水稲冷害研究チーム

2003年早期警戒情報


2003年早期警戒情報(7月26日)
No.14
 仙台管区気象台が25日発表した向こう1か月予報によると、この期間の天気は、低気圧や前線の影響で天気がぐずつき、平年に比べて曇りや雨の日が多いが、太平洋高気圧に覆われて晴れて暑い日もある。
 平均気温は均してみると平年並か低い予想です。予想される気温区分確率は、第1週については、低い可能性が50%、同平年並40%、同高い10%。同じく第2週については低い可能性が40%、同平年並み40%、同高い20%です。この先2週間の天候予想は次の通りです。

 第1週目(7月26日〜8月1日):27日までは低気圧や前線の影響で、曇りや雨の降るところがある。
 平均気温は低い。農作物の管理には十分注意してください。
 第2週目(8月2日〜8月8日):低気圧や前線の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多い。
 平均気温は平年並か低い。

 また、この先1週間における偏西風の流れの予想によると、偏西風は日本付近で大きく蛇行・南北に分流し、ブロッキング高気圧がオホーツク海付近に居すわり続け、オホーツク海高気圧の影響を受ける可能性が高い見込みです。



7月25日発表:1ヶ月予報(7月26日から8月25日)

 7月25日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
117.919.716.514.30.017.820.115.913.90.3-5.3-7.3-3.89.5-3.5
219.221.917.00.62.018.121.415.33.92.4-4.7-5.5-3.9-0.1-2.6
320.022.217.81.90.120.223.817.15.92.7-3.7-4.2-3.10.9-2.4
417.719.816.13.50.417.420.215.25.01.4-5.1-6.6-3.70.4-3.1
519.621.717.53.80.020.023.317.211.52.0-4.1-5.4-3.16.9-3.3
616.417.815.216.90.016.218.414.59.20.1-5.7-7.8-3.75.1-4.5
717.719.516.411.40.017.820.015.812.20.2-5.4-7.3-4.18.3-3.7
815.917.015.24.70.015.416.714.43.50.1-5.4-7.3-3.6-0.4-4.2
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。


 現在、東北地域の水稲は幼穂形成期から減数分裂期にあります。
 過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。平均気温は全般的にかなり低く、日照時間もかなり少なく推移しています。今後も平均気温は低く推移すると予想されています。またこれから、東北の基幹品種は低温に最も敏感な減数分裂期に入ります。
 このようなことから、本情報にある気象障害監視のポイント、気温指標、葉齢進度予測、幼穂発育予測、葉いもち予察、参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、葉いもち防除の徹底や普段の水管理などには細心の注意を払って下さい。
 特に、警戒メッシュにある障害発生危険地帯においては、気象災害監視のポイントにある深水管理の効果を再度確認し、至急に実施すること。また、今のところ障害発生危険地帯でなくても冷害危険度の高い地帯では、前歴深水管理を予防的に実施することが重要です。

 ○低温時:幼穂形成期から減数分裂期前までの前歴深水管理(水深10cm)の徹底
      減数分裂期前から出穂期までの危険期深水管理(水深20cm程度)の徹底
      
 さらには、低温・日照不足により、青森・岩手・宮城・福島県で特に、いもち病菌に対する感受性が高まっています(感染しやすくなっています)。今後の感染好適条件および準感染好適条件の出現に注意してください。また、7月中旬以降、宮城・福島県に感染好適条件および準感染好適条件が多発しており、葉いもちの発生が予想されます。上位葉の葉いもち病斑は穂いもちの感染源となるため、穂いもち予防防除を徹底するとともに、葉いもちの発生がみられたら直ちに茎葉散布剤で防除してください。

7月25日現在
警戒メッシュ説明:
 右図は平均気温の過去7日間平均値で低温被害を監視する目的で、水田分布メッシュを対象に示したものです。前歴・危険期深水管理等の栽培管理の参考にして下さい。なお、警戒メッシュは、平均気温前7日間の移動平均を用いて下の基準温度を使用しています。(詳細は気象障害監視のポイントを参照。)
    基準気温          障害の程度
   @17℃未満の地域(赤)  :かなりの被害が予想されるため深水管理を実施する。
   A17℃〜20℃の地域(黄):耐冷性の弱い品種などでは被害が予想されるため、深水管理を実施する。
   B20℃〜22℃の地域(青):予防的な深水管理の実施を検討する。
   C22℃以上の地域(緑)  :被害は予想されない。

  〜17℃かなりの被害が予想されるため深水管理を実施する。
17〜20℃耐冷性の弱い品種などでは被害が予想されるため、深水管理を実施する。
20〜22℃予防的な深水管理の実施を検討する。
22℃以上被害は予想されない。
<特記事項>
・仙台管区気象台:『低温と日照不足に関する東北地方気象情報第6号』が、7月25日に発表されました。
・岩手県(7月2日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・山形県(7月2日):斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・宮城県(7月8日):斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・秋田県(7月11日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・秋田県(7月14日):斑点米カメムシに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月23日):穂いもちに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月23日):稲こうじ病に関する注意報が出されています。
・福島県(7月25日):穂いもちに関する注意報が出されています。
ホームページ参照:

 
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