水稲冷害研究チーム

2003年早期警戒情報


2003年早期警戒情報(8月9日)
No.16
 仙台管区気象台が8日発表した向こう1か月予報によると、この期間の天気は、前半では高気圧に覆われて晴れる日もあるが、低気圧や寒気の影響で天気がぐずつく。後半は概ね周期的に変わる。
 平均気温は均してみると平年並か低い予想です。予想される気温区分確率は、第1週については、低い可能性が50%、同平年並40%、同高い10%。同じく第2週については低い可能性が40%、同平年並み40%、同高い20%です。この先2週間の天候予想は次の通りです。

 第1週目(8月9日〜8月15日):9日は台風第10号の影響で大荒れの天気となる。明後日(10日)からは高気圧に覆われて概ね晴れるが、気圧の谷の影響で曇る日もある。
 平均気温は低い。
 第2週目(8月16日〜8月22日):低気圧や寒気の影響で天気がぐずつくが、高気圧に覆われて晴れる日もある。
 平均気温は平年並か低い。

 また、この先1週間における偏西風の流れの予想によると、偏西風は台風の通過後から日本付近で大きく蛇行し、寒気が入る見込みです。



8月8日発表:1ヶ月予報(8月9日から9月8日)

 8月15日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
118.019.117.122.70.021.824.919.414.22.8-2.0-3.2-0.99.7-1.5
219.121.416.92.10.021.424.618.810.12.5-1.9-3.1-0.86.6-2.9
319.421.317.84.40.022.125.519.49.72.4-2.3-3.5-1.05.3-3.5
418.420.016.93.40.021.224.518.610.22.7-1.8-3.0-0.66.2-2.0
519.221.117.64.90.122.425.919.77.52.6-2.3-3.8-0.93.6-3.4
616.917.915.927.40.020.623.717.914.72.9-1.6-2.6-0.610.0-1.7
718.119.517.09.40.121.824.919.511.42.9-1.9-3.1-0.97.7-1.7
817.718.616.65.90.020.122.517.812.02.7-1.7-2.5-1.28.0-1.2
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。


 現在、東北地域の水稲は減数分裂期から出穂期にあります。
 過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。平均気温は北部で低く、日照時間も少なく推移しています。今後も平均気温は平年並か低く推移すると予想されています。また、東北の基幹品種はこれから低温に敏感な出穂・開花期を迎えます。
 このようなことから、本情報にある気象障害監視のポイント、気温指標、葉齢進度予測、幼穂や玄米発育予測、葉いもち予察、参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、葉いもち防除の徹底や普段の水管理などには細心の注意を払って下さい。

○低温時:減数分裂期前から出穂期までの危険期深水管理(水深20cm程度)の徹底

 さらには、低温・日照不足により、いもち病菌に対する感受性が高まっています。今後の感染好適条件および準感染好適条件の出現に注意してください。上位葉の葉いもち病斑は穂いもちの感染源となるため、穂いもち予防防除を徹底するとともに、葉いもちの発生がみられたら直ちに茎葉散布剤で防除してください。

8月15日現在
警戒メッシュ説明:
 右図は平均気温の過去7日間平均値で低温被害を監視する目的で、水田分布メッシュを対象に示したものです。前歴・危険期深水管理等の栽培管理の参考にして下さい。なお、警戒メッシュは、平均気温前7日間の移動平均を用いて下の基準温度を使用しています。(詳細は気象障害監視のポイントを参照。)
    基準気温          障害の程度
   @17℃未満の地域(赤)  :かなりの被害が予想されるため深水管理を実施する。
   A17℃〜20℃の地域(黄):耐冷性の弱い品種などでは被害が予想されるため、深水管理を実施する。
   B20℃〜22℃の地域(青):予防的な深水管理の実施を検討する。
   C22℃以上の地域(緑)  :被害は予想されない。

  〜17℃かなりの被害が予想されるため深水管理を実施する。
17〜20℃耐冷性の弱い品種などでは被害が予想されるため、深水管理を実施する。
20〜22℃予防的な深水管理の実施を検討する。
22℃以上被害は予想されない。
<特記事項>
・仙台管区気象台:『低温と日照不足に関する東北地方気象情報 第8号』が、8月8日に発表されました。
・山形県(7月2日):斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・宮城県(7月8日):斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・秋田県(7月11日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・秋田県(7月14日):斑点米カメムシに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月23日):稲こうじ病に関する注意報が出されています。
・福島県(7月25日):穂いもちに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月31日):穂いもちに関する警報が出されています。
・岩手県(8月8日):穂いもちに関する注意報が出されています。
ホームページ参照:

 
GotoHome Prev Next Return Opinion
 

reigai@ml.affrc.go.jp