水稲冷害研究チーム

2001年早期警戒情報


本情報は警戒担当者が現在注目している点をお知らせするものです。

2001年早期警戒情報(8月11日)
No.16
 仙台管区気象台が10日発表した向こう1か月予報によると、この期間、太平洋高気圧に覆われて平年と同様に晴れの日が多く、残暑の厳しい日もあるが、前線や低気圧の影響で天気のぐずつく時期がある。なお、東北太平洋側を中心に続いていた気温の低い状態は、期間のはじめに解消する見込み。平均気温は平年並か高い見込み。。
 平均気温は均してみると平年並か高い予想です。1か月予報のアンサンブルメンバーのばらつきの程度は2週目以降大きくなり、太平洋高気圧や台風の動きによっては2週目以後の予報の内容は変わりうると判断されます。予想される気温区分確率は低い可能性が20%、同平年並み40%、同高い40%です。この先2週間の天候予想は次の通りです。
 第1週目(8月11日〜8月17日):期間の初めは前線の影響で曇りや雨の降るところもあるが、その後は概ね晴れる。平均気温は平年並。
 第2週目(8月18日〜8月24日):太平洋高気圧に覆われ平年と同様に晴れの日が多いが、前線や低気圧の影響で天気のぐずつく日がある。平均気温は平年並。
 また、この先1週間における偏西風の流れの予想によると、偏西風の位置は北上し、高気圧に覆われる見込みですが、中心の位置が北に偏る可能性もあります。



8月10日発表:1ヶ月予報(8月11日から9月10日)

 8月17日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
122.727.918.61.37.522.126.119.32.92.9-1.6-2-1-1.7-2
222.928.118.909.122.827.419.50.16-0.6-0.4-0.1-3.80
325.531.421.209.724.829.5210.76.60.50.50.7-2.60
42227.118.60.17.922.226.519.30.24.5-0.8-1.20.1-4.4-0.2
525.531.221092529.821.31.75.90.20.10.7-2.4-1.1
619.62415.62.56.320.424.117.71.93.3-1.5-1.6-0.7-1.8-2.1
723.128.219.507.922.426.319.62.93.3-1.2-1.6-0.5-0.5-1.6
82022.818.10.44.720.222.718.20.22.3-1.7-2.6-0.7-4.4-1.7
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。



 現在、東北地域の水稲は減数分裂期から傾穂期にあり、障害型冷害の最も危険な時期にあります。
 過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。太平洋側ではオホーツク海高気圧による偏東風(やませ)の影響で気温が著しく低くなっています。この低温傾向は今後解消されると予想されます。
 現在、水稲の生育はこのところの低温でやや遅れてきています。このようなことから、本情報にある気象障害監視のポイント、各種気温指標、葉齢進度予測、幼穂発育予測や葉いもち予察情報、参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、水管理、穂いもちとカメムシ類の防除などには細心の注意を払って下さい。
 特に、穂いもちの発生と蔓延には警戒が必要です。防除を徹底して下さい。

○低温時:生育時期に応じた水管理による障害回避。
○高温時:気温が異常に高くなる場合には、乳熟期から糊熟期にかけて灌漑水のかけ流しの実施。

8月17日現在
警戒メッシュ説明:
 右図は平均気温の過去7日間平均値で低温被害を監視する目的で、水田分布メッシュを対象に示したものです。深水管理等の栽培管理の参考にして下さい。なお、警戒メッシュは平均気温前7日間の移動平均値を用いて下の基準温度で図示しています。(詳細は気象障害監視のポイントを参照。)

@平均気温17℃以下:かなりの受精障害が予想される。
A平均気温17℃〜20℃:受精障害が懸念される。
B平均気温20〜22℃:受精障害が心配される。
C平均気温22℃以上:受精障害は予想されない。
  〜17℃低温障害警戒
17〜20℃低温障害警戒
20〜22℃低温障害要注意
22℃以上
<特記事項>
・葉いもちの感染好適条件がほぼ全域で頻度高く現れています。警戒の必要な地点を観察したところ、葉色の濃い圃場に葉いもちの発生が高い確率で確認され、さらには上位葉まで病斑が進展していることも確認されました。また8月10日の現地調査の結果、葉いもちから穂いもちへの進展も確認されました。いもち病の早期発見と適切な防除に努めてください。

・岩手県(8月9日付け)穂いもちと斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・宮城県(8月2日付け)斑点米カメムシ類に関する警報が出されています。
・青森県(7月27日付け)穂いもちに関する注意報が出されています。
・秋田県(7月26日付け)で穂いもちに関する警報が出されています。
・山形県(7月19日付け)で斑点米カメムシ類に関する警報と葉いもちに関する注意報が出されています。
・青森県(7月19日付け)で斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・福島県(7月13日付け)と秋田県(7月16日付け)では斑点米カメムシに関する注意報が発令されています。
 
ホームページ参照:

 
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