水稲冷害研究チーム

2006年早期警戒情報


2006年早期警戒情報(8月5日)
No.16
 仙台管区気象台が4日に発表した向こう1か月予報によると、この期間、天気は太平洋高気圧に覆われて平年と同様に晴れの日が多いが、一時的に前線や気圧の谷の影響を受け曇りや雨の日もある見込み。
 平均気温は均してみると平年並か高いの予想です。予想される気温区分確率は、第1週については低い可能性が10%、同平年並み50%、同高い40%。同じく第2週については低い可能性が20%、同平年並み40%、同高い40%です。この先2週間の天候予想は次の通りです。

第1週目(8月5日〜8月11日):太平洋高気圧に覆われ、概ね晴れるが、東北南部は期間の終わりに湿った気流の影響で曇る日がある。期間を通してにわか雨の降る所がある見込み。
 平均気温は平年並。

第2週目(8月12日〜8月18日):太平洋高気圧に覆われ、東北地方は平年に比べて晴れの日が多い。
 平均気温は平年並か高い。

 また、この先1週間における偏西風の流れの予想によると、偏西風は北上し、東海域に中心をもつ高気圧に覆われる見込み。



8月4日発表:1ヶ月予報(8月5日から9月4日)

 8月11日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
124.429.921.30.15.925.330.421.50.86.51.62.31.2-3.92.2
225.130.121.60.05.025.530.521.10.08.22.12.71.5-3.62.9
326.131.022.40.08.726.031.221.30.09.41.72.31.0-4.83.7
424.028.421.10.05.025.130.620.60.18.22.13.11.5-4.03.6
526.331.422.40.07.926.531.921.80.08.61.72.21.3-4.42.8
622.927.819.30.05.323.929.119.60.27.51.82.81.2-4.73.0
724.830.521.60.07.025.430.521.70.96.71.72.51.4-3.22.3
822.224.420.50.01.123.327.719.80.07.91.52.50.8-4.03.8
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。


 現在、東北地域の水稲は減数分裂期から出穂期にあります。
 また、過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。日照時間が少なく、気温は低めに経過していますが、2日に梅雨明けし、今後は気温は平年並か高く推移する見込みです。東北の基幹品種は徐々に出穂・開花期を迎えつつあります。出穂・開花時期はイネが最も水を必要とする重要な時期でもあります。
 このようなことから、本情報にある気象障害監視のポイント、気温指標、幼穂発育予測、葉いもち予察、参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、葉いもちの早期発見と防除の徹底、カメムシ防除には細心の注意を払って下さい。特に、いもち病に関しては、管内で感染好適条件が頻発していますので、早期発見と防除を徹底してください。また、障害型冷害の危険期にありますので、深水管理を徹底してください。
 また、宮城県では斑点米カメムシ類に関する警報が7月27日に出されました。適正な防除に万全を期してください。

○低温時:減数分裂期前から出穂期までの危険期深水管理(水深20cm程度)の徹底
      (気象障害監視のポイントや技術情報を参照のこと)

○高温時:間断灌漑による生育制御や有害物質の発生防止。

○異常高温時:出穂・開花時の深水管理の徹底。
8月11日現在
警戒メッシュ説明:
 右図は平均気温の過去7日間平均値で活着障害を監視する目的で、水田分布メッシュを対象に示したものです。育苗管理や田植え時期の判定等の参考にして下さい。なお、警戒メッシュは下の基準温度を使用しています。(詳細は気象障害監視のポイントを参照。)
    基準気温      障害の程度
   @17℃未満     かなりの被害が予想されるため深水管理を実施する。
   A17℃〜20℃   耐冷性の弱い品種などでは被害が予想されるため、深水管理を実施する。
   B20℃〜22℃   予防的な深水管理の実施を検討する。
   C22℃以上     被害は予想されない。

<特記事項>
・葉いもちの感染好適条件が福島県、秋田県内陸部などで頻度高く現れています。葉いもちの発生と蔓延には警戒が必要です。早期発見と防除を徹底して下さい。
・宮城県(7月20日付け)で穂いもちに関する注意報が出されています。
・山形県(7月25日付け)で穂いもちに関する注意報が出されています。
・福島県(7月25日付け)で穂いもちに関する注意報が出されています。
・岩手県(7月27日付け)で穂いもちに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月27日付け)で斑点米カメムシ類に関する警報が出されています。
・岩手県(7月27日付け)で斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・青森県(8月4日付け)で斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・栽培管理上参考にすべき各種気象情報については、仙台管区気象台ホームページの「気象情報発表」コーナー(http://www.sendai-jma.go.jp/)を参照ください。

  〜17℃要深水管理
17〜20℃深水管理推奨
20〜22℃予防的な深水管理
22℃以上被害は予想されない
ホームページ参照:

 
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