水稲冷害研究チーム

2011年早期警戒情報


2011年早期警戒情報(4月30日)
No.2
 仙台管区気象台が29日発表した向こう1か月予報によると、この期間、天気は数日の周期で変わる見込み。
 平均気温は均してみると平年並または高い予想です。予想される気温区分確率は、第1週については低い可能性が30%、同平年並み50%、同高い20%。第2週については低い可能性が20%、同平年並み40%、同高い40%です。この先2週間の天候予想は次の通りです。

第1週目(4月30日〜5月6日):期間のはじめは気圧の谷や寒気の影響で曇りの日が多く、雨の降る日があるが、期間の中頃からは高気圧におおわれて晴れる日がある見込み。
 平均気温は、平年並の確率50%。

第2週目(5月7日〜5月13日):天気は数日の周期で変わり、平年と同様に晴れの日が多い見込み。
 平均気温は平年並または高い確率が40%。

 また、この先1週間の予想によると、偏西風は日本付近で蛇行し、半ばには寒気が入りやすくなると予想されます。



4月29日発表:1ヶ月予報(4月30日から5月29日)

 5月5日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
110.1 14.5 5.7 0.0 5.4 12.2 17.1 7.4 1.3 5.6 -0.9 -1.5 -0.3 -2.3 -0.2
29.5 13.7 4.9 0.1 7.5 10.4 14.5 6.6 3.2 4.8 -1.5 -2.7 -0.1 0.2 -1.4
310.3 14.7 5.5 0.0 8.5 10.6 14.7 6.7 7.0 4.1 -1.8 -2.9 -0.6 2.8 -1.6
49.0 13.3 4.9 0.1 5.3 10.0 14.3 6.5 4.0 4.2 -1.6 -3.0 0.5 1.1 -1.8
511.1 16.6 6.4 0.0 9.2 11.2 16.0 6.7 3.7 4.7 -1.7 -2.7 -0.7 0.2 -1.4
67.5 11.5 3.5 0.1 2.4 11.2 16.2 6.3 0.7 5.3 -0.6 -1.4 0.6 -2.4 -0.7
710.5 15.3 6.1 0.0 6.9 11.6 16.3 7.3 0.9 5.7 -1.3 -1.8 -0.5 -2.7 -0.3
87.4 10.9 3.6 0.2 5.5 9.3 13.1 6.3 3.9 4.3 -1.3 -2.2 0.4 0.8 -2.2
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。


 現在、東北地域の水稲は育苗期から田植え始期にあります。
 過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。平均気温は低めで経過してきました。今後は平年並で推移すると予想されます。
 このようなことから、本情報にある気象障害監視のポイント、気温指標、参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、育苗期の温度や潅水の管理、田植え時期の判定には十分に注意して下さい。

○低温時:育苗期の苗立枯病(フザリウム属菌・ピシウム属菌・リゾプス属菌)の発生ならびに田植え後の活着障害
○高温時:育苗期における軟弱徒長や過繁茂による苗の老化ならびに細菌病(もみ枯細菌病・苗立枯細菌病)の発生。

5月5日現在
警戒メッシュ説明:
 右図は平均気温の過去7日間平均値で活着障害を監視する目的で、水田分布メッシュを対象に示したものです。育苗管理や田植え時期の判定等の参考にして下さい。なお、警戒メッシュは下の基準温度を使用しています。(詳細は気象障害監視のポイントを参照。)
    基準気温    障害の程度
   @9℃以下    生育が著しく抑制される。
   A12℃以下   生育の遅れが懸念される。
   B15℃以下   活着は普通に進む。
   C15℃以上   活着とその後の生育は急速に進む。


<特記事項>
・東日本大震災の被災地域等においては、農地・農業水利施設の被害などにより、通常の作期より遅く田植えを行わざるを得ない地域もあると思います。参考にしていただくため、水稲の移植晩限をつくばの機関と共同で推定しています。ただし、各県が指導する移植適期より遅くなりますと減収の危険もありますので、注意して下さい。また、水稲の晩植栽培における一般的な留意点が作物研究所より示されています。あわせて参考にして下さい。
水稲の移植栽培における晩限日の推定について(農業・食品産業技術総合研究機構、農業環境技術研究所)
水稲の晩植栽培における技術的留意点(作物研究所)

  〜9℃著しい生育抑制
9〜12℃生育遅れ
12〜15℃普通の生育
15℃以上急速な生育
ホームページ参照:

 
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