水稲冷害研究チーム

2006年早期警戒情報


2006年早期警戒情報(7月29日)
No.15
<特に注意を要する事項>
 東北地方では日照時間が少なく気温の低い状況が続いています。ここ数日も気温が低く日照時間が少ない見込みです。農作物の管理などに注意してください。

 仙台管区気象台が28日に発表した向こう1か月予報によると、この期間、天気は太平洋高気圧に覆われて平年と同様に晴れの日が多いが、前線や気圧の谷の影響で天気がぐずつくことがある見込み。
 平均気温は均してみると平年並の予想です。予想される気温区分確率は、第1週については日本海側で低い可能性が40%、同平年並み40%、同高い20%、太平洋側で低い可能性が50%、同平年並み30%、同高い20%。同じく第2週については低い可能性が20%、同平年並み50%、同高い30%です。この先2週間の天候予想は次の通りです。

第1週目(7月29日〜8月4日):期間のはじめは、梅雨前線や気圧の谷の影響で雨や曇りとなる。その後は、東北日本海側は晴れの日が多く、東北太平洋側は曇りの日が多い。
 平均気温は日本海側で平年並か低く、太平洋側で低い。

第2週目(8月5日〜8月11日):太平洋高気圧に覆われ、平年と同様に晴れの日が多い。一時的に前線や気圧の谷の影響を受け、曇りや雨の日もある。
 平均気温は平年並。

 また、この先1週間における偏西風の流れの予想によると、偏西風はオホーツク海付近で分流し、オホーツク海高気圧が形成される見込み。



7月28日発表:1ヶ月予報(7月29日から8月28日)

 8月4日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
125.931.820.20.010.122.026.418.50.74.6-1.7-1.7-1.7-4.50.5
225.830.321.10.07.422.327.118.10.66.4-1.1-0.5-1.5-3.81.2
325.328.722.00.04.323.327.619.61.35.7-0.9-0.9-0.7-4.50.1
425.829.620.70.05.121.425.517.91.14.6-1.6-1.9-1.3-3.9-0.1
525.530.720.70.08.323.528.219.31.06.7-1.2-1.1-1.3-4.11.2
625.031.718.40.010.420.324.516.82.14.9-2.0-2.0-1.6-3.40.5
725.731.619.90.09.722.026.518.51.15.3-1.8-1.5-1.8-3.11.0
825.529.520.80.07.019.622.517.11.63.2-2.1-2.6-1.7-3.1-1.2
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。


 現在、東北地域の水稲は減数分裂期から出穂期直前にあります。
 また、過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。日照時間が少なく、気温は低めに経過しています。さらに、1週目の気温は日本海側で平年並か低い、太平洋側で低く推移すると予想されています。
 このようなことから、本情報にある気象障害監視のポイント、気温指標、幼穂発育予測、葉いもち予察、参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、深水管理の徹底、葉いもちの早期発見と防除の徹底、カメムシ防除には細心の注意を払って下さい。特に、いもち病に関しては、管内で感染好適条件が頻発していますので、早期発見と防除を徹底してください。また、障害型冷害の危険期にありますので、深水管理を徹底してください。
 また、宮城県では斑点米カメムシ類に関する警報が7月27日に出されました。適正な防除に万全を期してください。

○低温時:幼穂形成期から減数分裂期前までの前歴深水管理(水深10cm)の徹底
      減数分裂期前から出穂期までの危険期深水管理(水深20cm程度)の徹底
      (気象障害監視のポイントや技術情報を参照のこと)

○高温時:間断灌漑による生育制御や有害物質の発生防止。
8月4日現在
警戒メッシュ説明:
 右図は平均気温の過去7日間平均値で活着障害を監視する目的で、水田分布メッシュを対象に示したものです。育苗管理や田植え時期の判定等の参考にして下さい。なお、警戒メッシュは下の基準温度を使用しています。(詳細は気象障害監視のポイントを参照。)
    基準気温      障害の程度
   @17℃未満     かなりの被害が予想されるため深水管理を実施する。
   A17℃〜20℃   耐冷性の弱い品種などでは被害が予想されるため、深水管理を実施する。
   B20℃〜22℃   予防的な深水管理の実施を検討する。
   C22℃以上     被害は予想されない。

<特記事項>
・葉いもちの感染好適条件が福島県、秋田県内陸部などで頻度高く現れています。葉いもちの発生と蔓延には警戒が必要です。早期発見と防除を徹底して下さい。
・宮城県(7月20日付け)で穂いもちに関する注意報が出されています。
・山形県(7月25日付け)で穂いもちに関する注意報が出されています。
・福島県(7月25日付け)で穂いもちに関する注意報が出されています。
・岩手県(7月27日付け)で穂いもちに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月27日付け)で斑点米カメムシ類に関する警報が出されています。
・岩手県(7月27日付け)で斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・栽培管理上参考にすべき各種気象情報については、仙台管区気象台ホームページの「気象情報発表」コーナー(http://www.sendai-jma.go.jp/)を参照ください。

  〜17℃要深水管理
17〜20℃深水管理推奨
20〜22℃予防的な深水管理
22℃以上被害は予想されない
ホームページ参照:

 
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