水稲冷害研究チーム

2006年早期警戒情報


2006年早期警戒情報(7月15日)
No.13
<特に注意を要する事項>
 東北地方では日照時間の少ない状況が続いています。期間の前半を中心に平年に比べて雨の日が多く日照時間が少ない見込みです。農作物の管理などに注意してください。

 仙台管区気象台が14日に発表した向こう1か月予報によると、この期間、天気は前線や気圧の谷の影響で、平年に比べ曇りや雨の日が多い見込み。
 平均気温は均してみると平年並の予想です。予想される気温区分確率は、第1週については低い可能性が20%、同平年並み40%、同高い40%。同じく第2週については低い可能性が30%、同平年並み40%、同高い30%です。この先2週間の天候予想は次の通りです。

第1週目(7月15日〜7月21日):前線や気圧の谷の影響で雨の日が多い。
 平均気温は平年並か高い。

第2週目(7月22日〜7月28日):前線や気圧の谷の影響で、平年に比べ曇りや雨の日が多い。
 平均気温は平年並。

 また、この先1週間における偏西風の流れの予想によると、偏西風は南下し日本付近で蛇行し、北から寒気が入りやすく、またオホーツク海付近では分流しオホーツク海高気圧が発生しやすくなる見込み。



7月14日発表:1ヶ月予報(7月15日から8月14日)

 7月21日現在における冷害危険度地帯別にみた過去7日間の平均的な気象経過は、次の通りです。

地帯 実況
平均
実況
最高
実況
最低
実況
降水量
実況
日照
移動
平均
移動
最高
移動
最低
移動
降水量
移動
日照
平年偏差(移動平均−平年)
平均 最高 最低 降水量 日照
118.519.717.622.50.020.623.018.914.30.4-1.7-3.4-0.29.4-3.0
218.921.816.55.60.920.823.818.35.82.2-1.2-2.3-0.11.8-2.6
320.022.418.06.10.221.424.419.04.92.2-1.5-2.3-0.4-2.5-2.6
418.420.516.68.40.520.423.618.15.11.6-1.2-2.30.00.4-2.7
519.621.718.113.40.121.324.119.210.31.3-2.1-3.8-0.65.0-3.7
617.218.216.412.20.019.121.417.411.10.5-1.9-3.7-0.16.7-3.6
718.319.417.520.20.020.422.818.711.80.4-1.9-3.4-0.45.0-3.1
816.417.215.93.30.019.121.417.32.71.2-0.7-1.60.2-1.3-2.9
注)実況値は当該月日の値、移動値は前7日間の移動平均値、平年偏差は移動平均から平年値を差し引いた値をそれぞれ示す。

この地帯の詳細については冷害危険度地帯とその特徴をご覧ください。


 現在、東北地域の水稲は幼穂形成期から花粉母細胞分化期にあり、障害型冷害の危険期に入りつつあります。
 過去7日間の地帯別平均的気象経過は上表の通りです。気温はやや高めに経過していますが、日照不足が続いています。今後、平均気温は平年並で推移すると予想されていますが、これから水稲にとって低温に最も感受性な時期に入ります。
 このようなことから、本情報にある気象障害監視のポイント、気温指標、葉齢進度予測、幼穂発育予測、葉いもち予察、参照リンクならびに各県の技術・予察情報などを参考にして、葉いもちの早期発見と防除の徹底、また冷害危険度の高い地帯での予防的な深水管理の徹底、カメムシ防除には細心の注意を払って下さい。

○低温時:幼穂形成期から減数分裂期前までの前歴深水管理(水深10cm)の徹底
      減数分裂期前から出穂期までの危険期深水管理(水深20cm程度)の徹底
      (気象障害監視のポイントや技術情報を参照のこと)

○高温時:間断灌漑による生育制御や有害物質の発生防止。
7月21日現在
警戒メッシュ説明:
 右図は平均気温の過去7日間平均値で活着障害を監視する目的で、水田分布メッシュを対象に示したものです。育苗管理や田植え時期の判定等の参考にして下さい。なお、警戒メッシュは下の基準温度を使用しています。(詳細は気象障害監視のポイントを参照。)
    基準気温      障害の程度
   @17℃未満     かなりの被害が予想されるため深水管理を実施する。
   A17℃〜20℃   耐冷性の弱い品種などでは被害が予想されるため、深水管理を実施する。
   B20℃〜22℃   予防的な深水管理の実施を検討する。
   C22℃以上     被害は予想されない。

<特記事項>
・葉いもちの感染好適条件が福島県、秋田県内陸部などで頻度高く現れています。葉いもちの発生と蔓延には警戒が必要です。早期発見と防除を徹底して下さい。
・山形県(7月12日付け)で葉いもちに関する注意報が出されています。
・岩手県(7月14日付け)で葉いもちに関する注意報が出されています。
・福島県(7月14日付け)で葉いもちに関する注意報が出されています。
・宮城県(7月6日付け)で斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・岩手県(7月14日付け)で斑点米カメムシ類に関する注意報が出されています。
・栽培管理上参考にすべき各種気象情報については、仙台管区気象台ホームページの「気象情報発表」コーナー(http://www.sendai-jma.go.jp/)を参照ください。

  〜17℃要深水管理
17〜20℃深水管理推奨
20〜22℃予防的な深水管理
22℃以上被害は予想されない
ホームページ参照:

 
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