水稲冷害研究チーム

2003年早期警戒情報


2003年早期警戒情報(8月16日)
No.17
 仙台管区気象台が15日発表した向こう1か月予報によると、この期間の天気は、初めは前線やオホーツク海高気圧の影響で曇りや雨となり、気温が低い。その後は、天気は概ね周期的に変わる。
 平均気温は均してみると平年並の予想です。予想される気温区分確率は、第1週については、低い可能性が40%、同平年並40%、同高い20%。同じく第2週については低い可能性が30%、同平年並み50%、同高い20%です。この先2週間の天候予想は次の通りです。

 第1週目(8月16日〜8月22日):期間の前半は気圧の谷や前線の影響で曇りや雨の降る日が多いが、後半は太平洋高気圧に覆われ概ね晴れる。
 平均気温は平年並みか低い。
 第2週目(8月23日〜8月29日):天気は概ね周期的に変わる。
 平均気温は平年並。

 また、この先1週間における偏西風の流れの予想によると、前半には日本付近で蛇行しオホーツク海高気圧の影響を受け、後半には北上し南から太平洋高気圧の影響を受ける見込みです。



8月15日発表:1ヶ月予報(8月16日から9月15日)

 8月22日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
124.530.219.90.57.720.423.418.18.41.8-3.0-4.3-1.93.0-2.6
224.629.619.00.16.720.824.917.51.94.2-2.0-2.3-1.6-2.7-1.1
324.629.021.20.53.622.026.018.94.42.9-1.9-2.5-1.0-1.3-2.7
424.029.818.40.07.120.223.817.12.73.0-2.3-3.2-1.6-2.5-1.8
524.930.321.30.05.621.825.419.08.92.1-2.4-3.6-1.14.1-3.7
622.528.617.10.08.918.921.816.68.32.3-2.9-4.3-1.62.2-2.4
724.530.019.90.07.220.523.818.06.21.6-2.8-3.7-1.91.9-3.0
822.527.717.40.07.918.921.516.92.03.1-2.6-3.3-1.7-3.2-1.1
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。


 現在、東北地域の水稲は花粉内容充実期から傾穂期にあります。
 過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。平均気温は全般的にかなり低く、日照時間も少なく推移しています。今後も平均気温は平年並か低く推移すると予想されています。また、東北の基幹品種は低温に敏感な出穂・開花期にあります。
 このようなことから、本情報にある気象障害監視のポイント、気温指標、葉齢進度予測、幼穂や玄米発育予測、葉いもち予察、参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、穂いもちや斑点米カメムシ防除の徹底や普段の水管理などには細心の注意を払って下さい。

 ○低温時:登熟を促進するために、生育ステージに応じた適切な水管理の徹底。
 ○異常高温時:フェーン現象時の湛水管理。異常高温が長期に続くときは、特に乳熟期から糊熟期までの灌漑水の掛け流し管理

 また、宮城・福島の両県で、穂いもち警報が発令中です。また、岩手県でも穂いもち注意報が発令中です。出穂中の低温は、出穂が不揃いになって出穂期間が長びくことから感染可能期間も長くなります。今後、出穂中に低温・降雨が続く場合、穂いもち感染の可能性が高いと思われます。
 穂いもちの防除は、穂孕期と穂揃期の2回防除が効果的です。現在、穂いもちがみられない水田でも、感染好適条件が出た場合は穂揃期の防除を徹底して下さい。穂いもちの潜伏期間(いもち病菌が感染して、病徴が現れるまでの期間)は約10日間です。低温時はさらに潜伏期間が長くなります。穂いもちがみつかってからでは、薬剤散布は間に合いません。

8月22日現在
警戒メッシュ説明:
右図は平均気温の過去7日間平均値で低温被害を監視する目的で、水田分布メッシュを対象に示したものです。深水管理等の栽培管理の参考にして下さい。なお、警戒メッシュは平均気温前7日間の移動平均値を用いて下の基準温度で図示しています。(詳細は気象障害監視のポイントを参照。)
    基準気温          障害の程度
   @17℃未満の地域(赤)  :かなりの受精障害が予想される。
   A17℃〜20℃の地域(黄):受精障害が懸念される。
   B20℃〜22℃の地域(青):受精障害が心配される。
   C22℃以上の地域(緑)  :被害は予想されない。

  〜17℃低温障害警戒
17〜20℃低温障害警戒
20〜22℃低温障害要注意
22℃以上 
<特記事項>
・仙台管区気象台:『低温と日照不足に関する東北地方気象情報 第9号』が、8月15日に発表されました。
・秋田県(7月11日):葉いもちに関する注意報が出されています。
・秋田県(7月14日):斑点米カメムシに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月23日):稲こうじ病に関する注意報が出されています。
・宮城県(7月31日):穂いもちに関する警報が出されています。
・青森県(8月6日):斑点米カメムシに関する注意報が出されています。
・宮城県(8月8日):斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・岩手県(8月8日):穂いもちに関する注意報が出されています。
・山形県(8月11日):斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・岩手県(8月12日):斑点米カメムシに関する注意報が出されています。
・福島県(8月13日):穂いもちに関する警報が出されています。
ホームページ参照:

 
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