水稲冷害研究チーム

2001年早期警戒情報


本情報は警戒担当者が現在注目している点をお知らせするものです。

2001年早期警戒情報(7月21日)
No.13
 仙台管区気象台が20日発表した向こう1か月予報によると、この期間、太平洋高気圧に覆われ平年と同様に晴れて暑い日が多いが、期間の中頃を中心に前線や寒気の影響を受け易く、雨や雷雨となる時期もある見込み。平均気温は平年並か高い。
 平均気温は均してみると平年並か高い予想です。1か月予報のアンサンブルメンバーのばらつきの程度は2週目以降大きくなり、2週目以後の予報の信頼性は低いと判断されます。予想される気温区分確率は低い可能性が20%、同平年並み40%、同高い40%。この先2週間の天候予想は次の通りです。
 第1週目(7月21日〜7月27日):期間の初めは大気の状態が不安定なためにわか雨の所があるが、その後は高気圧に覆われて概ね晴れる見込み。平均気温は高い。
 第2週目(7月28日〜8月3日):太平洋高気圧に覆われ晴れて暑い日もあるが、前線や寒気の影響で雨や雷雨となる日が多い。平均気温は平年並。
 また、この先1週間における偏西風の流れの予想によると、偏西風は北上し、南から太平洋高気圧に広く覆われる予想ですが、後半には蛇行の程度が大きくなり北のオホーツク海高気圧の影響を受ける可能性もあります。



7月20日発表:1ヶ月予報(7月21日から8月20日)

 7月26日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
122.526.219.70.23.025.630.321.71.65.62.83.32.3-2.92.2
222.728.118.60.07.824.328.420.61.24.71.91.71.9-2.30.1
323.828.420.10.88.225.029.021.52.04.91.61.22.1-1.60.0
421.726.318.20.14.823.527.720.01.94.01.51.21.6-1.90.1
524.129.320.43.58.125.930.621.60.86.52.12.11.7-3.80.9
619.922.617.60.50.423.227.819.51.44.82.63.42.3-1.91.0
722.527.019.30.04.625.430.421.40.46.42.73.42.0-2.82.9
819.321.816.70.80.621.324.618.61.62.51.11.11.0-1.8-1.4
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。



 現在、東北地域の水稲は花粉母細胞分化期から減数分裂期にあり、障害型冷害の危険期に入っています。
 過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。北部太平洋側では海風の影響で気温が低くなりましたが、太平洋高気圧が南から張り出し、気温は全般に平年よりかなり高く推移しています。気温は今後とも平年並みから高く推移すると予想されます。
 現在、水稲の生育は平年より3〜10日程度進んでいると予想されます。このようなことから、本情報にある気象障害監視のポイント、各種気温指標、葉齢進度予測、幼穂発育予測や葉いもち予察情報、参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、水管理、追肥や葉いもちの防除などには細心の注意を払って下さい。
特に、葉いもちの発生と蔓延には警戒が必要です。早期発見と防除を徹底して下さい。

○高温時:間断灌漑による有害物質の発生防止。
○低温時:前歴深水管理と危険期深水管理による障害回避。

7月27日現在
警戒メッシュ説明:
 右図は平均気温の過去7日間平均値で低温被害を監視する目的で、水田分布メッシュを対象に示したものです。前歴・危険期深水管理等の栽培管理の参考にして下さい。なお、警戒メッシュは平均気温は前7日間の移動平均を用いて下の基準温度を使用しています。(詳細は気象障害監視のポイントを参照。)

@平均気温17℃以下:かなりの被害が予想されるため深水管理を実施する。
A平均気温17℃〜20℃:耐冷性の弱い品種などでは被害が予想されるため、深水管理を実施する。
B平均気温20〜22℃:予防的な深水管理の実施を検討する。
C平均気温22℃以上:被害は予想されない。
  〜17℃低温障害警戒
17〜20℃低温障害警戒
20〜22℃低温障害要注意
22℃以上
<特記事項>
・葉いもちの感染好適条件がほぼ全域で頻度高く現れています。一部警戒の必要な地点を観察したところ、葉色の濃い圃場に葉いもちの発生が高い確率で確認されました。いもち病の早期発見と適切な防除に努めてください。
・山形県(19日付け)で斑点米カメムシ類に関する警報と葉いもちに関する注意報が出されています。
・秋田県(13日付け)では葉いもちに関する注意報が出されています。
・岩手県(5日付け)、宮城県(6日付け)、福島県(13日付け)、秋田県(16日付け)では斑点米カメムシに関する注意報が発令されています。
 
ホームページ参照:

 
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