東北地域の水稲はこれから８月上・中旬にかけて危険期と出穂・開花期を迎えますので、冷温障害やいもち病の発生に厳重な警戒が必要です。各県の技術・予察情報と左図を参考にして、適正な水管理、肥培管理といもち病防除を徹底してください。 　特に、幼穂形成期から減数分裂期直前までの前歴深水管理（水深10cm）と危険期である減数分裂期の深水管理（同17〜20cm）は障害不稔を回避する顕著な効果があり、これらを組み合わせると回避効果が増幅されます。この効果がいかに大きいかは図説：東北の稲作と冷害「前歴深水と危険期深水の組み合わせ効果」を参照ください。 ○ 深水管理（前歴深水と危険期深水管理） ○ 適正な追肥 ○ 葉いもち防除
警戒メッシュの説明： 　図は平均気温の過去７日間平均値を水田分布メッシュ対象（白色の部分は対象外）で示したものです。冷温障害の監視ならびに水管理の参考にするために作成しています。 　なお、気温区分は下の基準温度を参考にしました。 　○ 前歴・危険期深水管理の要実施：１８度以下 　○ 危険期深水管理の要実施：２０度以下 　○ 水管理に要注意：２２度以下
〜18℃ 前歴・危険期深水管理の要実施 　　　　　 18〜20℃ 危険期深水管理の要実施 　　　　　 20〜22℃ 水管理に要注意 　　　　　 22℃以上
オホーツク海高気圧の影響が出始めた７月２９日以降、現在までの平均気温の平均値に基づいて冷温障害発生に警戒の必要な地域を左図に示します。 　気温の区分は次の通りです。
〜18℃ 冷温障害要警戒 　　　　　 18〜20℃ 冷温障害警戒 　　　　　 20〜22℃ 　　　　　 22℃以上
特記事項： ○ 宮城県・福島県に「穂いもち注意報」が発令されています。早期発見・早期防除に努めてください。 ○ 低温注意報が１日午前５時半現在、青森県太平洋側、岩手県、宮城県、福島県中通りと浜通りに出されています。
ホームページ参照： 東北地方のアメダス実況情報 アメダス監視地点の気象経過図 早期警戒地点の水温経過図 東北６県技術情報 東北６県予察情報 やませと水温の変化 幼穂分化から出穂までの水管理のポイント 前歴深水管理の効果 前歴深水と危険期深水の組み合わせ効果 深水管理の障害不稔回避メカニズム 低温に弱い稲の生育ステージ